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ネヴァースフィア  作者: 天城なぎさ
ハイド原野にて/消えた一家を探せ
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15/18

#015

 ロッキングチェアに座り、窓の外の様子を見ながら、バーンズさんを待っていた。


「お待たせ。バーンズ特製、ホットシナモンミルク」

「ありがとうございます。いただきます」

「外、まだ荒れてんな」

「そうですね。嵐はすぐに通り過ぎると、思っていましたけど」

「嵐の夜ってのは、長いもんなんだよ」

「へぇ」


 作ってもらったホットミルクを飲みながら、ただ静かに、二人で外の様子を見ている。


「美味しい……」

「そうだろ?」

「はい。それに、すごく落ち着く」

「リラックス効果ってやつかもな」

「ですね」


 外の様子は変わらない。むしろ、更に酷くなってきた。


「こりゃ、明日も大荒れだな」

「ホルタンクたちは、大丈夫なんですか?」

「こんなの、日常茶飯事だ。アイツらも、慣れっこだよ」

「そうですか。そうだ、聞こうと思っていたんですけど」

「どうした?」

「奥さんが倒れる前、《カゲロウ》が亡くなった愛する人の魂を、スフィアの大地に幽閉したと言っていたのですが」


 バーンズさんは何も言わず、ただ嵐の外を見ているだけ。


「バーンズさん?」

「《カゲロウ様》のことは、あまり口にしてはいけないんだ。この世界の創造神であり、伝説上のお方だ」

「本を読んでみたのですが、何も書かれていませんでした。真っ白なページだけで。おっちゃんも奥さんも、一体」

「さぁーな。俺には全く分からない。そろそろ、俺は寝る」

「そうですか。おやすみなさい」

「おう。おやすみ」


 バーンズさんが自室へと行ってしまったため、俺は暖炉の火を見つめながら、ロッキングチェアで揺れる。


 《カゲロウ》の正体を掴めれば良いけど。

 大体このゲームは、フルダイブ型のゲームなんだろうか。

 ログアウト出来ないのは、チュートリアル中だから? そういや、セーブすら出来ていない。

 このままだと、無断欠勤扱いになるよな。でも、退勤したわけではないから、まだ勤務中?


 元の世界に戻るためにも、早く次に進まなければ。


「そろそろ、ローブは乾いたかな」


 ロッキングチェアマグカップを手近なテーブルに置いて、ローブの確認。


「うん。大体乾いたな。でも、もう少しか」


 夜はまだまだ長い。再びロッキングチェアに座って、ホットシナモンミルクを飲みきる。


「ほっとする……」


 風雨の音が心地良い。ガタガタ鳴っている窓の音は少しうるさいけれど、それも徐々に心地良く思えてくる。

 暖炉の薪の燃えていく音。何ていうんだっけ。なんかリラックス効果があるんだよな。


 微睡みが俺を包み込んで、抗うことなくこの身を任せた。

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