輝きを失いし翼。
地下には何が?
俺達が見たのは、夥しい数の生物のパーツだった。
どうやら、元婚約者候補レータカバは、恐らく同族である、翼人族を使って何らかの人体実験をしていたのだろう。
……胸糞悪い光景だ。
「ざっと見た所、未来や希望に繋がる資料は無さそうだな。」
「セツナ、……お願いします。」
「良いんだな?」
「はい。構いません!」
「分かった。なら、外に出よう。」
「はい。」
俺達は外に出て、俺は周りの安全を確認した後、火属性魔法で、地下を燃やし尽くした。
「え、蒼い炎柱!?」
「上級の魔導師の中の頂点に立つ大魔導師が『白い炎』を出すと聞いた事が有りますが、『蒼い炎』なんて初めて見ました。」
「僕もです。セツナさん。あなたは何者ですか?」
「何者ですか? と言われてもCランク冒険者だ。……さて、燃やし尽くしたかな。次は水属性魔法だな。」
ジュゴーーー!
「流石に、凄い水蒸気だなー。」
「……セツナ。私は心の何処かで信じていたのかもしれません。個人の差は有っても、あそこまでの命を冒涜する行為はしないと信じていました。
そんな幼い私は、愚かな女の子ですか?」
「いや。そんな事は無い。そうやって信じる事は大切な事だ。だが、同時に疑う事も必要なんだ。」
「そうです。クリスの同族を信じ、大切にする想いは素晴らしい事です。だからこそ、貴女が好きです!」
「……ヴィー! いきなり何を言っているの!?」
「真っ赤だー。」
「さて、次は元凶の処理かな。」
「え、それはど……」
「凄まじい轟音と、見た事が無い蒼い炎柱が上がったから見に来れば……。これはこれは、お久し振りです、クリスティーナ王女殿下とヴィーザーじゃないか!?」
「レータカバ!?」
「ほう。こいつがそうか。」
「そういえば、貴方達は誰ですか?」
「俺達か? 俺達はクリスに協力する冒険者パーティーだ。」
「ク、ク、クリスだとぅ! 僕でさえ、この僕でさえ、何時からか認められなくなった愛称呼びを……殺す!
ちょうど良い。僕を認めない者なんか、痛めつければ良い! 殺せば良い!! 更なる生き地獄を味会わせれば良い!!!」
「……レータカバ、もう駄目なのですね。」
「……レータカバ。あの頃のお前はもう居ないんだな。」
「何を言っている。僕は今も昔も『僕』だ!」
そう言った瞬間、レータカバは翼人族としての「翼」を出したが、その色は俺が知る「白」では無く、色が「黒」だった。
「そんな!?」
「レータカバ!? くっ!」
「セツナ。これ以上、レータカバの魂を黒く染めたく有りません。例え、手遅れでも!」
「いいのか?」
「……はい。」
「分かった。2人は下がっていろ!」
「ふん。この僕が何も準備もせずに、此所に来る訳が無いだろう。来い! ポイズンクロウラー!!」
レータカバが来た方向から、巨大な甲虫型の魔物が現れた。
「あははは!! 前回よりも更に改良してある。1つの国を滅ぼした時よりも更に強くなっている。その程度の人数など、自殺行為だな!」
「それは出来ないかもしれないぜ。」
「ふん! 無駄な虚栄心だな。まあ、そのまま、死ねば良い! ポイズンクロウラー、行けぇ!!」
ギョロローーー!!!
「行っくぞー!」
「皆、毒には気を付けるんだ。」
「はい!」×9
「良いのか、お前は行かなくて? これが最後になるかもしれないぞ。」
「セツナ!?」
「大丈夫だ。彼女達は負ける事は無い。勝つさ。」
「なら、先にお前を始末してやる!」
「……、吹き荒れろ 凍結乃氷嵐!」
「おっと、魔法障壁。」
「砕け散りなさい!」
ビシッ! ビシッビシッ! パリーン!!!
「何っ!?」
「向こうは片付いた様だな。」
「バ、バ、バ、バカな!?」
「後はお前、只1人だ。」
「……仕方無い。僕が戦うか。」
「え、消えたわ!」
シュン!
俺は身体1つ分、左に移動して、後ろからの攻撃を躱す。
「何、避けた、いや、偶然だ。この速さに付いていける筈がない!」
しかし、俺はレータカバの攻撃を全て躱す。
「馬鹿な!? 人族如きが躱せる筈が……」
「終わりだ。破っ!」
「グフゥ!」
俺はレータカバの心臓を刺す。
その瞬間、レータカバの顔から、狂気が消える。
それを見たクリスとヴィーザーはレータカバの所に。
「レータカバ!?」
「ゴボッ! 最期でやっとこんな気持ちになるなんてな。 ……ヴィーザー、クリスティーナ王女殿下を頼む。」
「ああ、当然だ!」
「クリスティーナ王女殿下、ゴボッ、……償えない罪を……ゴボッ、ゴボッ、どんな事が有っても支えると、ゴボッ、誓っていたのに。……ゴボッ、ゴボッ! クリスティーナ王女殿下、愛し……、いえ、ゴボッ、ゴボッ、……ヴ、ヴィーザーとお幸せに……」
「レータカバ!?」
「おい!? レータカバ!」
「レーター!!」
「ひ、久しぶりの、ゴボッ、呼び、名、向こうで待……」
「レータ……」
「え、黒い、血!?」
「リン! ラン!」
「え、きゃっ!」
「な、何を!?」
「まさか、お前らが絡んでいたとはな。」
レータカバの口から黒い液体が溢れ出して身体を包み込んでゆく。
レータカバだった者は立ち上がり、挨拶を紡ぐ。
「初めまして。僕の名前は『マルサバー』と言います。以後、お見知り置きを。」
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