筆記試験。
筆記試験の内容とは?
俺は筆記試験の内容を見た瞬間に驚愕した。
もしかしたら、他の意味が有るのかと、どっかの「じっちゃん」が有名な高校生や、「頭脳は大人、見た目は可愛らしい子供」が好きな暗号が隠されていないかと、必死に考えたが見当たらなかった。
仕方無く、筆記試験に真剣に取り掛かり、全てを書き終えても時間が許す限り、何度も何度も確認した。
「そこまで。」
時間が来た様で、筆記試験の終了を宣言したので、指示に従い、その場から離れ、監視兼試験官が筆記試験の問題用紙を回収して、その場から立ち去った後、入れ替わりに皆とヒルド女王陛下が入って来た。
「セツナ、どうであった?」
「セツナ様。どうでしたか?」
「セツナ、辛そうな顔ー。」
皆が口々に心配そうに話し掛けてくれるが、俺としては上手く感情を伝える事が……出来なかった。
暫く経つと、筆記試験の時の監視兼試験官が入って来た。
その顔は何とも言えない顔だった。
確かにそうだろう。
俺の予想が当たっているのなら、そういう表情になるのは頷ける。
「セツナ。」
「セツナ様。」
「セツナー。」
重く静かな空気の中で、監視兼試験官が結果発表をする。
「筆記試験、出題数100問。1つ1点の満点が100点で、獲得点数は……100点です。」
「本当か!?」
「はい。ヒルド女王陛下。我々も間違いが有ってはならない為に複数人により、何度も確かめました。いやはや、過去最高点ですよ。素晴らしい頭脳の持ち主です。セツナ殿、お疲れ様でした。」
「セツナ。とりあえず、部屋に戻って寛いでいてくれ。今後の話をしたいからな。」
「分かった。」
こうして、胃に悪い筆記試験が終了した。
部屋に戻った俺達だが、どうやら、皆、筆記試験の内容が気になる様だ。
「セツナ様。先ずは筆記試験満点、おめでとうございます。」
「ありがとう、リン。」
「しかし、セツナ様を貶める気は一切ございませんが、仮にも4大国の1つ、北の大国クロツバキの『最難関』とヒルド女王陛下が言っていた筆記試験で満点。どの様な『計算問題』だったのでしょうか?」
「セツナ君。私も気になるわ。」
「……皆には非常に言い難い。俺としてもまさか、あんな問題が出るとは思っても見なかった。」
「……刹那兄さん、まさか……」
「ああ。璃音、『テンプレ』……だったよ。」
「……そんな。確かにそれなら、皆には言い難いよね。」
「セツナ様。リオン。どういう事ですか?」
「セツナ君。どういう事か教えて!」
「どうしてもか?」
「どうしても!」
「刹那兄さん。私も辛いわ。けど、言うしかないわ。」
「……そうだな。筆記試験の問題は俺には簡単過ぎたんだ。余りの内容に、ソレ以外の可能性を探したが無かった。仕方無く、普通に問題を解いたが、不安になり、何度も確認を続けた。」
「刹那兄さん、範囲は?」
「……小4から中1まで。」
「正しく『テンプレ』ね。」
「セツナ君。どういう事?」
「俺と璃音の前世では魔法が存在しないからこそ、『理論的学問』が発達していた。だから、先程の筆記試験は俺と璃音の前世にとっては、『子供』の内に修めている内容なんだ。」
「多分、帝国も含む5大国の初代達は、当然、学問にも力を入れていたと思うけど、やっぱり魔法が有ると発展し難いんじゃないかな?」
「そうだろうな。理論的学問は結局は平和が前提じゃないと発展しないだろしな。」
「なら、セツナとリオンの前世では、筆記試験の内容はいつ頃、学ぶのじゃ?」
「……10歳から。」
「本当なの、セツナ君。」
「ああ。」
「あのアリアが65点しか取れなかった筆記試験を?」
「ああ。」
「セツナの前世とは、改めてどんな世界か気になるのじゃ。」
部屋の外から、少々荒い足音が聞こえて来ると思っていたら、ノックもしないでヒルド女王陛下が入って来た。
「セツナ! 本当に100点だったぞ!」
「どうした、全員暗い顔して、100点だぞ。満点だぞ。もっと喜んだらどうだ?」
「それで、俺達はこの後、何をすれば良いんだ?」
「あ、ああ。明後日、セツナとランの婚約披露宴を開く。後、この書類にセツナとランは記入してくれ。
……良し、確かに。じゃあ、この後、婚約披露宴で着る衣装合わせがあるから、このまま部屋で待っていてくれ。」
この後、俺達は各々の衣装合わせをして、婚約披露宴までのんびり過ごした。
婚約披露宴当日
朝食後に、それなりに浴室で磨かれ俺達は婚約披露宴に臨んだ。
「さて、この度の婚約披露宴は、10年前に行方不明だった我が娘が帰って来た。そして、素晴らしい『番』を見つけて来た。その男は『セツナ』と言う。
この者の強さは我等が騎士達全員と模擬戦で全勝した。更に、我が国最難関の『筆記試験』において、100点満点を弾きだした。我が娘ランのこれ以上の相手は居るまい。
皆の者よ、祝福して欲しい。」
「おめでとうございます。 ヒルド女王陛下!」
「おめでとうございます。ラン王女殿下!」
「大国クロツバキ、万歳!」
ヒルド女王陛下の宣言的な言葉の後は、恒例の挨拶廻り。
「……終わった~。」
「終わったー。」
「お疲れ様、セツナ。ラン。」
「明日からはどうする?」
「とりあえず、南の大国バイコウに向かうよ。予定を途中で中断して来たからな。」
「分かった。で、本音は?」
「当然、貴族達のお茶会等の招待から逃げる為。」
「分かった。今日はゆっくりして明日からの英気を養えるが良かろう。」
こうして、俺達は北の大国クロツバキを後にして、南の大国バイコウを目指した。
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