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星37 希望



 遺跡や呪いの事は、ツヴァイから言われて誰にも言うなと口止めされた。

 当然、ステラは「どうして」なのかと聞いたのだが、相変わらず理由は教えてはくれない。


 自分の知らない所で、自分の知らない間に、自分の知っている人間が苦労しているようでとても気分が悪かった。


 帰りの道で愚痴を言いたくもなる。


 ニオやツェルト達は自分を頼ってくれるのに、なぜ大人からは軽んじられるのか、理不尽だ。

 それが恩のある人間ならなおさら。


ステラ「私って、そんない頼りなく見えますか。そんなに信用できないように見えるんですか」

ツヴァイ「そうじゃねぇって、いい加減機嫌治せよ」

ステラ「だって……私の知らないところで何かやってるんですよ。機嫌悪くならない方がおかしいじゃないですか。私の知らない所で怪我なんかしてたりしたら、って心配になるのが当然じゃないですか」


 こういうのは辛いと思う。

 自分にもっと力があれば頼りにされていったのだろうか。


 もっと剣の腕が強かったら、大人だったら、しっかりしていたら。


 彼等は自分の事を頼ってくれていたのだろうか。

 彼らと一緒にその荷を背負って、重さを分かり合う事が出来たのだろうか。


ツヴァイ「別に意地悪で言ってんじゃねぇよ。その時がまだ来てねぇだけだ」

ステラ「その時……?」

ツヴァイ「大体その歳で、何でも噛んでも任せられる程しっかりしてたら、それこそおかしいだろうが。ガキはガキらしく能天気にしてりゃいいんだよ」

ステラ「それならヨシュアだって、子供じゃない」

ツヴァイ「敬語外れてんぞ。お前知らねぇのか、あいつは……いやいい、知らない方が良い事もあるもんな」

ステラ「え、何ですか、途中で止めないでください、いっつもそうやって肝心な事教えてくれないで……」

ツヴァイ「色々あるんだよ、色々」


 大人は、そればっかりだ。


 というか途中から巧妙に話題がすり替えられているような気がする。


 むくれていると、ツヴァイに笑われている事に気が付いた。


ステラ「なに笑ってるんです」

ツヴァイ「いや、良かったなって思ったんだよ」

ステラ「……、何がです?」

ツヴァイ「お前みたいなガキがそうやって、素直に笑ったり怒ったり泣いたりできる事に」

ステラ「そんな事が嬉しいんですか? 私にはよく分からないわ」

ツヴァイ「ああ、お前には分かんねぇだろうな。けど、俺にとっては何よりも大事な事だ」


 分からないステラには、ツヴァイが何を思ってそんな事を言い出したのか。


 ただ、分からないなりにだが、いつもよりうんと優しく見えるその表情は、本心を語って心の底からそう思っているだろう事を教えてくれた。


ツヴァイ「ステラード。お前は、俺達の希望なんだ。お前のそのまっすぐな心、変なふうに曲がっちまわないように大切にしろよ」



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