007―2 7回目の憑依 ~孔伷さん、ついに中華全土を統一する?~
「孔伷様ァ、今日はどんなご命令を――」
黙れクリーチャー! 今日も今日とてクリーチャーとの戦いは続く。
「陶謙、王朗に褒美を与える」
「おお、敵だった者への配慮かたじけない。これからさらに忠誠を誓いましょうぞ」
というわりに、忠誠97止まりの陶謙さん。おい。
「おお、約束通りそれがしは孔伷様にお仕えいたします」
金の切れ目が縁の切れ目と言わんばかりの王朗、忠誠は99。
あとは兵士振り分けで終了か。
◇◇◇
―― 184年2月 春 ――
「孔伷様、ムクチャ……呂曠と申す者が訪ねてモグ……ゴクンきております」
口の中ないないしてから取り次げや! うちの参謀が食いしん坊問題。前回同じく参謀にしてみたけど、陶謙の方が良かったか?
後ろに呂曠がいる。いい加減アポなし訪問制度やめにしないか?
『名声アゲ! 名声アゲ!』
ループ7回目となると孔伷さんも、なんとなく分かってきたらしい。話も聞かずに断る気になってらっしゃる。
「お初にお目にかかる! 実は孔伷殿に見ていただきたい代物があるのだ。“そんしぃの兵法書”、これが何と今なら――」
見るからにパチモン……。
「いやもう帰れ!」
こういうのが本当の奸賊って言うのだ。もちろんお帰り願った。
「孔伷様ァ、あたくしにィ命じてェ! なんかすんごいの命じてェ!」
「ハウス!」
「あぁんいけずぅ! クールすぎて、すんごいくるぅ!」
何を言ってもへこたれない。この1ヶ月でクリーチャーにとって罵倒はご褒美なのだと理解した。
「寿春を攻める!」
「孔伷攻め、劉繇受け……もうそんなのオキャンタマァー!」
やめて、最近他の配下に距離取られてるのお前のせいだから! ……これセクハラで訴えてもいいのでは?
『オキャンタマァー!』
孔伷さんも乗っかるのやめなさいッ! そのプラカード早く捨てなさい。
ちなみに寿春の劉繇のところに糜竺君が再就職してた。すまんな、そこ斜陽君主なんだ……。
◇
―― 寿春の戦い ――
「――武士道とはぁ! 死ぬこととあと怪我することにも注意が必要でござるう!」
どこで得てきたその半端知識! でも劉繇を捕らえてくる辺り腕は立つらしい。
『劉繇軍の君主を倒しました』
張英の配置が違うだけで結果は同じ。
あとは登用できれば……。
◇
「孔伷様攻め、劉繇受け、糜竺ちゃんが横恋慕……そこに張英がキちゃうの? ――もうオキャンタマァー!」
「すまぬ、持病の胃腸炎が……」
「天の声がやめておけと……」
「プキギ!? プギィ!」
劉繇、張英、糜竺にすげなく断られた。原因は……誰だよ捕虜交渉の場にクリーチャー解き放ったやつは!
はあ、あとは褒美か編成しかやることが……。陶謙、王朗にお疲れ金を渡して終了。
◇◇◇
―― 184年3月 春 ――
幽州琢県楼桑村にて――
美しい花が咲き誇る桃園に一角に、3人の男たちの姿があった。
『うっひょー、旨そうな料理に良い匂いの酒じゃねぇか!』
ぼさぼさの頭に輪っかをつけて髪を上げている左頬に傷のある大男が舌なめずりをする。
『待て翼徳よ、ここは劉備殿の母上が準備なさった宴じゃ。まずは劉備殿にご挨拶を』
黒の巾に胸元まで伸びた美しいあご鬚の美丈夫がそれをいなし、劉備と呼ばれた若者に拱手をする。
『ああ、雲長の言うとおりだ。わりぃわりぃ! それじゃあ俺たちは劉備殿を主とし――』
『お待ちくだされ、関羽殿、張飛殿。たしかに私は漢の帝王の血筋ではございますが、まだ何一つ成し遂げていない若造です。貴殿ら豪傑の主などとてもとても……』
関羽、張飛の言をとんでもないと劉備は申し訳なさそうに頭を振る。
『おいおい、今さらそんなこと言いっこなしだぜ!』
『まあ、待て! 劉備殿がそう言われるならば……そうだな、ここで義兄弟の盃を酌み交わすのであればどうであろう』
『おお、それなら喜んで!』
『まあ義兄弟と言っても、我らは劉備殿を主と仰いでいます。その意味で劉備殿を一番兄とさせていただきたい』
『おう! それならいいぜ! じゃあ雲長が次兄だな!』
『……お二人がそれで良いのなら』
『『おう!』』
3人が盃を掲げ、声を上げる。
『『『我ら天に誓う! 我ら生まれし時は違えども! 死す時は同じ日同じ時を願わんッ!!』』』
『ふう、旨いな。ははは』
『うほっ』
『ふふふ』
3人は盃を空けるとそれぞれ右手を天高く上げ、背中を仰け反らせて笑いあうのだった。
それは義兄弟の誓いをする盃でもあり、主従の誓いをする盃でもあった。人はこれを桃園の誓いと呼んだ。
以上、ロングバージョンでお送りされました。提供はヨコヤマ三国志……これ禁則事項にしとけよ。
ちなみに先の話になるが、この日からちょうど10年後のこと。劉備は幽州を治める劉焉の配下として、北平の公孫瓚に攻め込み敗北。そしてそのまま解放されることなく公孫瓚に斬首されることになる。
孔伷と絡むことなく義兄弟の誓いは破られるのだ。ざまぁの飯うまでございます。
さて、そんな今月は――
「皆の者、孔伷様と共に天下布武を成し遂げようでござる」
どこの信長だよ。まあ兵士補充はそこそこ出来たけど。
「あーあ、腹減ったよなぁ。新しい太守様は何もしてくれねぇ」
とぼやく住民たちにお米配りを実施する。最後は――
「陶謙に呂布将軍のスカウトに行ってもらいたい」
「ゲフッ! 呂布殿はお金に汚いとの噂ですぞ。そのような者に渡す金があるならば、それがしが鬼神のような働きをお約束しますゆえ、どうぞそれがしの奉禄を――」
こいつ参謀で大丈夫か? とりあえず王朗は無視して、陶謙にファーストコンタクトに行ってもらった。
「申し訳ございません。呂布殿に断られました……」
陶謙、どんまい! 王朗はほらねって顔すんな!
