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右も左も魔女ばかり ~離島の魔法特区にある高専に入学した僕の想定外な日々~  作者: 於田縫紀
第11章 Spring has come……

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第254話 ちょっと観光してみるけれど

 そんな状態なので、動けるようになったのは正午過ぎ。

 この時間なので、それほど遠くへは行けないだろう。

 美ら海水族館あたりは無理だ。


 今回は、集団での魔法移動は控える方針だそうだ。

 理由は、なかなかしょうもない。


「いやさ、昨年の夏の社員旅行が税務署にチェックされてさ。何とか日本各地のクライアント使ったりして誤魔化したけれど。そんな訳で予算が出る部分は魔法移動禁止。極力公共の交通機関を使ってくれ」


 番頭こと修先輩が理由を説明。

 魔法で長距離移動が可能という事実は、まだ公開しない方がいい情勢なのだそうだ。


 そんな訳で魔法移動は近距離限定。

 だから今日の予定は、首里城など近場だ。

 そして愛希先輩は今日も絶好調。


「じゃあ朗人、行くぞ!」


 今日も僕を振り回す気満々だ。

 まあ楽しいし、いいんだけれど。


 また市場付近を通っていく。


「何か買うの」


「いや、今日は通るだけ。行くのはバス停」


 ちゃんと目的地があるようだ。

 国際通りを渡って、反対側のバス停へ。


「ちょうどバスが来るから、まずは真面目に首里城の観光でもしようぜ」


 真っ当に観光なのか。

 ちょっとだけ意外に思いつつ、それを申し訳なくも思う。

 きっと愛希先輩なりに、色々僕の好みなども考えてコースを練ってくれたのだろう。

 今はそれに素直に感謝しよう。


 そんな訳で守礼門から入って、いくつも門を通って。

 物見台から那覇市内を見たり、真っ赤な建物の門から入ったり、真っ赤な本殿の下の本来の本殿の遺構を見たりと。

 基本コース通り廻ったら、ほぼ2時半。


 全体として感じたのは、やっぱり日本と文化が違うんだなという事。

 少なくとも建物の様式は、だいぶ違う気がする。

 日本の神社でも朱塗りの場所は多いけれど、あれともまた違うし。


 さて、とりあえず観光欲が満足したところで。

 愛希先輩が行きに来たバス停と明らかに違う方向へと歩いて行く。

 モノレールの駅も過ぎ、角を曲がり、更に先へ。


「愛希先輩愛希先輩、どちらまで行かれるのですか?」


「動いた後は飯だよな、やっぱり」


 何か、お目当ての店があるのだろう。


「どういう感じの店ですか」


「ベタベタな地元系定食屋」


 これは期待していい気がする。


 モノレールの駅から5分程度。

 マンション風建物の1階、黄色い看板が出ている店に愛希先輩は入る。

 いかにも地元の定食屋という雰囲気の店だ。


 午後2時過ぎだからか、それほど混んではいない。

 座敷とテーブルが混在し、壁には長々とメニューが貼ってある。

 まさに正しい定食屋という感じだ。


「例によって勝手に朗人の分も頼むぞ。ゆし豆腐定食1つとてびち煮付けの定食と、そば小サイズとゴーヤチャンプル単品」


 昨日も思ったのだけれど愛希先輩、僕の好みを完全に把握済みでいらっしゃる。

 食べてみたいと思ったものを、バランス良く注文してくれた。

 いや、バランス良くというには多いかもしれないけれど。


「本当はもっと単品色々注文したいんだけれど、ここは量が多いらしくてさ。だもんでちょっとだけ遠慮した」


 単品1つそば1つ付けた癖に遠慮なんだろうか。

 でもその言葉の意味は、すぐにわかった。

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