第15話 怪物概説
学生会室を出て階段を降りて寮に向かう。
校舎を出たところで今日はえらく無口だった緑山、ファーストネームだと典明がやっと口を開いた。
「三輪、気づいたか?」
「何の話だ?」
僕には何のことだか、さっぱりわからない。
典明は少し考えて、そして頷いた。
「そうだ。三輪は魔法は使えなかった」
典明は歩きながら話し出す。
「三輪とは違って、拙者は少しばかり魔法が使える。そして魔法が使える人間は、自分の魔力を基準に他人の魔力を感じることが出来る。これはまあ、魔力持ちには当たり前の事なんだが、理屈は理解できるよな」
僕は頷く。
「魔法が使えないから僕自身は出来ないけれど、理屈はわかる」
「小生もそれほど魔力は無いし、魔法が身近だった訳では無い。だから魔法使いをそれほど知っている訳では無い。それでも確実に言えるし感じる。あの学生会は異常だ」
異常、か。
「確かに少し変な雰囲気はあるけれどさ。人が悪そうな感じは無かったな」
「人がいい悪いというのとは違う。正確に言おう。あそこの人間はロビーさんを除き、ほぼ全員怪物級の魔法使いだ」
そうなのか。
僕にはそんな怪物には見えなかったが。
確かに強いらしいと言う話は聞いたけれど。
「わからないだろうから例で言うぞ。ミーの魔力が3歳児程度だとしよう。そうするとうちのクラスの金井は小学校4年生位だ。そしてロビーさんは中学1年位。そこまでの話は理解できるな」
僕は頷く。
「そして魔技高専の先生方は、数人を除けば普通の青年程度の魔力だ。それも例として理解できるな」
「ああ、それで学生会のロビー先輩以外も大人級なのか」
典明は首を横に振る。
「そんなものじゃない。ロビー先輩以外の学生会は、最低でも仮面ライダー級だ」
いきなり変な例が出てきた。
「仮面ライダーというのは、どういう意味だ?」
「大人が何人相手しても絶対勝てないレベルだ。ガンダムで例えるならザクだ」
「理解した」
なるほど、それなら4人で学校中の攻撃魔法使いを相手にしても五分になるわけだ。
「ついでにその例で言うと、ルイス先輩はウルトラマンだ。ガンダムで例えるなら初代ガンダムだ」
また変な例が出た。
でも意味は類推できる。
「要は仮面ライダーやザクが何人で戦っても勝てないという事か」
典明は頷く。
「さらに詩織先輩は、ウルトラマンを倒した宇宙恐竜ゼットンがトリオでお散歩しているようなものだ。ガンダムで言えばZガンダム」
「つまりウルトラマンの3倍より強いと」
典明は頷く。
「正直、今の例が適切なのかわからない。何せ最大10センチのポケット物差しで東京タワーを測ろうとするようなものだから。でもイメージとしては何となくわかるだろ。異常だという訳は」
確かに僕も、何となくはイメージできた。
「でも特区の魔技高専だし、学生会だから優秀な学生が集まっているだけじゃないか」
「魔力で言えば、ロビー先輩以外は大半の先生方より上だ。まあ先生方にも、3人くらいはウルトラマン相手に戦えるのもいたな。ゼットン級も1人」
「参考までにゼットン級とは誰だ」
「困ったことにうちの担当教官だ。さっきの例えで言えばゼットン2人級。ガンダムなら百式。最初に見た時、流石世界的な魔法工学の権威だと思ったよ。それくらい、つまり世界でも指折り数えられる程度のレベルだ」
確かに田奈先生、この分野では世界的な権威ではあるらしい。
だからある意味納得……待てよ。
「ゼットン2人組という事は、ゼットントリオの方が強いという訳か」
「ああ。つまり詩織先輩は多分、世界最強クラスだ」




