宴会だー!
助かったからこそ。
あの後、皆で手分けして、アルスランの名産、珍産をかき集めて、俺はダンジョン産のアレコレを用意した。
こうして、オークションスタッフ、いや、翼人族を巻き込んでの宴会が始まった。
「それじゃあ、乾杯の音頭はクリスにお願いしようか。」
「いえいえ。セツナ様こそ、相応しいですわ。」
「ええ~。俺!?」
「はい。是非ともお願いしますわ。」
「しないとダメ?」
宴会参加者、全員が首を縦に振っているなぁ。
「……分かったよ。やるよ。」
「わー!!!」×参加者全員
「え~。解る中で最後の不安が無くなりました。これで、今後は新しい翼人族の国を再建するだけだ。そして……」
「刹那校長先生、あんまり長いと貧血で倒れちゃうよ~。」
「え~!? 今、そのネタ使うか~。……コホン。それでは、翼人族の新しい未来に乾杯!」
「乾杯!」×参加者全員
やっぱり、溜まっていたのか、宴会場が混沌になった。
リンは何故かリーナに説教していて、ランはミヤとセレンにどんどんお酒を呑ませ、シャオはレイカに膝枕して眠っている。
イリスも何故かヴィーザーが椅子になっていて椅子と化したヴィーザーにイリスが座っている。
それを暖かい表情で見ているオークションスタッフの皆さん。
幼少の時代のイリスやヴィーザーはどんな立場だったんだ?
そんな混沌な中、クリスが俺に近付いて話し掛けた。
「セツナ様。お話がございます。」
「刹那兄さん。こっちは私が見てるよ。」
「……分かった。璃音、頼むな。」
「頼まれました。」
「それじゃあ、行こうか、クリス。」
「はい。」
俺とクリスは、会場の皆とお互いに見えるが、聞く耳を立てても聞こえない所に移動した。
「此処なら大丈夫だろう。それで話とは?」
「はい。私、どうしても知りたいのです。私はセツナ様達に出会うまで、未来を、夢を、目標を持てないでいました。そして、今、こうして生きています。だからこそ知りたいのです。実は、解読した古文書には龍族の生き血だけでは、あの様に1度の服用では完治しない筈なのです。しかし、薬の材料と作成は古文書に書いてある通りにしている筈です。つまりは……」
「つまりは、龍族の生き血に原因が有ると。」
「……はい。ですから、助かったからこそ知りたいのです。勿論、セツナ様達が龍族の生き血、そのものを入手出来た事を誰かに漏らす事はしません!」
「……分かった。話しても良い……」
「本当ですか!」
「良いけど。勿論、クリスを信じているよ。だけど、クリスを守る為に契約魔法で縛るけど良いか?」
「構いません。それで話して頂けるならば。」
「……分かった。いくよ。『契約に基づき魂に誓約を受諾せよ。誓約乃儀魂』。終わったよ。」
「それでは話して頂けますね。」
「確かに、アレは正真正銘『龍族の生き血』だよ。ただ、あの血は、最も濃い血を持つ者にお願いしたんだ。」
「え!? 最も濃い血を持つ者!? そ、それでは、……まさか!?」
「そう。現在の龍族の王。龍王クランベル=ドラグナスト様の唯一の子である長女から血を頂いた。」
「え~……ムグゥ~」
俺は慌てて、クリスの口を「手」で塞ぐ。
「落ち着いた? 大声出さない?」
「ムグゥ。」
「手を放すよ。」
「ぷはぁ! セツナ様、本当ですか!?」
「うん。本当。」
「確かに、それ程の血ならば頷けますわ。しかし、セツナ様はどうやって、その様な御方とお知り合いに……!? え!? ちょっと待ってください。今、『長女』と言いましたよね?」
「うん。言ったよ。」
「ま、まさか!? あの中に居る、誰かが……」
「流石に、それ以上は駄目だよ。」
「……はい。取り乱したりして申し訳ありません。」
「そんな訳で、直ぐに用意する事が出来たんだ。」
「納得しました。ありがとうございます。私の為に大切な事を教えて頂いて。」
「それでね。俺の方から、アルスランの冒険者ギルドに話しておくから、必要な時は使ってね。窓口は、受付嬢のサランさんにお願いします。良心的な料金で受けてくれる様に頼んでおくから。それとコレ。」
「あのこの書類は?」
「帝国を除く、4大国の王族への紹介状みたいな物かな。これを王族に見せれば、どれくらいかは分からないけど、良くしてくれると思うよ。」
「セツナ様。大切に使わせて頂きます。」
「それじゃあ、そろそろ戻ろうか。」
「はい。」
こうして、混沌な宴会は夜遅くまで続いた。
翌日
「う~ん。頭、痛い~。」
「大きな声を出さないで~。」
「飲み過ぎるからだよ。」
「皆さん、大丈夫ですか?」
「大丈夫だよ。」
「セツナ様、そうですか。それでは今までありがとうございます。各地に散った者達を呼び、準備が出来次第、故郷に向けて行きたいと思います。」
「ああ。頑張れよ。クリスなら出来る。」
「ええ。私達が覚えている、いえ、それ以上の素晴らしい都にしてみせるわ!」
「セツナ殿。イリス。そして、パーティーメンバーの皆さん。僕達の為にありがとう。僕もクリスと共に皆と頑張りながら、故郷を再建したいと思う。」
「ヴィーザーも頑張れよ。」
「ああ。任せてくれ。」
「イリス。私達を助けてくれてありがとう。」
「ボクはセツナに出会えたからクリスを助ける事が出来たんだから、お礼ならセツナに言って。」
「そんな事、分かっているわ。それでも、私達、幼馴染みじゃない。だからよ。」
「そうだね。クリス。ヴィー。頑張れ。」
「ええ。イリスも頑張れ。」
「ありがとう、イリス。またな。」
「うん。またね、クリス。ヴィー。」
「セツナ様。皆さん。ありがとう。そして、また会いましょう。」
こうして、クリス達と別れ、冒険者ギルドのサランさんにクリス達の今後を頼んで、アルスランを後にした。
俺達はアルスランまで来たから、一旦、都市ミズナヤに戻る事にした。
サランさんから、気になる事を聞いたからだ。
さて、都市ミズナヤで何が待ち受けている事やら。
暖かい応援メッセージと星の加点をお願いします。




