006―3 6回目の憑依 ~つまるところ神なんていない~
さて、寿春に入る前に決める事がある。武将が増えるとやることが多いのね。
「――この勝利、天に感謝を! ところで孔伷様、糜竺殿はどちらに?」
「糜竺は徐州の太守にする」
「なんと! 齢20ですでに徐州太守とは……やはり天の声が!」
「「「天に感謝を!」」」
お前ら、おめでとうの一言ぐらいあっても……いや目が怖いので大丈夫です。小窓の孔伷さんが『祝! 2連勝!!』ってくす玉割ってお祝いしてくれてるから良しとしよう。
「寿春にはわしと王朗が入る」
譙も徐州も兵士0だけど、黄色い虎と橙色の虎がうろうろしている危険地域だ。張英が逃げた建業も含めて撒き餌みたいなもの。3つの土地を争って喰いあってほしい。これぞ正史の荀彧さんが提唱した二虎競食だ。
「まだだ! まだ終わっていない……! 我が夢はまだ終わらぬぞ」
なんかどこかで聞いたセリフ。気色ばんだ劉繇をなだめて口説こうかと思ったら――
「……孔伷様、領地の残っている君主は登用できません」
まじか、張英も捕らえておかないとスカウト交渉が出来ないと!? 解放するか処断するか、まあ別に劉繇は無害。むしろ建業で孫堅の壁になってくれるありがたい存在と思う。
「仕方ない解放しよう」
「余裕だな孔伷。余裕は油断を生む、その時が貴様の……」
貴様の……なんだよ! あまりの言い草に、ついつい腰の剣に手をかけてしまった。
「……早く連れていけ」
漢武の指示が遅かったら、斬ってる自信がある。
「――余裕なんてねえわ」
余裕か、そんなものがあればもっと上手く立ち回ってるし、譙や徐州の住民たちを守ることだって出来るのに…………なのに俺は――
「さあ、皆さん天に感謝を!」
「「「天に感謝を!」」」「……感謝を!」
「シリアスする時間をください」
電波一族が! 一応、力を持たない君主の苦悩的な場面なんだけど。まあ柄じゃないか。
……さて気を取り直して。今月はあと2回命令ができる。
【軍事】は孔伷も王朗も疲れて編成ぐらいしかできない。【内政】も徐州で巡察ができるだけ、これも意味はほぼない。
王朗の忠誠度を上げる、と言いたいところだけど登用で戦力をアップさせたい。
実はループしている最中に目を付けていた武将がいる。忠誠度は90とそこそこ高いが、新野の丁原の配下に三国志最強の武将がいるんだ。取扱い注意の武将ではあるけど、少しだけ余裕のある今こそチャレンジをすべきだと思う。
「新野の呂布殿を登用したい。麋竺、陳珪のどちらかで成功できないか?」
2人とも政治79と孔伷さんよりかなり高い。
やってみる価値はあるでしょ?
「――あれ? 陳珪爺ちゃんの助言……ないの?」
参謀の陳珪爺ちゃんを徐州に置いてきたせいで助言がもらえない。とり急ぎ呼び寄せ……ると今度は麋竺君が失敗したら今月のチャレンジができない。仕方ない、麋竺君の交渉術に期待しよう。
早馬を巧みに操る糜竺君が、さくっと呂布のところに到着した。眉間に皺を寄せて麋竺君をガンつけてる強面の大男が呂布、孔伷さんが行かなくて良かったと胸を撫で下ろしてる。
「呂布将軍、あなたに天の声が聞こえますか? 今からでも遅くはありません、私たちと共に天に感謝を――」
おい! なんの勧誘してんだよ! この若干トリップした表情で口説く麋竺君にさしもの呂布将軍もドン引き。
「ふざけたことを……! わしに天の声など聞こえぬ、そのようなものがなくても金さえあればそれで良いわッ!!」
ひええ、あまりの迫力に麋竺君が腰を抜かしながら徐州に帰ってきた。
……あと1回か、陳珪爺ちゃん頼んだ!!
