裏ダンジョンのマスター?
次の相手は?
「誰だ?」
「この裏ダンジョンの決定権以外を担当していた者です。」
「過去形という事は?」
「はい。今、このダンジョンはマスターが居ない状態になっています。」
「俺がこのダンジョンのマスターになっても良いのか?」
「はい。わたしに拒否権は有りませんから。」
「分かった。ダンジョン・コアは何処だ?」
「ご案内します。どうぞ、此方へ。」
奥の寺院みたいな建物に入って真っ直ぐに進むと、扉が有り開けると庭園が広がっていて、中央には小さな池が有り、その池には橋で繋がった島がある。
その島の真ん中には、2階建てのコテージが有って俺達は中に入った。
中は、1階が居住区で、2階がコア・ルームだ。
「どうぞ。マスター登録を。」
「お前はどうする?」
「わたしに拒否権は有りません。全ては新しいマスターの判断に従います。」
「分かった。」
俺はマスター登録を開始した。
……なるほどな。
だから、そういう事になっているのか。
そうなると……こうして、と。
「新しいマスター。ご命令を。」
「お前の役目は現状維持だ。俺達が居ない時のこのダンジョンの管理をして貰う。」
「畏まりました。マスター。」
「後、隅に置く事になって悪いが、お前専用の家をこの庭園内に作ったから、そこで暮らしてくれ。このコテージは俺達用に変更して改良するから。」
「わたしに家が……」
「余計なお世話だったか?」
「いえ。寛大な配慮。マスター、ありがとうございます。」
「さて、先ずは表のダンジョンと裏ダンジョンをきちんと分けないとな。……これで良しと。」
「それじゃあ、俺が居ない間は現状維持を頼む……、そういえば、名前は?」
「わたしには名など有りません。」
「便宜上悪いし、俺達が困るから、名を付けたいが良いか?」
「わたしに名が付くのですね。是非ともお願いします。」
「じゃあ、お前の名は『爺』だ。」
「わたしの名は『爺』ですね。その名を拝領致しました。」
「宜しくな、爺。」
「はい。今後も宜しくお願いします、マスター。」
「それでだ、表と裏を繋ぐ『門』だが、鍵のカラクリを数ヶ所の嵌め込みから、9ヶ所全てを正しい位置に嵌めないと『門』が開かない様にした。更に足元には大量のダミーをばらまいてある。爺は冒険者が失敗したら、その都度リセットしてくれ。」
「畏まりました。」
「爺はダンジョンの外に出られるか?」
「はい。」
「なら、何か連絡する必要が有る時は、都市ミズナヤの冒険者ギルドに手紙で冒険者セツナ宛てに送ってくれ。」
「はい。畏まりました。」
「最後に、このコテージを改築して、外の庭園を広げて……と。まあ、こんなもんかな。それじゃあ、後は頼んだぞ、爺。」
「行ってらっしゃいませ。」
俺達は「門」がある部屋にいて、「鍵」がきちんと動くかチェックした。
一旦リセットして俺は嵌め込んでいく。
臨、兵、闘、者、皆、陣、列、在、前、と。……おお、開いたな。
1個抜くと……あ、閉まった。
ダミーを置いても動かないな。……良し、問題は無いな。
俺はリセットして、今度こそダンジョンを後にした。
(創造神エルドロード様。)
(何ー?)
(結局、あの地上の町とかに居た助言おじさんは何?)
(アレは当時、設置したお助けキャラです。)
(なんでまた。)
(流石に現地人には無理ゲーかと思って、つい……)
(何か、「頭脳は大人」なお子様が体験した「VRゲーム」を連想するんだけど?)
(すみません。パク……じゃなくて参考にしました。)
(素材のままのパクは駄目。絶対。だから、天上の方、委譲した仕事1割から2割に変更してください。)
(承知しました。)
(だ~か~ら~。私はさいこうしん~!)
(どっちにしろ、現地人には無理ゲーだ!)
さて、当初の予定の小国ムルシーアに向かいますか。
旅は順調に進み、到着2、30分前の道先案内人も出る事なく、到着した。
とりあえず、宿屋を見つけて先ずは3日分払って、散策をする事にしたのだがどうも様子が変だ。
少し周りの人達に聞いてみよう。
「俺達は冒険者だ。少し前に此処に着いたんだが、何か有ったのか?」
「冒険者か。タイミングが悪い時に来たもんだな。」
「それで何が有った?」
「この国ムルシーアの至宝『女神の短杖』が盗まれたんだ。」
「おいおい。そんな事を今日来た俺達に話して良いのか?」
「問題ない。皆が知っている事だ。むしろ、知らない奴を探す方が難しいだろうぜ。」
「分かった。」
俺達はこの国に起こった問題を無視する事が出来ず、冒険者ギルドで聞いてみる事にした。
「ようこそ。ムルシーアの冒険者ギルドへ。今日はどの様なご用件ですか?」
「俺達は今日、到着したばかりだが、様子が変な為に聞いてみたんだが、この国の至宝『女神の短杖』が盗まれたらしいな。」
「……はい。」
「そうか。なら盗まれた以上に、何か問題が有るのか?」
「……それは、」
「後になって問題が大きくなって対処が難しくなるなんて御免だからな。知っていれば手伝う事が出来る場合も有るだろう。」
「分かりました。それならば、お話します。」
「それは何だ?」
「先ず、『女神の短杖』の能力そのものは、周辺の空気中に漂う魔力を吸収する事で魔法行使の威力や精度が上がるという効果です。ですが、最も重要なのが、歴史的価値です。」
「どういう事だ?」
「この国の至宝『女神の短杖』は、この国の建国に貢献した初代聖女が女神様より与えられたと言い伝えられています。後にこの聖女は初代王妃となります。
だから、『女神の短杖』は、我が国の至宝であり、象徴でもあるのです。」
「他に何か有りますか?」
「これ以上の詳しい事は知りません。」
「情報、ありがとう。」
「解決の一助になれば嬉しいです。」
ギルドの併設している酒場で皆と相談する。
「どうしようか?」
「私はセツナ様に従います。」
「一応、リンも考えてな。」
「はい。分かりました。」
「多分、これ以上となると、当事者の王族に聞くしかないと思うよ。」
「そうだよな、リーナ。」
「仕方無い。窮屈な王宮は嫌だが、放置する方がもっと嫌だから、王城に行くしかないか。」
「そうだね。」
「なら、先ずは隣りのギルドにお願いだな。」
暖かい応援メッセージと星の加点をお願いします。




