005―2 5回目の憑依 ~だから一騎討ちするときは体力ゲージに(略)~
【3日目】
孔伷軍1万2000、陶謙4500、陳珪は陶謙の後ろを守るみたい。
【4日目】
孔伷軍9700、陶謙2800、陳珪が弓ちく攻撃でうざい。
お互いに陶謙の周囲をぐるぐると回りながら戦う。バターにならないか無駄に心配した。
【5日目】
「王朗が援軍を連れてきたぞぉ! みんな、持ちこたえろぉ!」
ついに王朗3000が救援部隊を引き連れて帰ってきた。一気に囲まれ袋叩きを喰らうも、まだまだ肉壁は5600人もいる。対して陶謙の兵は残り400。
「進めぇ! 盟約に従い、陶謙殿をお救いするのだぁ!」
なんか来たぞ!
「返り討ちであります!」
「ぐああああッ」
とまあ、援軍の喬瑁を漢武がさくっと返り討ちにしてくれた。
「ふむ、あの行軍速度……我が軍にも取り入れよう」
喬瑁の陣形、“▲の形”をした【錐行】の陣形を孔伷さんが学んだらしい。錐行は平地最速の移動ができる便利なやつ。勝ちが見えたおかげか、孔伷さんも心に余裕が出来たらしい。
【6日目】
ついに決着のとき――
「みんな、もう一踏ん張りであります!! 攻めろ、攻めろ、攻めろでありますよ!!」
――陶謙を捕らえたぞおおおおッ!
――俺たちの勝ちだぁ!
――勝どきを上げるでありまぁぁぁす!!
って俺の出番ないんかい! いや近くの兵士をちくちく弓矢で倒してたからね、孔伷さんだってやれるんだ!
はあ、まずは一勝か。
『陶謙軍の君主を倒しました』
勝利のお知らせに、俺はこっそりとため息を吐いた。
◇
なんとか勝利をおさめた俺たちは陶謙の居城にいる。いわゆるリザルトタイムだ。
「孔伷様、勝利おめでとうございます。死傷者は約1万になりますが、一度譙に帰りますか?」
誰が戻るか! ……せっかくのお祝いムードに水を差すやつ、それは漢文。もうバカ!
「もちろん徐州にそのまま残す、譙の太守が不在になるが仕方あるまい」
「承知しました。さて孔伷様、次に捕らえております武将の処遇を決めてください。仕官を断る捕虜たちを次々と斬首しちゃうんですよね、わかります」
わかります、じゃない。なんでやる前からそんなこと言うかなぁ。そんなにシリアルキラーじゃねぇし。
さて、最初の武将が連れて来られた。この世界では初絡みか――
「孔伷様は天下の英雄……、まさかそれがしの命を奪うなどということは……」
王朗、1度目の2月に陶謙の使者として会って以来か。平均60のステータス、過去の確執があろうともここは忘れて登用一択。
「王朗殿といえば太守を勤めるほど高名な方、どうだろうわしに仕えてくれないか?」
口説き文句は孔伷さんに任せる。どうよこの君主っぷり!
「そうですなぁ、三食昼寝付きなら仕えてもいいですぞ」
おいいいい? 人が下手に出たらなめくさってからに!
「孔伷様、王朗が我が軍に加わりました。三食昼寝付きですが徐州に配属されます」
やかましい! 次だ、次ッ!
「おお、なんたることだ……」
救援に来てあっさり捕まる喬瑁……。王朗と同じく平均的なモブ武将。
「喬瑁殿、貴殿の父親との確執はこの際忘れてやろう。どうだ我が軍に来ないか?」
「ふっ、私の父に剣を抜いておいて面白い冗談だな」
あ、やっぱり喬玄パパに斬りかかったこと伝わってるのか、親子だもんね。
「ここで貴殿を斬っても良いのだが……」
ここはリリースしておくか。戦争中のテンションも落ち着いてきたし、無抵抗の相手を殺すのもな。絶対的に人材不足の孔伷さんには、スカウトかリリースの二択方針でいくか。
「情けを見せたからとて次の戦場では容赦しないぞ……ふん」
ツンツンかよ! いやデレられても困るけど。
次いってみよぉ!
「……敗軍の将に弁はないのじゃ! さあ、斬るがよい!」
喬玄ばりの白髪の爺さん……って53歳? これでか? 武力こそ11と低いけど、他は知力71、政治79、魅力80と是非とも孔伷陣営に迎えたい人材。
「陳珪殿、貴殿を殺すには惜しい。なんとか仕えてくれまいか?」
頼むッ!
