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右も左も魔女ばかり ~離島の魔法特区にある高専に入学した僕の想定外な日々~  作者: 於田縫紀
第1章 魔女の洗礼

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第17話 学生会付属聟島温泉?

「社長には朗人も会っているのですよ」


 詩織ちゃん先輩がそんな事を言ったけれど、それらしい人の記憶は無い。

 前の学生会長で魔法素材を開発って事は、魔法工学科で……

 あてはまる人間が1人だけ浮かんだ。

 イメージは何か合わないけれど。


「まさかと思いますが、香緒里先輩ですか」


「正解なのです。香緒里先輩が社長でスポンサーなのです。ですからお会いする時は両手を前に出して手もみをしながら『社長、本日もご機嫌麗しゅうございます』と……」


「勿論本気にしないで下さい。香緒里先輩がスポンサーなのは本当ですけれど」


 沙知先輩から忠告が入った。そりゃそうだ。


「ちょうどここ、その左の店では無い場所が会社の事務所兼作業場です。学生会関係者限定高額バイトの現場ですので参考までに」


 看板が無い、内側からカーテンがかかっているスペースを沙知先輩が指す。


「前はここでパーティを開いたりもしたのですよ。ただ予定では来年頃にはパンとスイーツの店になる予定なのです」


 今度は詩織ちゃん先輩が補足する。


「誰かが店をやる予定なんですか?」


「先輩が現在本場で修行中なのですよ。来年の今頃には帰ってくる予定なのです」


 先輩と言うからには魔技高専の先輩なのだろうか。

 それで卒業して本場でパンとスイーツの修行中?


 流れがよくわからない。

 魔法が苦手だったのだろうか。

 まあその辺もいずれ聞けるだろうけれど。


 典明はロビー先輩と何か話している。

 さっきまでは工具メーカーの話だったけれど、今はもう理解不能ジャンル不明な話になっている。

 内容がマニアックすぎて僕にはついて行けない。


 そんな感じで賑やかに行進しながら一番手前のマンションに向けて歩いて行く。

 そして高そうな大理石のエントランスで、先頭のルイスさんが黒いパネルに右手を広げてかざした。

 マンションの自動ドアが開く。

 という事は今のは掌紋認証式のセキュリティだったのだろう。


 エレベーターで10階へ。

 しかしマンション設置の普通のエレベーターにこの人数は狭い。

 周りを女子学生に囲まれて緊張する。


 ルイス先輩はしっかり右端のエレベーターボタン付近を陣取っているし、ロビー先輩と典明も後方左隅に陣取っている。

 今度エレベーターに乗る時は彼らを見習うことにしよう。

 そうしないと、不埒な発想とか気のせいだと思うが女の子の髪の香りとか、その他色々邪念が入ってしまう。


 まあそんな訳で最上階へ無事到着。

 出て左に行くとすぐ該当の部屋らしい玄関ドアがある。

 ちなみにかなり広いマンションだけれども、この階には玄関ドアは2つしか見当たらない。


 という事は中は相当に広いのだろうか。

 ならきっと多分無茶苦茶高いんだろうな。

 すぐお金のことを気にしてしまう僕は小市民だけれども。


 例によってルイス先輩は掌紋認証を行い、そして玄関ドアを開ける。

 そしてぞろぞろと皆で中へ入っていくので、僕もそれに習う。

 そして入った瞬間……


「何だこれは!」


 典明がそう先に言ってくれなかったら、きっと僕がそう言っただろう。


 『聟島温泉』と書かれた赤い提灯。

 いかにもという感じののれんの向こうには、どう見ても畳敷きの大広間。

 靴箱に設けられた飾り棚には、赤べことかさるぼぼとか民芸品が並んでいる。


 何かスリッパ代わりかい草サンダルが大量に置いてあるし。

 のれんまで何か温泉っぽい。


「これが保養施設ですか」


「まあ実態は学生会関係者のたまり場だけれどさ」


 愛希先輩があっさりそう認めた。

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