星75 明け月の間
明け月の間
王宮の中を歩いて辿り着いたのは、一つの広い部屋。
リィアに案内されてやって来たのは明け月の間という場所だった。
明ける空をイメージして作ったと言われる室内内装は、華美でも質素でもなく、上品な内装で太陽が昇る頃あいの空を表現している。
そこで待っていたのは見間違えようがない人物。
どこからどう見ても、エルルカそのものだった。
エルルカ「久ぶり」
ステラ「エルルカ、よね?」
エルルカ「そう、姉さんの名前はシェリカ。そういう貴方は私の知ってるステラ―ドね」
ステラ「そうだけど、一体どうして?」
なぜかこの世界にエルルカがいるのかと尋ねれば、彼女はとんでもない事を答える。
エルルカ「貴方が消えた空間の歪みに私が飛び込んだから」
ステラ「ええっ」
ツヴァイ「おいおい、無茶しやがるなこいつ」
どうしてそんな事を。
ステラが嵌まった罠は、あの時点では何のものか分からなかったというのに。
エルルカらしくないと思った。
エルルカ「貴方を助ける為には仕方がなかった。ステラはやがて世界に必要な存在になるから、だから私くらいの犠牲で助けられるのなら、助けるべきだとそう判断したわ」
ステラ「犠牲ってどういう事? それに助けるって」
エルルカは元の世界に戻る方法を知っているのだろうか。
だが、たとえそうだとしても、誰かを犠牲になる方法を喜んでするわけにはいかない。
エルルカ「剣守の一族には、時を超える為の秘術が伝えられている。それをここで使うわ。方法は私の頭の中に入ってる」
ツヴァイ「話が簡単すぎやしねぇか? そんな都合の良い話がそうそうあるかよ」
エルルカ「そう、本当だったらなかった」
ツヴァイ「あるのかないのかどっちだよ」
ツヴァイの否定に持氷上を変えずにエルルカは説明していく。
エルルカ「私がこの過去の世界にやってきて編み出した術の原型が、数代をかけて練磨させるから。だから都合の良い方法は実在する」
ステラ「ええと?」
エルルカ「つまり、私がこの過去の世界にやってくるのは、運命だったという事。定められていた結末通りなの。間違いないわ、だって私には精霊の力で自分の未来が分かるのだから」
エルルカはその未来で自分が接するであろう出来事を伝えていく。
エルルカ「貴方達は、過去の世界にやってくる運命だった。そして私はこの世界に残り、術を使って貴方達を未来へ還す、そして完成させた術を剣守の一族へ綻ばせて伝え、後世へと残すの」
ステラ「エルルカは帰らないの?」
エルルカ「私が帰っても、どうにもならないわ。ここに残って術がちゃんと一族に継承されるかどうか見守っていた方がよほど良いはず」
ステラ「そんな事ない」
エルルカがいなくなったら皆悲しむはずだ。
ステラだって悲しい。
第一……。
ステラ「シェリカにもう会えなくなっても良いの?」
エルルカ「姉さんは、私がいなくなっても大丈夫よ」




