ムルシーアの王族。
何処に有るのか、女神の短杖。
「受付嬢さん。」
「先程の……はい。何でしょうか?」
「明日以降に王城に行きたいので、使いを出して欲しい。」
「解決に向けて動いて頂けるのは嬉しいのですが、一介の冒険者が会いたいからと言って、会えるようなものではありませんよ。」
「ああ。その辺は大丈夫だから。」
「どういう事ですか?」
「じゅあ、知った時に大声を出さないために、自分の口を自分の手で塞いで……そう。」
「くちは塞ぎました。さあ、話してください。」
「俺の横に居るリーナは、東の大国オウカの第3王女リーナ=イバス=キリュウ殿下で、俺はその王女殿下の婚約者で大公ローザリア=フォン=ロレンツオが俺の義母だ。」
「……ムグー!?」
「だから、向こうも無視は出来ないと思うよ。」
「……はあ。確かに無視は出来ませんね。分かりました。ギルドマスターとして、責任を持って使いを出しますね。」
「えー!? ギルドマスター?」
「そうですよ。」
「何故、受付嬢をやっているんだ?」
「ギルドマスターとしての現場確認と趣味です。では改めて自己紹介するわね。ムルシーアの冒険者ギルドのギルドマスターをしている『ルーリア』よ。宜しくね。」
「……趣味ときたか。まあ、普通なら、この後にギルドマスターからのお話が有るのだろうけど、それを省略出来たと思うとするよ。」
「そうよ。それで宿屋はもう取ったのかしら?」
「ああ。宿屋は『女神の宿り木』だ。」
「分かったわ。王族からの返事が来たら、届けるわね。」
「分かった。宜しく頼む。」
俺達は冒険者ギルドを後にして、宿屋に戻って自由時間にした。
ランとシャオ、セレンとミヤに璃音が情報収集してくると言って、出て行った。
帰ってきたラン達と一緒に夕食を食べて、お風呂に入って、少しのんびりして、ラン達の話を聞く。
話の内容は通りすがりの人や受付嬢(趣味)をやっていたギルドマスターから聞いた話とそれ程違いはなかったが、どうやら、ムルシーアの第2王女シルフィナ=サイラ=ムルシーア殿下が、「女神の短杖」が盗まれたと噂が立ち始めた頃から、余り出歩かず、自室に塞ぎ込んでいるらしい。
人々は以前の王女らしからぬ元気な姿が見れなくなって同情的に思っているみたいだ。
う~ん、まさか……なぁ。
まあ、実際に聞いてからだな。
そんな訳で、今日はこれで就寝。
翌日
朝食を食べ終わると、それを待っていた宿屋の店主が手紙を持ってきた。
店主にお礼を言って部屋に戻ると手紙を見る。
差出人はギルドからだ。
中身を読むと、王族側が手際が良いのか、追い詰められているのか、ギルドが押したのか、分からないが、明日の9時頃に王城から迎えが来るみたいだ。
1日では大した事は出来ないから、今日1日は自由行動にする事にした。
すると、ミヤが、
「アチシ、セツナはんの1日占有権を使うで!」
「先を越されたであります。」
「すまんなぁ、セレンはん。」
「良いであります。楽しみは後にとっておくであります。」
「じゃあ、ミヤ。行こうか。」
「うん。」
まあ、別に何かする事は無かったから良いか。
こんな楽しそうなミヤは初めてだしな。
こうして、ミヤとの1日デートが始まった。
どうやら、ミヤの1日占有権は昨日から考えていた様で、今回のデートはミヤがナビをしながら引っ張っている。
「セツナはん。あの店の甘味が食べたいで。」
「分かった、行こう。」
「あっちの店の飾り細工が見たいのや。」
「良いよ。」
「……綺麗やな。」
「なら、買うか。すみません。これ買います。」
「大銀貨8枚だよ。」
「はい。大銀貨8枚。」
「確かに。良い彼氏だね、お嬢ちゃん。」
「アチシ、子供やない。」
「俺は分かっているよ。ミヤは素敵なお嫁さんだって。」
「……セツナはん。」
「ミヤ、受け取って、付けてみて。」
「アチシはセツナはんに付けて欲しいのや。」
「分かった。……どうかな?」
俺は近くに有った鏡をミヤに向ける。
「綺麗やな。セツナはん。似合う?」
「とっても似合ってて素敵だよ、ミヤ。」
「セツナはん。おおきに。」
「どういたしまして。」
「おうおう。見せびらかしてくれるなあ!」
「ガキがイチャつくじゅあねぇ!」
「お前らには関係無いだろうが!」
「そういう訳にはいかねえな。ガキのイチャつきを見て、大分キズついたんだぜぇ。だから、慰謝料と今後のおれ達の世話をする為に、女を寄越せ!」
「お前ら、奥に来い!」
「いい度胸だな。女が前だからと格好つけた事を後悔するのだな!」
(ミヤの心の声)
セツナはんと馬鹿3人が店の裏路地に行ってから1分後に3つのうめき声と3つの木の枝を折る音と3人分の悲鳴が聞こえたで。
3分後
「ミヤ、待たせたな。さあ、続きをしよう。親切な人達が俺達が楽しい時間を過ごせる様にってお金をくれたんだ。」
「ほうか。ほな、セツナはん。行こうや。」
ミヤの1日デートを充分に楽しんだ俺達は宿屋に帰る。
勿論、最後は専用の宿屋でミヤと甘~い5回戦を行った。
そして、綺麗に魔法で匂いを消した筈なのにランにバレた。
このあとは普通に皆と夕食を済ませ、お風呂に入り、少しのんびりして就寝。
翌日
少し早めに朝食を食べ終わると、待っていた王宮からの使いが声を掛けてきた。
「さあ、行きましょう。王家の方々が待っておられます。」
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