翼人族の王女は今、何処に?
王女殿下の行方は?
「……イリス、イリス=ライン=ローレライ様か!」
「そうだよ。ボクはイリス=ライン=ローレライだよ。」
「それならば、話は別です。クリスティーナ王女殿下とその婚約者のヴァルトブル公爵のヴィーザー子息様は我々が保護しお世話させて頂いております。」
「ちょっと待ってくれ。何故、貴方達が一出品者にそこまでする?」
「それは、我々がクリスティーナ王女殿下やイリス様と同じく『翼人族』だからですよ。」
「!?」
「我等が故郷『バイロイド』は廃都と化していますが、こうして散り散りになった同族を助ける為にオークションを隠れ蓑にして探しております。」
「王女殿下本人かその婚約者の命が危ない筈だ。だから、王女殿下の大切な思い出を金に変えたんだ。何か必要だったんだろう。」
「確かに王女殿下本人が危ない状態です。そして、オークションで大金が動きますが、だからといって、我々がその大金を使える訳では無い為に、断腸の思いで出品されました。」
「それでクリスは助かったの?」
「いいえ。お金で手に入る物は全て整えました。しかし……」
「どうしたの?」
「……後、1品。後、1品が不可能に近い物なのです。」
「それは何だ?」
「貴方様でもほぼ、不可能でしょう。」
「だから、それは何だ?」
「………………龍族の生き血です。」
「何だと……」
「貴方達がどれ程、優秀でも不可能に近い。」
「それは……、本当か?」
「はい。クリスティーナ王女殿下の命を脅かしている毒を解毒するのに必要な材料はとある古文書で調べておりましたが、最後の材料を解読出来た時、我々は1度は絶望しました。それでも今もなお存在していると云われている以上、手に入る可能性が有ると信じて今日まで生きて来たのです。」
「……リーナ。」
「何?」
「リーナ、『あの日』は周りの無関係な人達にはどう広がっているの?」
「中身の無い、王族の伝統行事。」
「……なるほど。本当に徹底的に秘匿しているんだな。」
「我々も諦めたくない。しかし……不可能なのです。」
「『諦めたくない』と言う事は、用意さえ出来れば、助かるという事だよな。」
「そうですが……」
「分かった。俺達が『龍族の生き血』を用意する。」
「なっ!?」
「王女殿下は今、何処に居る。直ぐに行ける様に準備してくれ。」
「セツナ様。幾ら貴方様でも軽々しく言わないで頂きたい。我々がどれ程、手を尽くして来たか……」
「イリス。龍族の生き血は手に入るよな?」
「うん。これでクリスも助かるよ。」
「ご覧の通り、俺よりも王女殿下の安否を気にしている筈のイリスが落ち着いている。イリスが信じる俺を信じて欲しい。」
「分かりました。どれ程の時間で入手出来ますか?」
「生き血を抜き取る道具と器を用意してくれ。直ぐに取ってくる。」
「貴方達は何か知っているのですか?」
「知らない方が良い。」
「……そうですね。誰か!」
「聞いていましたね。直ぐに用意してください。」
「既に用意しております。こちらです。」
「セツナ様。用意出来ましたら、また此所に来て欲しい。」
「分かった。極上の血を持って来る!」
俺は用意された物を受け取ると、皆の下に行き、何処で準備するか相談した。
「マイダンジョンは?」
「上の里は?」
「街長は?」
「冒険者ギルドは?」
「それだ!」
俺達は冒険者ギルドに向かい、受付嬢サランさんに事情を話して、スタッフオンリーの奥で、シャオから採血した。
シャオの血(龍王の長子の血)を器に入れ、彼らの下に向かった。
因みに、採血方法が注射器ではなかった事を俺と璃音は密かに残念に思っていた。
俺達は到着して、代表の部屋に入ると、「こちらです。」と部屋の奥の壁を横にずらして、隠し扉を開ける。
そこから、地下への階段を降りて行くと、扉の前に着く。
「この向こうに居られます。」
「分かった。」
「王女殿下、入って宜しいでしょうか?」
「どうぞ。」
「失礼します。」
「急に来られて、どうしたのですか?」
「クリス!」
「イリスなの?」
「ボク、クリスに出会えて嬉しいよ。」
「私もよ。そう。イリスと出会えたからなのね。」
「王女殿下。それだけではありません。」
「どういう事かしら?」
「遂に手に入れたのです。」
「何を……、まさか、本当ですか?」
「はい。こちらに居られるイリス様を始め、此方の方々が手に入れてくれたのです。」
「……信じられないわ。」
「王女殿下。イリス様は王女殿下に嘘を言う方ですか?」
「いいえ。なら、本当に?」
「はい。」
「ああ。私は未来を夢みても良いのですね。」
「その通りでございます。では、解毒剤を用意してきます。」
暫く、イリスとクリスティーナ王女殿下が旧交を温めていると、用意が出来た様だ。
「さあ。王女殿下、この解毒剤を飲んでください。」
「……分かりましたわ。」
王女殿下が解毒剤を飲んで暫く経つと全身が光り出した。
直ぐに消えたが、消えた後には王女殿下の驚いた顔があった。
「信じられませんわ。あの胸の痛みや息苦しさが全て消えたわ。」
「それは良かったよ。」
「イリス。どんな『血』を用意したの?」
「それは……」
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リン達が両手両足と頭を抑え、シャオが涙目でイヤイヤしながら、シャオは注射器の先端の針を見る。
という鬼畜な妄想をする馬鹿兄妹。
因みに裏ネタですが、璃音は婦長までランクアップした看護師で、後の医院長夫人です。




