星77 帰還
一瞬の立ち眩み。
まばゆい閃光がおさまった後、見えていた景色は変わっていた。
ヨルダン「術を打ち消した? 違う。戻って来たのか」
眼の前には、ヨルダン。
背後には肩を並べて戦った仲間達。
ステラ達は元の時代に戻って来たらしい。
ツヴァイ一人を過去へと残して。
ステラ「そんな……」
エルルカ「うそ」
背後からは同じく戻って来たらしいエルルカの呆然とした声が聞こえる。
ステラ「先生、どうしてあんな事を」
ステラは意識を集中させてみた。
ふがいない自分が嫌になる。
どうして自分はまだこんなにも頼りないのだろう。
力が欲しかった。
何でも解決できる勇者の様な力が。
その望身に応える様に、体の中から何かが湧き上がてくるのを感じる。
すると手の中に、先ほど見たような剣が出現した。
勇者の剣。
王宮の中で二人に人物が持っていた剣と同じもの。
脳裏に、この遺跡に入った時の事を思い出す。
屍が抱いていた埃まみれの剣は、ステラが触れたら消えてしまった。
確か、そしてシェリカはステラに勇者の剣を受け継いだと言ったのだった。
勇者だったツヴァイが言った言葉が蘇る。
ステラ「まさかあれは先生だったの?」
この遺跡の中、ここに来るまでに見た屍。場所で剣を抱いたまま朽ちてしまった躯は、ツヴァイだったというのか。
ステラ「ジオ……ねぇ、貴方は誰の墓を守っていたの?」
ジオ「それは……、言えません」
ジオは言いよどむ声。
それで全てが分かってしまた。
エルルカ「最初から、運命はそうなるはずだったって事? やっぱり、私にできる事なんてなかったのね……」
頭の中がぐちゃぐちゃだった。
先生を助けに行ったはずなのに、逆に先生に助けられるなんて。
これではただのお荷物だ。
意味がない。
シェリカ「エルルカ! 良かった無事なのね!」
それでも、考える事を放棄しなかったのはエルルカの無事で心から安堵するシェリカの声のおかげだった。
そうだ。まだ何も終わってない。
こんなところで膝を屈して良い理由にはならない。
運命に立ち向かえないなんて誰が決めた。
ステラが朝の騎士を受け継いだと言うのなら、その力で持っていまこそ運命を切り開いて見せるべきだろう。
あの過去の世界に皆の希望であった朝の騎士の様に。
ステラ「ヨルダン。私は貴方に負けないわ」
ヨルダン「まだ、来るか。うっとおしい奴だな」
剣を交える。
ステラは攻撃を放った。
無我夢中だった。
先生から、友人から、今まで剣を交えてきた敵から、
得た技術を経験を知恵を力にして叩き込む。
ステラ「私は騎士よ。たとえ今はまだ騎士を名乗れなくとも、誰が認めなくても、私は騎士を名乗るわ!」
剣を取る理由なんて誰かを助けたい。その思いだけで十分だけれど……。
ステラは究極的には、誰かを助けたい人になりたいのであって騎士になりたいわけではないのだろうけれど、
それでも名乗る。
ステラ「私は! あの人の弟子だから!」
それがこの場にいないステラの先生との絆の形だからだ。




