前鬼と後鬼と……
次の相手は?
「オレは役小角の剣たる『前鬼』だ!」
「わたしは役小角様の盾たる『後鬼』よ!」
「試練を乗り越えし者達よ、次の試練に立ち向かいし者、3名を選ぶがよい。」
「此所でセツナ様に出て、確実に……」
「ちょっと待て、リン。」
「ヤツは『次の』と言っていた。これで最後なら、『最後の』と言う筈だ。」
「はっ!? そういえば!」
「つまり、まだ先が有るという事だ。」
「なら、誰が出るー。」
「先ずはレイカ。」
「セツナさ、頑張るだ!」
「後は、……」
「あ、私パス。」
「璃音……」
「多分、私だと、向こうに対して対応力が足りないと思うわ。」
「分かった。リーナ、シャオ、頼んだぞ。」
「任せて!」
「任せるのじゃ!」
「決まったぞ!」
「なら、試練に立ち向かいし者達よ、前に。」
適度な緊張感から良い顔のリーナ、シャオ、レイカが前に出る。
「用意は良いな?……始め!」
「行くぜ!」
「行っくよー!」
先ずはリーナは突っ込んで来た前鬼の相手をする。
後鬼は役小角の盾でいるようだな。
リーナが前鬼を抑えている間にシャオの身体強化魔法が3人を包む。
「飛翔乃魂!」
シャオの身体強化魔法で総合力が増した3人は、リーナが対応している前鬼にレイカが加わる。
「行くだ!」
確かに、前鬼と後鬼からは凄まじい圧を感じていたが、皆も決して負けていない。
次第にレイカとリーナが押して来た。
我慢出来なくなったのか、後鬼が加わろうとした時、リーナが抑えに向かう。
そして、シャオも役小角に警戒しながら、後鬼に向かう。
定石なら、先に潰すのは役小角なのだが、流石に守護の盾たる後鬼が許さないだろう。
だから、先に後鬼を潰す。
勿論、レイカだってただ、前鬼と戦っているわけじゃない。
レイカも、前鬼が少しでも、役小角か後鬼に気を移そうとすると、レイカは役小角を攻める様な動きをする。
これでは、「剣」たる前鬼はレイカを無視出来ない。
皆が乗り越えた神々との鍛練は伊達じゃない!
守護の盾たる後鬼は、己の不利を察知して少しずつ役小角に寄って行く。
後鬼の本領は誰かを守る盾の時だろうからな。
暫くはレイカが前鬼を、リーナとシャオが後鬼と戦い、一進一退を繰り広げていたが、後鬼の一瞬の隙を突いて、シャオは前鬼に死覚から「闇乃魔槍」を放つ。
前鬼はシャオの死覚からの魔法攻撃で隙を作る。
「ぐはぁ!」
その隙にレイカが、「降雷鳥」を後鬼の頭上から放つが後鬼には察知されて防がれるが、リーナとシャオには充分だった。
「くっ!」
「今なのじゃ!」
「降魔乃光槍!」
「ガァッ!」
「闇乃処女!」
「ギィャア!」
「付与、烈光聖槍! 征っ!」
「ガァッアー……」
「後鬼!?」
「付与、雷帝閃斧!」
「しまっ……」
「破っ!」
「グッ……」
「ラスト!」
「ぐはっ!」
「やった!」×3
「見事だ。」
「え!?」
声の方向から倒した筈の役小角が立っていた。
そして、リーナ達が倒した役小角は居らず、千切れた人型の紙が舞っていた。
「そうか。身代わりの依り代か。」
「そういう事だ。さて、ご苦労だったな鬼達よ。」
役小角がそう言った瞬間、5色の角と、前鬼と後鬼は角だけになり、その角は白色と黒色だった。
7色の角は役小角に吸収されて、
「陰陽五行、鬼神降臨!」
「そうか! 先程までの戦いは前哨戦だったという事か!」
「そういう事だ。さて、7体分の鬼の力を得た儂に勝てるかな?」
「璃音、行く?」
「私、脳筋はタイプでは無いの。それに……」
「それに?」
「さっきの戦い、私も参加していたのよね。応援の声は禁止していなかったから、『同調心話』で、ね。」
「じゃあ、最後の方のシャオとレイカの不意打ちは?」
「てへ。」
「……なら、良いんだな?」
「刹那兄さん。どうぞ。」
「最後は俺が出る!!」
「最後まで出ない呆痴者かと思ったぞ。」
「皆の成長を思うが故だ。」
「そうか。では、用意は良いな?……始め!」
これは確かに強い!
酒呑童子も強かったが、前鬼の方が強い。
酒呑童子が兵士長なら、前鬼は騎士団長だ。
当然、後鬼も強かった。
7体分の鬼を吸収した役小角は確かに強い。
「どうした? 手も足も出ないのか?」
だが、俺の方が強い!!
「今度は俺から行くぜ!」
「な!? ぐ、ガァッ! ギ、ぐはっ!」
俺は腰に装備している童子切り安綱を抜かず、体術で攻める。
そして、怯んだ隙に、
「鬼龍神紋、解放!」
「な、何だ、その力は!?」
「抜刀。童子切り安綱『鬼切』!」
「その刀は!?」
「そうだ。『鬼』を斬る為に生まれた『刀』だ!」
「儂は負けぬ。陰陽五行……『煌滅輪』!」
「それが全力だな? なら、俺はそれを超える!」
「破っ!」
「何!? 儂の煌滅輪を斬ったじゃと!」
俺は納刀して、静かに言の葉を紡ぐ。
「付与、審判乃轟雷。」
「なっ!?」
「……神罰を降す。雷皇閃斬『神威』 覇っ!」
「ガァッーーー!!!」
「ふう。勝った。鬼龍神紋、封縛。」
「お見事です。セツナ様。」
「ありがとう、リン。」
「所で、刹那兄さん。」
「何だ、璃音?」
「正直な所、普通に戦っても勝てたんじゃない?」
「セツナ君、そうなの?」
「うん。実は普通に戦っても勝てた。」
「じゃあ、何故なのじゃ?」
「前回の神々のダンジョンでは、最後には真打ちみたいに出番かと思ったら、無かっただろ?」
「うんうん。」×9
「だから、次に出番が来たら、少し派手にやろうと思っていたんだ。」
「確かに、あのスカ振りは悔しいと思うであります。」
「まあ、そういう訳だ。」
「裏ダンジョン攻略、おめでとうございます。」
暖かい応援メッセージと星の加点をお願いします。




