四角四面と桝の縁
「………これ‥‥本当に豆から出来てるの‥‥?」
「あっ、はい。 昔 売ってもらったあの豆で。」
「‥‥この間、エダマメって言って出してくれたのと‥‥同じ‥‥?」
「ええ。 それをしっかり成長させたやつから」
あっ、今 ふと思いついた。 こんど枝豆豆腐 作ってみよっと。
「……同じ豆から出来てるとは思えないね‥‥‥」
「アハハ、確かにそうかも‥‥」
ホント万能選手だよねぇ~~。 味噌にもなってるし醤油にもなってるし、それから納豆にも‥‥‥
胃世界に生まれ変わって何やってんだろうなぁ自分‥‥‥
まぁ、今後も作り続けるけどね。 今更 食べられないなんてなったら、多分泣く。
そしてトイヴォネンさんは恐る々々、薫製塩の掛かった豆腐に匙を伸ばし‥‥‥
「………ん‥‥? ……んん???」
口に含んでややあって‥‥‥お顔に疑問符を浮かべられた。
「あっ‥ひょっとして口に合いませんでしたか?」
「いや、そうじゃなくてね? 薫製はともかく、こんなプルプルしてて‥なのに豆っぽい匂いがして‥‥ こういうの食べたことがないから、慣れてないというか、戸惑ってるというか‥‥‥」
ありゃ‥‥まぁ無いよねぇ、こっちの世界に豆腐は‥‥。
初めての味だから、意識がそっちに持ってかれちゃって‥‥ これじゃあ塩の味見にならないなぁ‥‥‥
どうする‥‥? ただ焼いた肉に掛けて‥‥‥ っていや、生肉無いんだよ~~今‥‥‥
「えっと、じゃあ生野菜にでも‥‥」
あっ‥‥‥ なんか今、ふっとひらめいた‥‥
「ちょっと一旦失礼しま~す」
ではではちょっと台所へ‥‥
………………
「───お待たせしました~~」
という訳で、仕込んだ物を手に 再び二人のもとへ戻って来ました。
ちょいと大きめのココットを、トイヴォネンさんとじいちゃんの前二つずつご提供っと。
「……これは‥‥‥氷のお菓子‥‥?」
うん、そう思うかもですね~~ 見ただけなら。
「縁にあの塩を塗ってるの‥‥?」
「まあまあ スプーンでかき込んでみてください」
「………えっ!!? これ‥‥‥酒!?」
そ~~なんですよ~~~ お酒をシャーベットみたいにしちゃいましたっ!
塩つながりで頭に浮かんだのは、前世で物産展の手伝いで 叔父さん達と大きな街に行った折に、連れられて一回だけ行った かしこまったバー。
従妹と一緒に緊張しながら飲んだカクテルが ノンアルコールで肩透かしを食らってる横で、叔父さんが飲んでたカクテルのグラスの縁に一周 塩が塗られていたのを思い出しましてっ
で、こう うだる様な暑さだから、キンキンに冷やし‥‥‥ いや、いっそ凍らせちゃったら美味しいかなぁ~~って思って。
で、作っちゃいましたっ! 言うなればシャーベットカクテル!
‥‥いや、カクテルって程もものでもないかもだけども!
みぞれ酒だったっけ日本酒ならっ それのちょっと小技を効かせたやつっ!
ホントはココットじゃなくて、カクテルグラスに入れたいところだけどね~~
作り方は、以前じいちゃんのうどんつゆにやったのと同じ、魔法でガッキンガッキンに冷やしながら混ぜ混ぜで。
薫製塩に合わせたのは、ドッシリしたカシスワインにちょっと水飴を加えたシャーベットの上に、酸味の利いたカリンズワインのシャーベットをトンと乗せて。
飽きが来ない様に、徐々に溶けて合わさっていって味変するのを狙ってみましたっ
梅塩の方は、キレイな風味のグズベリーワインのシャーベットの上にスモモワインのシャーベットを。
子どもの身だから味見はしてないけど、まぁ 料理に使ったときの味の記憶とヤマ勘で。
「…………これは‥美味いな‥‥」
「…………あぁ……… こんな贅沢な飲み方……… 名家の連中でも やったこと無いんじゃないか‥‥?」
「そうですか~~ お気に召していただけた様で何よりです~」
「‥‥‥でも‥‥」
「?」
「塩の味を見るのには‥‥どうかなぁ‥‥‥」
「アハハ‥‥」
はいっ 薄々思っとりましたっ
でもいいんです。作ってみたかっただけだしっ 背伸びしてみたかったんですっ
という訳で結局、塩の味は生野菜で見る事になり、無事トイヴォネンさんのお眼鏡に叶った。
因みにフルーティな粉水飴の方は、なめるなり‥‥
「………これも凄い値段で売れそうだなぁ‥‥」
と、仰った。
ホントどんだけ甘いもんに飢えてるんだろう この国は‥‥‥




