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ダーウィンもメンデルもいらっしゃらない世界

「ところで‥気になってたんだけど‥‥‥ この野菜って‥‥何?」



 そう言ってトイヴォネンさんは、木のお皿に盛られたスイスチャードを‥‥



………あぁ~~これ‥‥‥‥ どうやって説明したもんかなぁ~‥‥‥


「茎が赤いのはブレッタチャードだよね‥‥‥ でも 他の色とりどりのは‥‥」



‥‥‥‥はい‥‥? チャード‥‥‥ですと‥‥?


‥‥‥‥


‥‥‥


‥‥


‥ま~~~じ~~~~かぁ~~~~~!!!!!


 何 自分!!? 既にこの世界にある野菜をセッセコセッセコ品種改良して作ってたの!???


 自分のバカ~~~~!!!!!あの開発期間は一体何だったんだよ~~~~!!!!!




「そいつらは孫が作ったんだよ」


「へぇ~~、上手に育てたねぇ~」


「‥‥いやまぁ 育ててもいるんだが‥‥ 作ったんだよビーツから‥‥‥」


「……………は??? ‥‥‥どういうこと????」


「ほれ、説明してやってくれ。」



 思いっっきりしょげてるこちらに、じいちゃんからお声が掛かった。



「‥‥えっと……ビーツを葉野菜みたいにしたいなぁ~~~って思って‥‥

葉っぱが大きいのとか、スジが少なくて柔らかいのとか、アクが少なくて美味しいのとかを掛け合わせていって……」


「ちょっと一旦ホントに待って‥‥‥何でビーツがブレッタチャードになるの???」


「?、そこは根気よく掛け合わせて 品種改良していけば‥‥」


「?? ビーツの種からはビーツしか生えないよね???」




‥‥‥お??‥‥‥‥ あぁ~~‥‥まだ無いのかぁ~~‥‥‥ こちらの世界に進化論は‥‥‥‥




「この子が魔法で 物凄い早さでビーツを成長させてな、そして性質が違うものを‥」

「いやいや待て待て、成長?? いくら魔法ったってそんな事‥」

「出来るんだよ、孫が魔法を開発してな‥‥」


「‥‥‥‥は???開発???? ‥‥‥‥凄いね‥‥‥」



‥‥‥アハハ‥‥‥‥食欲の賜物ですよ~~‥‥‥



「まぁ‥‥食ってみろよ、孫の努力の結晶だ。それら色は違うが同じ種類らしいぞ。」


 じいちゃんの言葉に促され、トイヴォネンさんはフォークをスイスチャードに刺した。そしてそのまま‥‥


「あっ、ちょっと待ってください」


 流石にそのままは味気ないでしょ。ちょっとお皿に戻していただいて、お塩と、

 殻ごとローストしたクルミをほじって 更にフライパンで煎って 香ばしさをかなり補強した 焙煎クルミ油を掛けて‥‥


「はい、どうぞ~」


 トイヴォネンさんは、再びフォークを刺して口に運び‥‥


「……………柔らか!!!えっ何で?全っ然苦くないね!!! うわ、ほんのり甘い!!」



 ぃよっしゃあ~~~!!!!!! そのお言葉だけで、品種改良した甲斐があったってもんだよ!!!!!

 まぁショッパイ気持ちにもなったけど!!!!! 今後も思い出すたんびになるんだろうけど!!!!!



 心の中で小踊りしているこちらを余所に、トイヴォネンさんは焙煎クルミ油の小瓶を手に取り 眺めていた。


 そして不意に‥‥



「‥‥‥いや!コレ売ろうよ!!」



 と、おっしゃった。

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