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言い掛かりやん。

叫んだのは誰?

「どういう事でしょうか、メンブレン?」

「わたしが人族如きに負ける訳がない! 何かズルや仕掛けをしているに違いない!」

「なら、証拠をだせよ。」

「そんな物は必要無い! わたしが違反が有ると言ったら、それが違反だ!」

「話にならないな。俺の故郷では、お前の様な奴をなんて言うか教えてやろうか?」

「何だ?」

「今のお前の様な奴を『負け犬の遠吠え』て言うんだよ!」

「なっ!」

「既に勝敗が決している状態で文句を言ってんじゃねえよ!」

「今回は調……」

「今回は調子が悪い? はん! 参加者全員が同じ条件だよ。それとも、陽射しで目が眩んだのか、俺が予想以上の動きをしたから、俺が身体強化を使うとは思わなかったから、俺の攻撃でダメージを受けるとは思わなかったから、試合前に構築した戦術が使えなかったから、自身が高位の貴族だから対戦相手はソレを考慮しなければないないとか、それとも、試合前の八百長工作が出来なかったからとか、獣人族全ての誇りを地に(おと)す様な事は言わないよな!!」

「くっ!」


 ブウウウウウウウウー------!!!


 俺の言葉を聞いて、観客席の獣人族全てが一斉にブーイングを上げる。


「サルビア女王陛下に伝えたい事がございます。」

「許す。」

「ありがとうございます。このメンブレンは、卑怯にも試合前に俺に対して、金銭に因る八百長や命を奪う等の脅迫をして来ました。」

「何!?」

「そんな事はしていない!」

「敗者は黙っておれ! 続きを申せ。」

「はい。しかも、3度も。そして、この神聖な大会を、負けたから無効を訴えると言う、獣人族全ての誇りを汚すという愚行を行いました。このメンブレンは貴族で公爵と言っていました。この様な誇り無き愚者を、獣人族全ての代表の1人にしていて良いのですか?」

「うむ。そなたの言う事は充分に審議する必要が有るな。」

「そんなサルビア女王陛下! 薄汚い人族の言う事を信じるのですか?」

「黙れ! 先程の発言だけではない! 試合終了後の無効を訴える発言自体が、この神聖な大会を汚す行為。それだけでも充分だ!」

「……仕方無い。出来るだけ血を流したく無かったが、やむを得ない。……ヤれ!」


 負け犬メンブレンが、何らかの指示を出した瞬間、サルビア女王陛下に強襲を仕掛ける奴等が現れた。

 サルビア女王陛下の護衛が対応しようとしているが、護衛の数が足りない。


「くぅあははははははーーー! これでこの国はわたしの物だ!!」


「そうはさせない!」×9


「何!?」

「残念だったな、メンブレン。リン=ビスト=シュカの護衛が守ってくれたぞ。」

「……そんな馬鹿な!?」

「何をしている! 国家反逆者のメンブレンを捕縛せぬか!」

「はっ!」

「放せ! わたしは公爵のメンブレンだぞ!」

「負け犬が吠えるな!」

「放せー!」


 負け犬メンブレンは衛兵によって連行された。

 そして、サルビア女王陛下は立ち上がり声高らかに宣言した。


「改めて宣言する。勝者セツナ! リン=ビスト=シュカの正式な『番』とする。異論を申す者は獣人族の誇り無き者とする。」


 うおおおおおおおおお--ーー!!!


「勝者セツナよ、宣言せよ!」

「俺は、リン=ビスト=シュカを番にする事を誓う!」


 うおおおおおお--ーー!!!


「これにて、大会を閉会する!」


 観客席のリンが人混みを()(くぐ)りながら、最前列に到着すると俺に向かって飛んだ!


「セツナ様--ー!!!」

「リン、お帰り。」

「ただいまです、セツナ様。」

「ブー--ー!!!」

「見せびらかしてくれるじゃないか!」

(あん)ちゃん、今夜、死ぬなよ!」

「リア充、爆発して()げろ!」


 リンを抱き締めた瞬間、観客席から暖かい野次(やじ)が飛んで来た。

 ……!?

 ちょっと待て!?

 最後の奴、何て言った!?

 駄目だ。

 ……見失った。


 仕方無い。諦めよう、今は!


 闘技場を後にした俺達は、王宮でサルビア女王陛下と宴会中だ。

 因みに、国で正式に俺とリンが「番」認定されたので、リンの家族も居る。

 どうやら、サルビア女王陛下が招待して大会を見ていた様だ。


「セツナよ、これで名実共にリンの番だな。」

「ええ。これでリンが王家の血が流れている事を必要以上に気にする事が無くなりました。」

「そうね。リンも胸を張っていられるわね。」

「はい、お母様。」

「それで、リン。」

「はい、お父様。」

「孫は……」


 ルシムさんが、ある意味で禁句を漏らした瞬間、ルシムさんの周りだけ気温がドンドン下がっていった。


「お父様。そういう発言はこの場では相応しくないと思いますよ。」

「分かった分かった。全く、年々、ミーシャに似て来てるな。」

「……主人(あなた)?」

「ひぃっ!?」

「何が似てきたのかしら?」

「勿論、ミーシャの魅力と美しさだよ。」

「あら、リンの前で何を言っているのよ。」


 どうやら、ルシムさんは命からがら逃げ切る事が出来た様で、同時にリンから発する自然現象は終わったみたいだな。


「それで、セツナはこの後はどうするのだ?」

「そうだな。南もヤっちゃったから、北に行って認めて貰おうかと思うよ。」

「そうか。これだけ『嫁』が居ると大変だな。」

「そうでも有るけど、そうでもない。やっぱり毎日が充実しているよ。」

「良かったな。」

「ああ。勿論だ。」 


 翌日


 サルビア女王陛下やルシムさんやミーシャさんに挨拶した後、当初の予定を変更して北の大国クロツバキに向かう事にした。

 途中で確認の為にアルスランに寄る予定だ。


「クロツバキに向かって出発だ!」

「はい!」×9

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