秘めた願いは
ご飯を食べ終わったあと、おねーさんにシャワーを浴びるよう言われた。
「おれはおねーさんのあとでいーよ」
「いいから先に入ってて。私はあなたの着替えを買ってくるから」
おれが返事をする前におねーさんが出かけてしまった。取り残されたおれは素直におねーさんの優しさに甘えることにした。
人んちのシャワー浴びるってなんか変な感じ。でも…自分の家よりあったかいかも。さっきご飯一緒に食べた時みたいだ。あったかくて心地いい。
それにしても……おねーさんって不思議な人。おれを見た時は嫌そうだったのに、ご飯作ってくれたし、おれのため買い物行ってるし。そこまでしなくてもおれは平気で、だけど……あー…優しくされたから…おねーさんに甘えたくなっちゃう。でも……一緒にいるのは今晩だけだし、泊めてもらってる時点で十分甘えてる。でも、でも……おねーさんの優しさは、もっとって思うあったかさで───────。
はぁ…そんなわがまま言ったら、マネージャーに怒られる。あとで今日の連絡しとかないと。でも、マネージャーがどこかに泊まれって言ったし、問題解決だってするって言ってたし………おねーさん見つけたのはおれだし、ちょっとくらい……もう少しくらい、おねーさんといたらだめかな。
……おねーさんに断られたら、嫌だ────。
そう思った瞬間、あったかいはずのシャワーが雨のように降り注いで、体が少しだけ冷えた気がした。忙しくて忘れてた寂しさが一気に襲ってきて、時間が止まったみたいにぼーっとしていたその時
「着替えここに置いておくわね」
少しこもったおねーさんの声がドアの向こうから聞こえてきた。
「……ありがとう。────おねーさん」
あぁ、やっぱり…このあったかさが今日だけって嫌だ。
せめて、今夜はおねーさんと一緒に───────。




