星44 目的
三年のAクラスの生徒達にシェリカの行方を尋ねたりしながら辿り着いたのは、校舎裏だった。
彼女は模擬店で使い終わったゴミ出しをしていたのだろう。
間が悪かったのは周囲に人はいなかった事。
シェリカとヨルダン以外の人は……。
シェリカ「く、貴方なかなかやるわね。貧弱そうな見た目をしているのに」
ヨルダン「それはどうも。誉め言葉として受け取っておくよ」
シェリカ「ちゃんと誉めてるわよ。皮肉になってしまうけど」
傷を受けて倒れるシェリカとその前に立つヨルダンの前に割り込む。
赤い血が零れて地面に点々と色を付けている。
ステラ「シェリカ、大丈夫?」
シェリカ「ん、平気。思ったより来るのが大分早かったみたい」
ステラ「エルルカが教えてくれたもの」
エルルカ「そう、あの子が……。あの子は占いが得意だから、納得」
もし教えてもらえなかったら、教えてくれるのが遅かったらと、背筋が冷たくなる。
ステラ「ヨルダン。どういうつもりなの? 貴方の狙いは一体何!」
ヨルダン「何だ、ステラじゃないか、久しぶりだね。まだ呪いに呑まれてないのかい、しぶといなあ。精神の弱い人間だったら、今頃人形になっていた頃なのに」
ステラ「私の質問に応えなさい! 貴方の目的は一体何!」
ヨルダン「器だよ。器。不老不死の器。君達は施設に侵入したんだから気づいていたと思ったんだけどなあ。あれ、別の人間だったのかい」
施設、と言われて脳裏に浮かぶのは王都のその地あった森の事だ。
だが、表情を変えないように努力する。
あそこにはヨシュアがいる。
迷惑はかけたくなかった。
ステラは感情が出ないように努めながら相手に向かい合う。
ステラ「その不老不死の実験の器が欲しいとして、どうして私なの? 犠牲になって欲しいわけじゃないけど、他にも人間はたくさんいるじゃない」
ヨルダン「ん? 君もしかして忘れているのかい? 適正なら昔調べたじゃないか。あんなにもたっぷり、この手で可愛がってあげたのに」
ステラ「……っ」
その瞬間、肌が冷たくなっていく錯覚に陥った。
赤い色が頭の中にフラッシュバックして、中々消えてくれない。
そんな事、覚えてない。
昔ヨルダンと何かあったの?
ステラ「もう一度、この手でたっぷりと可愛がってあげてもいいんだけどね。僕の女になるかいそれとも? それなら、苦しいのは止めてあげるよ」
ステラ「誰が貴方なんかの……こ、こないで」
距離を詰めてくる。
だがステラは下がれない
背後にシェリカがいるからだ。
しかし、そこに。
ツェルト「このテメェ、俺のステラに何してんだよ」
ツェルトが切りかかった。
ツェルト「なんだこいつ。見るからに粘着そうなやつだな。不法侵入者で切り裂き間の現行犯逮捕って、ステラは本当に災難体質だよなあ」
悠長な事を言いだすツェルトはいつも通りだが、相手から視線を外そうとはしない。
分かるのだろう。
仮にも騎士学校で一年と半分すごしたのだから、相手の脅威の程が。
ステラ「ツェルト、気をつけてそいつは」
ヨルダン「ちっ、邪魔が入ったか。今日の所は退散してあげるよ」
その場にかけつけてきたのはツェルトだけではない。
生徒会会長のクレイや、いつぞやの時に訓練の相手になったレイダスもいる。
確かにこの人数で一人で立ち向かうのは不利だろう。




