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ネヴァースフィア  作者: 天城なぎさ
ハイド原野にて/消えた一家を探せ
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13/18

#013

「お待たせしました!」

「わりぃ。遅くなった」


 家の中に入ると、サーラとご夫妻が、一足先に食べていた。


KOH(コウ)。このポトフ、凄く美味しいよ!」

「バーンズを呼んで来てくださって、ありがとうございます。KOH(コウ)さんも、冷めないうちにどうぞ」

「はい。いただきます」


 ポトフにサラダに、ステーキも。美味しそうなパンもある。


「うーん! 美味しいです。奥さん、料理上手ですね」

「あらまあ。ありがとうございます。ポトフ、まだまだありますから、たくさん食べてください」


 元いた世界だったら、カップ麺かコンビニ弁当で済ませてた。

 こんな食事をしたのは、いつが最後だっただろう。


「あの。バーンズさんから聞きました。《カゲロウ》に関する書籍が、あるとか」

「その本なら、書棚にある。後で読んでみると良い」


 ***


 食事を終え、就寝まで時間がある。

 ソファーに座っていると、おっちゃんが例の書籍を持ってきてくれた。

 おっちゃんが見せてくれた書籍は、文庫本のような大きさで、ハードカバーの書籍。


「《カゲロウ様》に関する事は書かれている。ただし、それが事実だという証拠は、何処にもない」

「それでも良いです。この世界で何があったのか、俺はそれを知りたいだけなので」


 いつの間にか、外は嵐がやって来ていて、おっちゃんとバーンズさんは、様子を見に行ってしまった。


「ホルタンクの様子を見てくる」

「俺も行こう。嵐が来てるんだ。一人で行くのは、危険過ぎる。KOH(コウ)、すまねぇな」

「お構い無く。何かあったら、呼んでください」


 家の中にいても聞こえてくる、どしゃ降りの大雨と強風の音。窓ガラスも音を立てて、もはや災害の初期段階。


「凄い嵐ですね。奥さん」

「そうね。すぐに治まると良いけど」


 サーラは奥さんと一緒に、ダイニングテーブルで、何やらハンドメイド中。アクセサリーのような物を作っていて、楽しそうにしている。

 読み進めていると、奥さんが俺に話し掛けてきた。


KOH(コウ)さんは、《カゲロウ様》の何を、知りたいのですか?」

「《カゲロウ》とは何者なのか。この世界を作った理由と、冒険者をこの世界に閉じ込めた理由。ですかね」

「私が知っている事を、一つだけ。良いですか?」

「どんな情報でも、嬉しいです」


 奥さんから聞けるなんて、誰が想像できただろう。

 《カゲロウ》に関する事なら、何だって構わない。


「《カゲロウ様》は、愛する人を亡くし、その人の魂を、スフィアの大地に幽閉したと、云われています」

「魂を幽閉した? その魂は、どうなっているんですか?」

()()の中に、入っているそうです。詳しい事は、その。お伝えしたいのですが……。うぅ」


 頭を抱え、転げ落ちるように、倒れてしまった奥さん。


「奥さん!? どう、しよう。奥さん!」

「落ち着け、サーラ。おっちゃんたちを連れて来る。それまで、側にいてやってくれ」

「分かった! 気を付けてね」

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