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ネヴァースフィア  作者: 天城なぎさ
ハイド原野にて/消えた一家を探せ
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17/18

#017

 1階最後の部屋は、サーラが使ったゲストルーム。

 夫婦の寝室の並びにある、シンプルな部屋。


「サーラ。これは一体、何があった?」

「いや~。派手に寝ちゃった」


 白で統一されたシングルベッド。枕は足元へ行き、シーツはしわくちゃ。掛け布団は、言わずもがな。


「おっちゃんたちのベッドルームと、ある程度同じだな。違うのはベッドがシングルってことか」

「うん。私が使ってたから、この部屋には誰もいないよ」

「いる方が怖いだろ。そんなの」

「それもそうだね」


 カーテンの裏、ベッドの下。クローゼットは相変わらず、触れられない。


「ここにも、いないな。1階はこれで終わりか。階段は上れるんだよな?」

「大丈夫。ちゃんと使えた」

「無駄骨だろうけど、2階も確認しなきゃな」

「外にも捜しに行かなきゃだよ」

「ハァ。マジで何処に行ったんだよ」


 サーラが使ったゲストルームを出て、2階につづく階段を上がる。

 日が当たらないのか、朝なのに真っ暗で、薄気味悪い。


「気味が悪いな。よくここ上がれたな」

「気合いで、上ったよ」

「サーラって何者だよ」

「ただの回復術師(ヒーラー)


 夜の警らだって行ってただろ。路地裏だって、墓地の脇道だって通っていた。このくらいの薄気味悪さなんて、余裕だろ。


「よしっ!」


 サーラだって上がって行ったんだ。ビビってんじゃねぇ!


 階段を上がって2階に着くと、廊下の奥には短めのカーテンの裾から太陽の光が溢れていて、何故か揺れていた。


「サーラが窓開けたのか?」

「ううん。私が最初に来たときから、風に揺れてたよ」

「2階だと、バーンズさんの部屋があるのか」

「そうだね。バーンズさんの部屋は、あの窓の近くの、突き当たりの部屋だよ」

「あとの部屋はゲストルーム? 俺は2階を使うように言われてたし」


 2階は両壁にそれぞれ2つずつ、計4つのドアがある。

 そのうちの1つが、俺が使うように言われていた部屋。


「夜逃げなんてあり得ないよな」

「夜逃げなんて、するような家族じゃないよ」

「だよな。NPC が何の前置きも無く、消えるなんて……」

「そもそもさ、NPC って消えるの?」

「NPC でも、ストーリーに関係するラスボス的なキャラなら、ストーリー終了後に会えなくなるのは定石」

「そうなんだ。知らなかった」

「もしかして、サーラはゲームをあまりやらないタイプ?」

「RPGは好きだけど、私が好きなのは、モンスターを狩るやつなんだ」

「まさか、ハンティング・フロンティアとか? あれは神作だし、俺は全作やってる」

「おお! ハンフロ知ってる人、たくさんいるけど、全作やってる人に会うのは初めて!」

「まぁあれは、ソロか仲間内でやるやつだしね」


 一部屋ずつ見ていくけれど、おっちゃんたち家族が消えた手掛かりが何も見つからない。


「バーンズさんの部屋が最後だね」

「ここに手掛かりのひとつくらい、あれば良いけど」


 ドアを開けて、バーンズさんの部屋を見渡す。


「何も違和感無いな。探すだけ無駄か」

「手がかりの一つでも、何かあれば良いのにね」

「おっちゃんたちの部屋に何もなかったんだ。主人の部屋に何もなくて、息子であるバーンズさんの部屋に、何かあるとは思えない」

「とりあえず一階に戻ろう。下でどうするか考えよう」


 二階の部屋を全て確認した俺たちは、何の手がかりも見つけられないまま、一階へと降りた。

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