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次の目的地は?

 残り数日間の第2王女シルフィナ殿下、いや、仲良くなって愛称のシルと呼ぶ様になり、シルとの時間は楽しい思い出になった。

 実はシルは、「女神の短杖」で塞ぎ込んでいたが、この国に来た時に聞いた通り、本来は元気な姫だった事を思い出す羽目になった。

 元気になったシルは、王女である事を忘れてしまいそうになる程、動き回りはしゃいだ。


 そして、この国ムルシーアを出る日が来た。


 最後まで、元気なシルの笑顔で送られる事に。


「セツナ。それに皆。楽しい日々だったわ。私もこの国で頑張るから、セツナ達が来た時にびっくりするくらい、良い国にしているから、また来てね。」

「ああ。その時を楽しみでまた来るよ。シル、またな。」

「ええ。またね。」


 俺達はシルに見送られながら、この国ムルシーアを後にした。




「……もう、良いよね。キュレ。」

「はい。シルフィナ様。」


 そこには、様々な気持ちが混ざって、大粒の涙を流すシルと呼ばれた女の子が居たが、それはセツナは知らない。




 小国ムルシーアを出た俺達は、イリスの故郷に行く事にした。

 いつかは行こうと思っていたが、流石にそろそろ行った方が良いだろうと提案したら、満場一致で可決された。

 そういう訳で、イリスの故郷に向かっているのだが、イリスの故郷は大陸を上から見た場合で南西にある。

 帝国と南の大国バイコウを繋ぐ大街道を横切ってイリスの故郷に向かう。



 イリスの指示に従い草原を抜け、林を通り、森の奥へと進むとイリスの故郷に到着した。

 そこは既に廃都と化していた。


「ボクの故郷は既に滅びているんだ。皆、散り散りに逃げていたから、何処に居るのかも分からないんだ。」

「……イリス。」

「大丈夫だよ。ボクにはセツナや皆が居る。もう寂しくないよ。」

「そうだな。イリスには俺や皆が居る。」

「そうだよ。」×8

「それで、家族の遺留品を何処で埋葬するんだ?」

「皆、こっちだよ。」


 俺達はイリスの後を付いて行くが、どんどんと中央に近付いている。

 イリスが止まって、イリスの視線の先には廃墟と化しているが、かなり立派な屋敷だったと思う。


「此所がボクのお家だよ。さあ、入って。」


 俺達はイリスの後を付いて行って、そのまま中庭に出る。

 そこには、立派な墓が建っていた。


「お父さん。お母さん。ただいま。とても残念な報告が有るんだ。もうそっちに3人が行っているから知っているだろうけど、レイクお兄ちゃんとルヒトお兄ちゃんとアインお姉ちゃんが旅半ばで死んじゃったの。でも、大丈夫だよ。ボクにはセツナや皆が居る。レイクお兄ちゃん達が居なくなって寂しいけど、今はもう寂しくない。だから、そっちでボクを見守っていてね。」

「初めまして。今、イリスと共に旅をしている冒険者のセツナと言います。イリスの事が気に掛かると思いますが、俺や皆がイリスを守りますから、皆さんは心穏やかにお過ごしください。……イリス。」

「はい。セツナ。」


 俺はイリスの前に膝を着け、イリスに微笑む。


「俺は生涯を掛けてイリスを守り、愛し続ける。だから、俺と結婚して欲しい。愛している、イリス。」

「はい。セツナ。」

「おめでとうございます。」

「ありがとう、リン。」

「おめでとうー。」

「ありがとう、ラン。」

「おめでとうであります。」

「ありがとう、セレン。」

「イリスはん、おめでとうや。」

「ありがとう、ミヤ。」

「おめでとうだね。」

「ありがとう、リーナ。」

「おめでとうなのじゃ。」

「ありがとう、シャオ。」

「おめでとうだ。」

「ありがとう、レイカ。」

「おめでとう。」

「ありがとう、リオン。」


 イリスは遺留品を墓に埋葬して、俺達は墓や周りの清掃をした。

 因みに、この辺りでは墓荒らしとかは居ない様だ。

 まあ、この廃都の周りの魔物は結構強いからな。

 な~んか、頭の隅に引っ掛かるだよなぁ。

 どうやら、璃音も同じみたいだな。


 ……、…………、………………、思い出したー!


「璃音、オークションだ!」

「……!? あーーー!」

「イリス!」

「何、セツナ。」

「イリスのこの家は立派だけど、イリスは王族じゃないよな?」

「そうだよ。ボクは王族じゃないよ。でも、王女様とは仲良くしていたよ。」

「なら、その王女様には大切にしていた『髪飾り』を持っていたか?」


 俺は出来るだけ、あの「髪飾り」の外見を思い出してイリスに伝える。


「何で、セツナが王女様の大切な髪飾りの事を知っているの?」

「前に有ったアルスランのオークションで出品していたんだ。」

「……もしかして?」

「ああ。もしかしたら王女様が生きているかもしれない。最悪、王女様の最期を看取った者がいる。」

「!?」

「イリス、直ぐにアルスランに行くぞ!」

「どうして?」

「そんな大切な『髪飾り』をオークションに出品するという事はお金が必要だという事だ。そして、王女様自身の命が危険に晒されない限り、そんな大切な『想い』をお金には変えない筈だ。」



 俺は中庭の隅にコピーコアを使ってダンジョンを造る。

 ……急いでダンジョン転移を使ってアルスランのマイダンジョンに着き、アルスランのオークション会場に向かい到着する。


「ようこそ。オークション会場に。どの様なご用件でしょうか?」

「至急、最高責任者に会いたい。」

「急に言われましても……」

「人の命が掛かっている。感情に任せた行動をしたくない。」

「……畏まりました。どうぞ、付いて来てください。」

「感謝する。」


 代表として、俺とリーナとイリスで向かった。


「失礼します。お客様が代表に会いたいと来ておりますが、如何されますか?」

「此所まで貴方が連れて来たのですから、何か有るのでしょう。どうぞ、お入りください。」

「失礼します。不躾な来訪にも関わらず面会の許可を頂きありがとうございます。」

「おお、セツナ様ではありませんか!」

「代表とは貴方でしたか。さて、余り時間を掛ける訳には行かないので、早速、本題に入りたいと思います。」

「どうやら、和やかな内容では無い様ですな。」

「はい。俺達が参加したオークションで、滅びた国の王女の『髪飾り』を出品していましたが、その出品者が今、何処に居るかご存知ですか? 勿論、これは貴方達に対しての禁忌だと分かっていますが、1人の命が掛かっている。だから、知っているのなら、教えて欲しい。代金が必要なら白金貨の60枚や70枚、ジュエルタートルの1匹や2匹ぐらい出す。」

「……分かりました。しかし、そこまでする理由を教えて頂きたい。」

「それは、イリスが『翼人族』だからだ。そして、その王女が同じく『翼人族』だからだ!」




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