#018
手掛かりが何もない。これではゲームのプログラムから完全に、リチャード一家が消されたことになる。
「《カゲロウ》に消されたな」
「まさか!? おっちゃんたち、何もしてないじゃん!」
「《カゲロウ》に関する情報を、俺たちは聞いた。サーラも聞いただろ。愛する人をスフィアの大地に幽閉したって」
「鳥籠だっけ。そこに愛する人がいるって、奥さんが言ってた」
スフィアの大地にある鳥籠に、《カゲロウ》の愛する人がいる。
「ん?」
「どうかしたの?」
「さっき、脱衣所で見つけた絵画、あったよな。確か裏に」
そうだ、あのキャンバスボードの、あの絵画の女性は。
「《愛しのノ》って書いてあった。確証はないけど、あの絵画をもう一度確認する」
「まさか、キャンバスボードが鳥籠!? こんな簡単に謎解けるの!?」
「分からない。だけど、確認しなきゃだろ」
階段を降りたら、脱衣所に直行。あった場所に立て掛けて置いたから、探さなくたって大丈夫。
「この絵だね」
「これが鳥籠なのか? 鳥籠なら、格子状に描かれてるはず」
「誰だろうね。ノア? ノアール? ノラ?」
「ノで始まる名前か……。ノエルとかもありそうだな」
「それにしても、綺麗な人だよね。この人が、《カゲロウ》の愛する人なのかな?」
「イエスともノーとも言えないし、可能性はゼロじゃない」
何もかもが分からない。分からない事だらけだ。
「これからどうしようか? 外にも探しに行ってみる?」
「そうだな。《カゲロウ》に消されたとは言いきれない。探してみるか」
「この絵、どうする?」
「触れてるから、アイテムとして所持が可能だよな?」
実際持ってみて、何も起こらない。
肖像画の女性は微笑んでいて、綺麗な人だ。
何故こんな所に、無造作に置かれていたのか、理由を知りたい。
肖像画がバッグに吸い込まれたのを確認して、脱衣所を出る。
再びリビングに来ると、サーラはロッキングチェアに座り込んで、俯いてしまった。
「サーラ?」
「これからどうしようって、ずっと考えちゃう」
「そうだな。分からないが渋滞してるな」
「ゲームなんだよね? それなのに、チュートリアルすら、何も始まってないんだよ」
「確かに、何も始まってないな。始めの市場に戻るか。そうすれば、チュートリアルが始まるだろうな」