「ふざけるな! わしは裏切り者の汚名を受けるぐらいならば死を選ぶわ!」
なんで武力低いのに発言が猛者なの? あー、くそ無理だったか。
リリースしよう。
「おお! なんと……わしを逃がすというのか!? 孔伷殿、このご恩は一生忘れぬぞ」
それなら今すぐ返してほしい、あ、スキップしながらどっかに消えた。なんだあの爺、めっちゃ元気だな。
「くそッ! 離せッ! 離さぬかッ!」
血気盛んな若者、糜竺君。孔伷に負けたのがよほど悔しいのか、ずっと暴れるもんだから縄でぐるぐる巻きにしてる。
「漢武よ、糜竺殿の縄を解くのだ」
「しかし暴れるであります!!」
「よい、これ以上糜竺殿に恥をかかせるわけにはいかぬ」
漢武がぶちぶちと糜竺の縄を切っていく。その間もずっと睨まれてるけど、これもう諦めた方がいいのでは?
ステータスは陳珪に近いから是非来てほしいという気持ちはある。
「ステータスは陳珪に近いから是非来てほしいという気持ちはある」
やべ、そのまま口に出ちゃったよ! 孔伷さんが手を口にやってももう遅い、すまん!
「は? 忠臣は二君に仕えぬもの、孔伷殿にならばそれがわかるはずだ」
ですよね、リリース。
「このような廃れた世にも、貴様のような奴がいるとは……」
“貴様”のような“奴”って言い方ひど。次じゃい!
「ついに最後の1人です。孔伷様、陶謙の処遇を決めてください。今のところ三食昼寝付き武将以外は野に下っております」
わかっとるわッ! はよ連れてこーい!
「まだだ! まだ終わっていない……! わしの夢はまだ終わらぬよッ!」
年齢53歳、野心高すぎ爺。王朗より上、糜竺たちより下。来世のどこかで赤い服の人になってそうな言い方だな。
「陶謙殿、わしに仕えてはくれぬか?」
孔伷さんも半分諦めモードの豪速球。
「わしに誇りを捨てよと申すか、お断りだ……」
「そうか、ならばわしが陶謙殿の夢を持って先に進もう」
「わしのために命を懸けてくれた者たちよ、すまぬ……」
スカウト&リリースを選択できず! 君主は登用出来ない場合、斬るしかないとか。早くも方針にひびが……。
――ザンッ!
陶謙を斬った……、感触が俺にも残ってる。まあ正直、何も感じないけど……。
『世に聞こえし陶謙、今ここに散らん……』
『陶謙の一族は、歴史からその姿を消した……』
―― リザルト ――
【ステータス】
都市:徐州
農業:473
商業:452
治水:61
防御:104
民忠:49
人口:185400
譙よりも規模が大きい。張角軍が近くにいなけりゃ拠点にしたいところ。元々は項羽の出身地、楚の国があった地域だ。で、俺が入城した城が――城彭、ちょっと雰囲気出したくて漢字を右から読んでみる。正史だとこの数年後、曹操の手によって住民大虐殺が行われるのだろう。マジやばい。
【ステータス】
名前:王朗
所在:徐州
身分:一般
忠誠:94
年齢:23歳
武力:50
知力:61
政治:62
魅力:63
勇名:500
経験:15000
陣形:錐行 鈎行
特殊能力:??
王朗景興、陶謙の薦めで会稽の太守を経験。孫策に敗けその後は曹操、曹丕、曹叡と仕えた人。諸葛亮との口喧嘩に負けて憤死したのは演義の話で有名。
まさかの23歳とはね。
◇
「孔伷様、ご命令を――」
さて、まだ命令書は2つ残っているが……。
【人事】でやれることは【褒美】と【任命】の2つ。
1つ目は、たった金100で配下武将の心を鷲掴みにできる魔法のご褒美、今のところ王朗の【忠誠】94と意外と高いけど命令書はどうせ余るんだから上げてやろう。
「王朗殿、そなたを【参謀】に任命する。それと少しだけだがこれを……」
「なんとそれがしに……、これからも忠節に励みます!」
【忠誠】はこれで100。三食昼寝付きプラス金100で、心を買ったと考えよう。
2つ目は漢文に伝えるだけの手間入らず。助言をくれる【参謀】と最大兵士数を増やせる【将軍】があり、うちには王朗しかいないからとりあえず参謀と偏将軍に任命しておく。
「王朗を参謀……参謀ですか?」
なんてわざとらしいリアクションするんだ、王朗に失礼です。将軍については名ばかりの最下級の役職だから漢文も触れてこない。
あと軍事編成は出来るけど、徴兵は来月までお預けらしい。
他に情報はというと、徐州の在野に曹豹がいる。陶謙に採用される前に俺が占拠したから浪人のままだ。来月の状況次第で考えよう。
さあ、どうなる?
――ドタドタドタドタッ
遠くから誰かが走ってくる。なんだ!? まさか誰かが戦争を仕掛けてきたか――
「厳白虎が徴兵を行っているようであります!!」
情報大事だけど今じゃない……。報告をやり遂げた顔をしている漢武を見ると面を叩きたくなる。その後も遠い他国の人事異動だの、桃園の誓いだのと人がゆっくりしているときに限って、漢武は報告に来た。
わざとじゃないから余計に質が悪い……。
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