蜉蝣の薄羽
‥‥‥なんだろコレ‥‥
まずなんか、三角の楔みたいな木っ端が刺さってる‥‥
上から覗き込めば……あぁなるほど、押さえ棒の代わりに コレで刃を押さえてるのね。鉋くずが逃げる様に刃先側の真ん中をU字状に切り取ってある。
そして切り取ったところを、より鉋くずが逃げやすくする為に斜めに削り取ってるんだー。
まぁ、コレは鉋の構造を考えれば納得できる‥‥けど‥‥‥
‥‥‥台頭と台尻の上に一本ずつニョキッと‥‥刃を滑らす方向に サイの角みたいに反った木の棒が生えとる………コレ何のためにあるの?
…………握るの‥‥かな‥‥?
とりあえずそこを掴んで、エアーで引く素振りをしてみると………
………使いずらそ~‥‥‥
「あっ違う々々、逆々」
へっ、逆???
…………
………
……
…あぁ~なるほど、押して使うのかぁ~ だからこっちに反ってるのね。
ではでは早速バラして見ましょ。
木槌を持って来て台頭の角をカンカン叩けば、ホイッ外れた楔と刃が。あっ二枚刃なんだぁ~
う~~ん‥ちょっと刃先が鈍いなぁ~~
「トイヴォネンさん今度来るとき砥石を‥‥」
「そう言うかなーと思って持って来たよ」
お~~ありがとうございます~ 手渡された袋には、二つの砥石と、なんか木っ端。
細かさは‥‥アレッ? 荒砥と中砥ってとこだねコレ?
「すいません、コレより細かいのって……」
「‥‥出回ってる中じゃあ一番細かいよ?」
ありゃ、こっちの世界に仕上げ砥ないのかぁ~‥
‥‥‥というか、前世でも‥‥仕上げ砥が採れる国って 殆どなかったっけ‥‥
どっかにあるといいなぁ‥‥
まぁいいや、研ご研ご。
先ずは砥石を水に沈めてっと、
ホントはしっかり浸け込んだほうがいいんだろうけど、まぁ今回は 泡が出なくなるまででいっか。
‥‥‥ところで一緒に入ってた木っ端は何だろう‥‥ 形としては 薄い直角三角形の鋭い方をちょん切って台形にした感じ……
………あっ、研ぐときのガイドか。角度の。
いらんいらんこんなの、感覚で十分。
…………よし、泡が止まった。
中砥の方は もうしばらく水に浸かっててね~~
しっとり湿った砥石の上を、シャリッと滑るこの感覚‥‥ おぉ~懐かし~~
「‥‥‥おい‥お前 孫にこんな事まで教えてるのか‥‥?」
「‥俺は刃物屋じゃないんだぞ‥‥ 教えられる訳ないだろ‥‥‥」
「‥‥‥じゃあ何であんな上手に扱えてるんだ‥‥?」
「‥‥‥さぁ‥‥」
…………………
さって 研ぎ上がりっと!
早速 刃をはめて、試しになんか削ってみましょっと。
と言う訳で机の横にあてがって‥‥そのままスーッと引いた。
すると‥‥‥
‥‥シャーッ‥‥‥
‥‥‥よっしゃ綺麗な削り華!!! 向こうが透けて見える!!!
いやぁ~~ 木っ端のガイドで研げるだろう角度より、気持~ち立てて研いでみたんだけど大成功!!
逆目にも引っ掛からずに、ちゃんと引いて使えたよ~~~!!!!
押して使う道具って 体重がないとツラいからねぇ~~ なんせこちとら、未だちっちゃな子どもだもん。
「‥‥‥何で引いて使うんだろうな‥‥」
「………そっちの方が使い易いんじゃないか‥‥?」
「‥‥ホント‥変わった子だなぁ‥‥‥」
「……まぁ‥‥なぁ‥‥‥」
あぁ‥‥魔法もなければご飯もない‥‥‥