◇◇◇
―― 184年4月 夏 ――
『孫堅軍が建業へ攻めこみました』
げえ孫堅! さくっと劉繇が負けて盧江を塞ぎやがった!
『張角軍が譙へ攻めこみました』
展開が早い……。
今月、寿春の在野に傅巽、徐州に荀攸がいる!
「なんとわしの領地に荀攸殿が来ておるぞ」
「や、やめておいた方が良いのではありませぬか? そうだ、それがしは人材育成よりも民の様子を見て回り、民心を安定させることをおすすめしますぞ」
なんでそんなこと言うかな? 急に汗をだらだらとかき始めたよ。
「そうか、わかった。陶謙殿、徐州の荀攸殿を登用したい。謙虚な気持ちで接すれば心揺らぐやもしれぬ」
「そんなぁ!」
王朗の助言は全無視、陶謙さんお願いします!
「わしにお任せを――」
陶謙が一礼して去っていく。マジで頼んだよ!
◇
「わしの夢を託した孔伷殿は素晴らしきお方じゃ。どうだ、荀攸殿も共に歴史に名を遺す千載一遇の――」
高齢者特有の長い長いフリートークもいよいよ本題に。お願いします!
「そうですね、私もこのままではいけないと思っていたところです。この荀攸、孔伷様にお仕えいたします」
うおおおおおおおおおおおッ! きた! ナイスナイスナイスッ! ナイッスぅ!!
「コンコン、アンアン! 入りまーす、入っちゃいまーす。あらん、孔伷様ったら何か良い事があったのォ?」
「……何もない」
一気にすんってなったわ。人が荀攸先生ゲットで喜んでるところ水ぶっかけやがって!
まあとにかく、荀攸先生が来てくれたよ。とりあえず参謀、褒美のコンボで厚遇させてもらいやす!
◇
「お初にお目にかかります。私は荀攸公達、どうぞよろしくお願いいたします」
「おお、荀攸殿! よくぞ来てくれた! これから参謀としてわしの相談に乗ってもらいたい」
「私のような若輩者に参謀など……。しかし選ばれた以上はお役に立ちましょうぞ」
相変わらずの薄青のお洒落漢服のイケメン荀攸。参謀と褒美でプレゼント。こういうときに騒ぎそうなクリーチャーについては事前に倉庫に封じ込めているのでこの場は静かだ。
「ああ、それがしの参謀年俸300が……ううう」
王朗、お前参謀職を外されるのが嫌で反対してたのか! この俗物め。
さて、人事官不在で傅巽君は見送るとして、最後の命令書をどう使うか。
ちなみに孔伷さんはお疲れ状態で動けない。
孫堅のせいで、徐州、寿春に張角が侵略してきたときの逃げ道が無くなっている危険な状態、これを回避するには――
『俗物にお仕置きを!』
孔伷さんも無駄にテンション高い。そうだな、ダメ元で王朗に頑張ってもらうしかないか!
「王朗に褒美をもらう機会を与えよう――」
「おお! それがしに褒美を――」
「王朗殿に盧江攻めを命じる! うまく攻略できれば褒美案件だぞ」
「え? 出陣するのはそれがしだけ? そんなぁ!」
働かざる者、食うべからずだっつの! 早く行け!
ちなみに、劉繇の兵力は6800だけど、王朗の兵力は1万。張英に気をつけつつ、劉繇を叩けばなんとかなるはず。
「ほう……互角でございます。王朗殿の采配がものをいうときでございます」
ほら、荀攸先生も互角とおっしゃってる。
「王朗殿のために、拙者とともに死ぬでござる!」
それだと無理心中だから。
「まあ、命は大事にな……」
武官は兵士としてどこでも赴くわけだが、毎回戦争に勝とうが負けようが戻ってくる漢武って実はすごい奴かもしれない。
名前:荀攸
所在:寿春
身分:一般
忠誠:100
年齢:28歳
武力:49
知力:95
政治:90
魅力:82
勇名:280
経験:10000
陣形:鶴翼 魚鱗 雁行 生者
特殊能力:??
荀攸公達、曹操の配下で荀彧の6歳年上の甥。演義だと曹操が魏王就任の意向を出し方ときに反対して不興を買う。曹操と一緒に仕事するのにストレス感じすぎて病死。正史では曹操との関係は良好で、孫権討伐の途中で病死した。甘めのマスク、薄青い漢服のイケメン先生。
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