表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/82

星46 しっぺ返し



シェリカ「何言ってるの、エルルカ。そんなの駄目に決まってるじゃない」

エルルカ「それは私が落ちこぼれだから?」

シェリカ「違う、そうじゃない。私はエルルカの事が心配だから……」

エルルカ「余計なお世話。自分の事は自分で決めるわ」


 言い争う姉妹の言葉を聞きながらステラは混乱する。

 エルルカの気持ちはありがたいが、どうしてそんな事を言いだしたのか分からなかった。


 同じ学校であるシェリカならともかく、エルルカとツヴァイは何の接点もないと言うのに、自分の命を駆けようとする理由が分からなかった。


 それともステラには想像できないだけで、二人には何か接点があるのだろうか。


エルルカ「どうせ、どうせ私は守られるだけの存在で、何もできない人間だって……姉さんはそう思ってるんでしょう?」

シェリカ「違う。違うわ、エルルカ。私はそんな事、一度だって思っていない」

エルルカ「違わなくない。剣も握れない落ちこぼれの私なんて、剣守の恥だって皆言ってる。知ってるから」

シェリカ「そんな事……」


 拳を握って小さく震わせるエルルカは、ツヴァイの近くへと歩み寄る。


エルルカ「こんな私にも出来る事があるんだもの。なら、やるべき。私の命より多くの人に心配されているこの人の命の方が重い」

シェリカ「待って、エルルカ。そんな風に自分の事を言っては駄目。やめてちょうだい」


 エルルカが、ツヴァイに向けて手をかざして何かを唱えようとした時、ずっと目覚めなかったツヴァイが顔をしかめて起き上がった。


ツヴァイ「ごちゃごちゃ耳元で騒いでんじゃねぇよガキ。うるせぇな。おちおち眠ってられねぇじゃねぇか」

ステラ「先生!?」


 どうして、と思う。


 今までどんな異呼びかけても起きなかったのに。


 だが、どこかおかしい。

 変な感じがした。

 目の前にいるのは先生なのに、どこか先生に見えないのだ。


シェリカ「ありえない。自力で呪いに打ち勝つなんて、それこそ伝説級の人間くらいのものなのに」


 シェリカが言う。

 それは本当にその通りだ。

 昔話に出てくる勇者くらいなら、納得できるが、どうして先生がと思う。


ツヴァイ「くそが。あの野郎。偉そうに喋ってケチケチしてんじゃねーよ。契約してやってる分際で……ああ、何だ。いたのかお前ら。心配させて悪かったな。俺なんかの為に空気悪くすんなよ。ちょっと知り合いの力を借りるのに手間取っちまってな」

ステラ「知り合いって……、先生今まで眠ってたんですよね」

ツヴァイ「ああ、まあな。色々あんだよ。そこんとこは聞くな」


 応える声は歯切れが悪い。

 呪術の力を打ち消す知り合いなんて一体誰がいるのだろう。

 そもそもツヴァイはずっとここに寝ていたではないか。


ツヴァイ「捕まえるつもりが、しっぺ返しをくらっちまったな」


 ツヴァイはやはりヨルダンにやられたのか。

 先生をしのぐほどの力量をもつとなると、あの場でステラ達が戦っても勝てたかどうかわからない。

 特に今日は一般市民もきているし、他に被害を出せなかったし。


ステラ「でも、良かった。本当に、もしかして駄目なんじゃないかって思ったんですよ。心配させないでください」

ツヴァイ「ああ、悪かった。……って言っただろ、おい、こら泣くな」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