「ふむ、ここはわしにお任せください」
老骨と乗ってる馬に同時に鞭打って、いざ呂布の元へ――
「金500差し上げる!」
机にお金をドン、露骨! 交渉も何もない……おい、爺ぃ! いくら金に汚い呂布でもなびくわけ――
「私のような無骨者をそこまで……! 男冥利に尽きるというものよ」
えええええええ!? これが年の功ってやつ?
20歳の麋竺君にはかもせない50歳過ぎた大人の余裕ッ!! 陳珪爺ちゃん、いや先生ッ! 生意気言ってすみませんでした。ちなみに呂布は29歳ばりばりのアラサー将軍。
「孔伷様、徐州にて呂布が我が軍に加わりました。これからゆっくり天の声が聞こえるように――」
せんでいい! と怖くて言えない。
「……とりあえず盪寇将軍に任命する」
ついでに今回の戦争で功績があった王朗は偏将軍から安国将軍に昇格だ。
さあ……命令書はなくなった。
【ステータス】
名前:呂布
所在:徐州
身分:一般
忠誠:92
年齢:29歳
武力:110(+10)
知力:31
政治:9
魅力:67
勇名:3200
経験:11200
陣形:錐行 偃月 雁行 密集 鋒矢
特殊能力:奮迅 無双 応射
アイテム:方天画戟
呂布奉先、三国志ファンなら誰もが知ってる三国志最強の武将。丁原、董卓と養父を裏切り、袁家にかつあげしにいったり、曹操、劉備の領地を空き巣する不義理な人。正史では董卓の侍女と密通し、王允の企みに荷担したんだとか。
◇◇◇
―― 184年3月 春 ――
3月といえば、そう3人トリオが桃園でレッツパーリーしてやんちゃする話が有名だ。うん、ゲーム的な演出をスキップできればいいのに。もしくは全員が孔伷さんの配下になればいいのに。
「――孔伷様、徐州の糜竺が何者かと密談していたようです」
んええ!? 何者かって画面には孫堅の顔。こいつもう仕掛けてきたんか!?
っとそれ以外は何もなし。これはまだ流れ来てるかも?
「――孔伷様、寿春の住民が訴えたいことがあると言って面会を求めているようです」
1月に続いて、今度はなんだ? あ、漢文の後ろにいる若い農民……。
「孔伷様! 寿春の土地はやせ細り荒れ果てております! このままでは今年の実り期待できず凶作となってしまいそうです!!」
あ、これは開発費寄越せってやつ。
「金500出すから頑張ってくれ」
「あ、ありがとうございます! 失礼しますッ!!」
うんうん、感謝の気持ちは大事だね。
「孔伷様、ご命令を――」
今月、欠かせないのは廬江行き。この地を押さえればゆっくり出来る……はず。
呂布将軍の忠誠は92か。100にしておきたいけど募兵は2ヶ所でしておきたい。となると王朗の忠誠を100にして……あーもう、考えることが多すぎる。でもやれることは3回だけ。
怖いのは命令を出し終わったあとに、孫堅が寿春を、張角が譙と徐州を攻めてくること。分断されるとせっかくスカウト出来た彼らを逃してしまう。
徐州の3人と王朗を廬江に進出、孔伷は商人のいる寿春で募兵、最後に呂布将軍に褒美でどうやろか。
1人で激動しているけど、世の中はまだ乱世が始まったばかり、曹操や荀彧はさっさと何進の配下にいるし、荀攸さんは里帰りの真っ最中だ。
「命令を出す――」
予定通り武将4人を廬江に移動。
募兵は2000人、孔伷の兵数1万8800になった。
褒美を上げる相手は、やっぱり寝首をかかれたくないので呂布将軍に渡す。
「おっ金だ! やっぱり世の中金がすべてだ!」
29歳までに何があるとそんな金に執着する性格になるのか……まあ忠誠100になったし、一安心ってとこだな。
さあ、今月終わりから来月にかけていよいよ二匹の虎が俺の領地を――
孔伷の気力16、かなり疲れたけどもう一ふんばりだ。
【ステータス】
都市:盧江
農業:178
商業:424
治水:38
防御:200
民忠:41
人口:198700
盧江といえば周瑜の出身地。捜索してみようかな……。一応、呉勢力が北上するときの要所ではあるけど、田舎感はぬぐえない。ここをしっかり守れることが出来れば荊州一帯を守ることができる。今は無理だが……。
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