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右も左も魔女ばかり ~離島の魔法特区にある高専に入学した僕の想定外な日々~  作者: 於田縫紀
第2章 魔女のいる日常

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第34話 捨て台詞ではありません

 約2時間後。

 沙知先輩が小さめの、と言っても十分大きいシマアジを釣り上げたところで。


「もう今日はこの辺で勘弁しておいてやるか」


 愛希先輩の宣言でこの釣りは終わりとなった。

 決して負け惜しみの台詞では無い。

 獲物は既に大量に釣れている。


 数も重さも2年組の方がきっと多いだろう。

 それでも僕は4匹、典明も4匹釣っている。

 どれも冗談みたいな大物ばかりだ。


 僕は最初のギンガメアジの他、カンパチ、イソマグロ2匹。

 典明はカンパチ1匹、キハダマグロ2匹、シマアジ1匹。

 2年組と合わせても200キロは無理だが、100キロは超えているだろう。


「これくらいなら保養所でも全部捌けるだろう。直行するぞ」


 愛希先輩は一気に高度を上げる。

 しかしこの船、意外に速いしそのくせ乗り心地もいい。

 空を飛んでいるのに不安感がまるで無い。


 崖をあっさり飛び越え、そして何故か学校の上も飛び越える。

 直行するって、まさか。

 そんな僕の思考を笑うように船は見覚えのある場所へ近づいていく。

 山の麓の高級マンションの屋上へ。


 露天風呂の外側にいかにもという感じの空きスペースがある。

 船はきれいにターンしてそこに着地した。


「美雨、魚はどうする」


「全部デッキに並べて。いつもと同じ」


 という訳で、僕らは船と露天風呂のデッキを往復して、デッキに魚を並べる。

 どうもこの工程は美雨さんの指揮のようだ。


 何か色々役割分担があるんだな。

 そう思いつつ船との間を3往復して魚を運びきる。

 既にデッキ部分は水を蒔かれる等準備されていた。


 さて、ずらりと並んだ魚は全部で18匹。

 カンパチ6匹、イソマグロ4匹、キハダマグロ3匹、ギンガメアジ2匹、シマアジ3匹。

 どれもこれも大物でえらい事になっている。


 そして庭で水まきに使うようなホースとボウル3個、金束子等が設置された。

 更に。


「朗人、最初に作った包丁は寮なのですか」


 詩織ちゃん先輩が僕に尋ねる。


「寮のキッチンに置いてあります。包丁差しには入らないので調理台の上です」

「何号室ですか」

「3006号室です」


「了解……発見なのです。ちょっと借りるのです」


 そう言って詩織ちゃん先輩が出したのは、まさにあの長すぎる包丁。

 そうか、詩織ちゃん先輩の魔法ならどこにある物でもある程度は取り寄せ可能って訳か。

 反則技な気もするけどな。


 詩織ちゃん先輩は僕の作った例の長すぎる包丁ともう少し短い包丁、そして太めで短い包丁をボウルの横に置く。


「では先生、お願いするのです」


「任せて」


 美雨先輩がそう言って金束子を手に、水をかけながらカンパチをこすり始めた。

 どうもうろこを取っているようだ。


「何か手伝った方がいいですか」


 ちょうど横にいた愛希先輩に聞いてみる。 


「こっちは美雨に任せた方がいい。それよりキッチンの方を準備して。美雨は捌き始めると速いから急いで。メニューは任せるから」


 言われるがままにキッチンへと行く。

 ロビーさんがでっかいご飯釜を炊飯器にセットした処だった。


「ではお願いしますデス」


 そう言われてしまったので、仕方なく自分仕様に準備を始める。

 調味料と大皿を使いやすいように並べて、大鍋と中華鍋と蓋付きのこぶりな鍋を引っ張り出す。

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