006―4 6回目の憑依 ~つまるところ神なんていない~
―― 184年4月 夏 ――
『世に聞こえし喬玄、今ここに散らん……』
喬玄の爺、今回は絡まないまま逝ってしまったか。執務室で斬りつけたのは今では俺だけの思い出。
『喬瑁が亡き英雄の魂を受け継ぎました。重臣一同、新たな主君を盛り立てるために必死のようです』
息子さんか、人柄は良さそうだけど乱世は人を狂わせる……。
『各地で住民反乱が起こっています』
「呉を始めとする3都市の住民が圧政に立ち上がったようです」
あっぶねぇ! 北平はいつものところだけど、呉、建業はご近所さん。良かった、こっちに被害来なくて!
『孫堅軍が徐州へ攻めこみました』
やっぱり来たかぁ……寿春はお許しなのか? そっちは黄色い狼のテリトリーですぜ。兵力4万……。
「徐州は放棄するしかない」
とりあえずこれぐらいなら想定内。
「――孔伷様、徐州の住民が訴えたいことがあると言って面会を求めているようです」
え? 孫堅軍が占領しているのに? 民忠44と低い……けど人の事をとやかく言えない。こっちは55だけど、治水が致命的。内政もしないといけなくなってしまった……。
一応、面会はしておくか。あ、後ろにいるのはやつれた若者。
「もう孫堅の悪政にはうんざりです! どうか助けてください!!」
「孔伷様の軍に出陣していただければ必ず内応いたします」
と来たもんだ! えーと、孫堅は来たばかりだし、悪政の原因は俺……いや陶謙のせいだ。戦場になりまくってるからね、仕方ないよ。
あとごめん、余裕ない。
「ご安心なさい、天の声――「すまぬが、わしに出来ることはない」――孔伷様……」
漢文がいらんこと言い出す前に断った。目を合わさないのがコツ。
「おお、これからどうやって生きていけばいいのか!」
頭抱えられても少しの罪悪感しか出すものないのよ。大丈夫、孫堅ならスタープレイヤーが多いからすぐに良い政治をしてくれる、数ヶ月の辛抱だと思う。
「孔伷様、ご命令を――」
「まず募兵だ」
ここは呂布将軍にお願いしよう。
結果、3391人も集まってくれた。この新兵を王朗、陳珪先生、糜竺君に兵士1名つけて戦場に出せるようにして、あとは呂布将軍の下につける。これで将軍の部隊は1万ちょい。
あと2回。名声のための巡察か登用か……。
「荀彧先生のスカウトを陳珪先生らにお願いしてきてくれ」
参謀が相変わらず隣の国にいるせいで、相談できず。
まずは先鋒、糜竺君。初めての首都洛陽の大きさに挙動不審。多分、俺が行っても同じように挙動不審になるだろう。
官軍のお膝元。きりっとしたお顔立ちのお兄さん、現在22歳。年齢近いし、糜竺君なら意気投合できると信じてる!
「城下で貴殿の噂を聞き、こうして参りました。力を貸してくださいませ」
「断る……不義不忠の者に仕える気などない」
おうふ、ならば次は陳珪先生! 出番です!
今回もかなり遠方だけど、この世界の早馬は――早い! 頭痛が痛いみたいになってるけども。
「城下で貴殿の噂を聞き、こうして参りました。力を貸してくださいませ」
あ、これは糜竺君とのコンビプレイなのか、失敗事例の踏襲なのか果たして結果はいかに!?
「断る……不義不忠の者に仕える気などない」
ぐぬぬ! 命令書がなくなった。
◇
『張角軍が譙へ攻めこみました』
4月の終わり頃、奴らがついに動いた。でもこの世界での孔伷さんはまだ生きてる。
譙はもちろん放棄。
これで孔伷の領地は寿春、廬江の2つか……。
◇◇◇
―― 184年5月 春 ――
「孔伷様、ご命令を――」
在野に1人、金旋という武将が廬江にいる。正直、劣化王朗なステータス。
武陵の太守がなぜか在野で放浪しているこの世界ならではの不思議。ま、今回はパス。
募兵、登用、登用でどうか。
呂布将軍の兵力1万3000、余った兵士は王朗に預けて戦力を整える。近所の災害が近づきつつあるけど、今月も荀彧チャレンジ。……実は張角の配下にいる田豊も忠誠86と狙い目。なお、荀攸は孫堅に登用されていた。
「陳珪先生の気力が心配だけど、なんとか頑張ってほしい」
糜竺君と順番を変えてみた。意味はない。2発目の矢は孔伷さんにチャレンジしてもらったけど相変わらずの国賊扱いで撃沈。
襄陽への移動も視野に入れるか? 悩む。
◇
『張角軍が寿春へ攻めこみました』
来た……しかも兵力11万て! なんで橙色の虎と仲良く孔伷しようとするのかね。ここも放棄してついに領地は廬江だけ。この先商人がいるのは襄陽、少し遠いけど成都。
ん? 小窓の孔伷さんが何かフリップを書いてる。
『この地を奪われるならばいっそのこと火を放ってしまうか……』
怖ッ! 孔伷さんヤバい、病んでるやん。
そんなことしても名声が地に落ちるだけだぞ! 考え直せッ!
とりあえず廬江に落ち延びる。これで全員集合! 寿春は龔都の部隊1万が占拠、これ以上は攻めてこないか?
