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誰の血?

空気の婚約者は何処?

「クリスティーナ王女殿下、少しよろしいでしょうか?」

「貴方は?」

「初めまして。イリスが所属している冒険者パーティーのリーダーを務めるセツナと言います。」

「それで?」

「今回使われた『龍族の生き血』の様な、入手不可能と言える希少な物や、他の入手困難な貴重な物を、何処でどの様な手段で手に入れたかを、冒険者から聞き出す事は礼儀に反するモノです。例え、聞き出す側が王族であってもです。」

「そうですね。しかし……」

「此所に居るイリスの命と引き換えでも、ですか?」

「私はそんな事を望んでいません!」

「なら、イリスが大切な友人であるクリスティーナ王女殿下の為に頑張った。それで良いではありませんか。」

「……そうですね。」

「それではもう暫く、イリスと旧交を温めてください。まだまだ、話し足りないでしょうから。」

「そうします。」

「イリスも久しぶりに友人に出会えたんだ。ゆっくりお話をしてくれば良いよ。」

「分かったよ。」


 俺達とオークションの代表は、イリスを残して部屋を後にした。


「代表、もし余分が有る様なら、今回、クリスティーナ王女殿下に使われた薬の材料を買い取りたいと思うのだが、良いか? 無理なら、薬の素材を教えて欲しい。」

「そうですね。皆さんにはクリスティーナ王女殿下を救って頂いたご恩がございますので、薬のレシピをお教えしましょう。レシピは……となります。」

「ありがとうございます。」

(……うわぁ。全部、ダンジョンの宝箱かドロップアイテムで手に入るよ。それ以外の正統な方法でも、俺達なら普通に取りに行けるよ。)

「しかし、本当に直ぐに取りに行っていましたな。入手不可能とまで云われた『龍族の生き血』を。」

「あははは……。」

「それにあの時、おかしな事も言っておられましたな。『ジュエルタートルの1匹や2匹』と。もしや?」

「さる高貴な方々との関係で、また手に入れたとしても、一辺1cmまでだな。その方々の許可が降りない限りは最大一辺1cmを超える事は無いよ。」

「……そうですか。」

「それで、もし良かったら話してくれないか?」

「……何をですかな?」

「翼人族の故郷が滅びた訳を。」

「……それは」

「そこからは私が話します。」

「クリスティーナ王女殿下!」

「私の命の恩人で、イリスの大切な者達ですから、私の事は『クリス』と呼んでください。」

「分かった、クリス。それで、故郷が滅びた理由は?」

「あれは3年前の事です。」


 クリスの話はこうだった。

 当時、クリスには婚約者候補が2人居て正式に決まったが、選ばれなかった方が激しく抗議をして、結果として貴族籍を剥奪して牢屋に収監されたのだが、怪しげな事を言っていた。

「くくく。このおれ様を選ばない愚かな国など滅びれば良い!」

 ……と。

 そして、5日後に、故郷に1匹の魔物が現れた。

 この魔物が想定外に強く、抵抗虚しく国としての体裁が取れない程の破壊と犠牲者を出した。

 そして、魔物が吐き出す『毒』は、国を再建するという気持ちを失わせる程の痛手を与えた。

 地に落ちれば大地を汚し、川に落ちれば水を汚した。


「そして、私の命を蝕んでいた『毒』でもあります。」

「そうか。」

「その結果、生き残った者達は散り散りになり、廃都と化したのです。私は再起を図りたかった。しかし、民の居ない王族など、意味がありません。」

「……そうか。」

「そして、王族として戦線に立ち、指揮を取り、戦いながら、『毒』の範囲外だと思っていたのですが、『毒』は私の体内に入っていた様で、少しずつ私の身体を蝕んでいたのです。」

「……クリス。」

「でも、イリスが生きていた事で、故郷にはもう『毒』が無いと確信しました。」

「何故?」

「イリスの家族だけは最後まで、再起を訴えていましたから。」

「そうだよ。ボク達の家族は最後まで、頑張ったんだ。……だけど、結局、ボク達以外は誰も居なくなったから、とても悲しかったけど、ボク達家族も故郷の離れたんだ。」

「私達もイリスの家族が諦めた事で、私達もまた王族としてでは無く、只の翼人族として生きる決意をしました。……だけど、」

「そうだな。折角、生き延びたんだ。帰る場所が有るんだから、それを捨てる必要は無い。」

「……そうですよね。」

「所で、牢屋に収監された元婚約者候補はどうなったんだ?」

「それが、当時の混乱で確認出来ていないのですが、牢屋には誰も居らず床には大量の血が有ったので死亡したのだろうと思われます。」

「だけど、その言い方だと、死体は無かったと。」

「……はい。」

「まあ、不安だと思うが、折角、生き延びたんだから、故郷に帰って国を再建したらどうだ? 帝国を除く4大国にはそれなりの伝手が有る。まあ、東の大国オウカと北の大国クロツバキは遠いが、南の大国バイコウや西の大国サザンクロスなら、好意的な交渉内容で協力してくれると思うぞ。それに此所、アルスランにも伝手が有るから、アルスランのCランク冒険者に割安に護衛なんかの荒事を依頼すれば良いしな。なんなら、俺達が費用出そうか。支払いは後払いで。」

「そこまでして頂く訳には。」

「良いの良いの。使う当ても無く、貯まる一方だし、元手が只で、大金に変わる物もまだまだ有るしな。」

「あの、不躾ながら聞きたいのですが、大金に変わるという物は何でしょうか?」

「それはな……」




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― 新着の感想 ―
[一言] もちろん竜の鱗なら値崩れするくらいたくさんありますよね
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