星47 精霊使いになる修行
それから数日後。
ステラは無事にシェリカと精霊契約を果たして、呪いの影響をおさえることができたのだが、それでも完全に影響されなくなったわけではないらしい。
やはり、根本的に解決するには術者に解いてもらわないと駄目なのだと言う。
だが、ヨルダンの姿はあれからまったく見つけられていない。
あまり力は借りたくなかったが、カルネから何かできないかと相談しても見たのだが、貴族の社交場でも最近は姿を魅せなくなってしまっているし、目撃証言からして家にもいるかどうかあやしいらしかった。
再びの手詰まり。
だが、それでもステラの気分が大して鬱屈していないのは、新しい目標を見つけたからだろう。
シェリカ「と、いうわけで。精霊使いになりたいのなら、まずは精霊の気配を感じられるようにならなくちゃいけないの」
ステラ「精霊の気配……」
シェリカに弟子入りして、精霊使いになれないかどうか修行を付けてもらっているのだ。
彼女曰く、砂漠の中から一粒の小石を見つける様な物だと言う話しだが、それでもやらないよりはマシだと思う。
シェリカ「物好きね。そんな事をするより他の事をしていた方がよっぽど有意義だと思うけれど。たとえば剣の訓練とか」
仮にも騎士学校の生徒だからと言われるが、そんな事はステラにはどうでも良かった。
いや、心の底からどうでも良いというわけではないが、優先順位が遥かに下なのだ。
ステラ「私にとっては誰かを助ける方が優先よ。強くなる事なんて二の次だわ。だって私は誰かの力になりたくて、騎士になるんだものその誰かの事を放っておいて他の事をするなんて、本末転倒じゃない」
シェリカ「そう、貴方にとって騎士とはそういうものなのね」
そうだ。
たとえ自分が強い騎士になれたとしても、誰かを守れる騎士でないのならそれは意味のない事だった。
世界には理不尽な事で満ち溢れている。
困難も、災難も。
自分一人がただ強くなっても、出来る事は限られているのだ。
だから誰かを助けて、皆で協力する。
シェリカ「貴方のそういう所、好きよ。そういう真っすぐな所、すごく良いと思うわ」
ステラ「そ……そう? ありがとう」
真っすぐ誉められた事なんて、あまりないので、そう言われると少し照れてしまう。
ステラ「そういえば、最近先生にも言われたわね、同じような事。先生は私の事を希望だって」
シェリカ「希望。期待されてるのね。それはとても良い事だわ、貴方は良い先生を持ってる」
ステラ「先生は確かに良い人よ。面倒くさがりだけど」
そんな風に言えば、くすくすと笑い声をもらされた。
シェリカ「友達も先生も、皆が貴方を大切にしたがるの、分かる気がする。妹の……エルルカも、あの時自暴自棄になってる所もあったけど、貴方の力になりたいって気持ちもあっただろうし」
あの時、といえばツヴァイを助けるために、精霊契約をするかしないかの話の時か。
あれはツヴァイを助けたいと言うよりも、もっと別の意図があったようにステラには見えた。
まるで、優れた他人を助ける事で自分の価値を証明したいというような、そんな……。
ステラ「エルルカは、自分に自信が持てないのかしら」
シェリカ「ええ、そう。あの子には剣の才能がなかったから。私は……自分で言うのも何だけど、剣守の血筋が示す通りの一定の才能があったから、周囲から評価されてる。けど、そのせいで才能がなかったエルルカは自分を卑下してしまっているのよ」
ステラ「自分が嫌いなのね、好きになれる日が来ると良いんだけど」
シェリカ「難しいわ。とっても」