『孫堅軍が建業へ攻めこみました』
マジ? ここで劉繇、滅亡か。あのとき張英が廬江に逃げてたらここで終わってた。
くそ、死亡フラグ乱立しすぎじゃない!?
『孫堅・龔景連合軍の敗北です』
……え? 劉繇が勝った? 兵力差、どれくらいあったんだ? 情報が欲しいッ!
◇◇◇
―― 184年6月 夏 ――
世の中の動きだと何進軍が漢中入りした。まさかの成都狙いか? 襄陽よりも成都をうっすら考えてたところでこれか……。
「孔伷様、ご命令を――」
即移動を! と思ったけど、建業をチェックすると劉繇の兵2万、張英は兵士を持っていない。なんと程普が大事にしてた鉄脊蛇矛を劉繇が保有している。
これはもう襲撃するしかない!
「建業を攻めるッ! ……呂布将軍、糜竺、王朗にお願いする」
勝ったら糜竺君を太守にして帰るぞぅ! てことで孔伷の代わりにお願いしますね。
◇
―― 建業の戦い ――
【1日目】
自軍兵力3部隊1万4332、対する劉繇軍の兵力は1部隊1万9665。
廬江から入ると建業の都が南東に見える。劉繇らがいる建業の都に向かうためには、長江を渡る必要がある。
「皆の者! 船に乗り込めぇ!」
なんで?
通常であれば大船団を準備するのに多大な費用と労力が必要になりそうだけど、ゲーム的な力によって、平地用の陣形でも時間はかかるが河を渡ることができるらしい。ついでに兵士たちは船酔いもビタミン不足もない!
天候は雨。晴れの日スタートがないのは気候のせいなんだろうか?
建業の戦場は、大きな河を渡った先にお城が6、水軍保有の孫堅相手なら絶望的だけど、相手は劉繇のみ。
さすがの連戦のせいか兵士たちの士気は最悪、訓練度も低い。呂布将軍の部隊でさえ士気53、でもまあ勝てる戦いだと思ってる。
「呂布将軍、王朗将軍に長江を渡っていただき、城を奪い、劉繇軍の士気が下がったところで攻撃を始めてください」
「ふん、作戦も何もない。劉繇ごとき軽く捻ってくれようぞ!」
「お任せくだされ! ……今度こそ褒美を貰いたいものですなぁ」
二人が河を渡って劉繇をぶん殴る簡単なお仕事だ。糜竺君は年上の俗物軍団の手綱をしっかり握ってもらう役だ。
【2日目】
呂布将軍、王朗ともに長江を横断中。このまま進めば明日辺りで上陸できそう。
【3日目】、【4日目】
さくさくとお城を占領、明日から劉繇の攻略に取りかかる。後続部隊が来ない戦いって素敵!
「お城、お城っ、取ったら褒美、褒美だよっと」
「今だ! 矢の雨を降らすのだ!」
「ぎゃあああああッ!」
『王朗が劉繇に捕まりました』
不用意に劉繇の射程に入ったらしい、王朗の部隊に矢の雨が降り注いで全滅し。……俗物野郎め。
【5日目】
「さあ、お前ら! 密集の陣形を取るのだ!!」
呂布将軍には気を引き締めてもらう。1日かけて錐行の陣から攻撃型の密集陣形に変更。王朗が捕まってなければ錐行のまま突っ込ませてた気がする。
【6日目】
鶴翼陣形の劉繇を背後から……は距離が足りず側面から攻撃!
「劉繇を叩けぇ! そらそらぁ!」
「なんだこの猛攻は……!?」
「……呂布将軍の被害1100、劉繇の被害は5000ッ!!」
さすが呂布将軍、ぼっこり劉繇の兵を削ってくれた。
さらに――
「奴にも矢の雨をお見舞いしてやれ」
「この俺に矢を射るとは愚か者がッ!!」
「ぐあああ!」
劉繇のちくちく弓攻撃に反撃の呂布将軍。頼もしすぎるよ! 劉繇の兵800を負傷させてくれた。
【7日目】
呂布将軍の側面攻撃、劉繇の弓の反撃で兵力差はほぼ同じになった。
【8日目】
「今日は孔伷様からの指示はないのか……一旦休憩するぞ!」
雨が降り、呂布将軍は小休止。その間も劉繇の矢は休まず飛んでくる……。
呂布将軍の部隊7262、劉繇の部隊8900……。いやね? 俺が指示出さないと攻撃しないとか思わないじゃない? まさかの指示待ち人間だった。
小窓で呆れ顔してるけど、フリップで教えてくれてもいいと思う。
【9日目】
呂布将軍の部隊、劉繇の部隊ともに5500弱と、ついに兵力差が並ぶ。呂布将軍って強すぎじゃない?
【10日目】
呂布将軍の部隊が1000上回る。地味にお城で兵士を治療してくる劉繇が腹立たしい。 わりと泥試合……。
【11日目】
「かかれ、かかれぇ! 孔伷殿に勝利を届けるぞおおおおお!!」
――うおおおおお!
はい、劉繇の部隊が遂に1000を切った。勝ちが見えたので一安心。
【12日目】
「ここに居たのかぁ、劉繇ッ!」
「ひ、ひええええ!」
はい、劉繇を無事に捕獲成功。お城で静養中の張英も捕獲。
『孔伷軍の勝利です』
「よしっ!」
廬江の執務室でいきなりガッツポーズしたせいで、漢文のお祈りの邪魔をしたらしくめちゃくちゃ睨まれた。……孔伷、君主なんだけど。
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