クルミの油と 千切れたタガと
ウチの孫は、時々妙なことをする
しかし今日は、何となくその意図が分かった様な気がした‥‥
「‥‥なぁ 少し口の中クドくなってないか?
ちょっと そのカブの切ったの 食ってみろ」
「は?……ぉ おぉ‥‥
……ぁ‥‥あれ?……」
「なあ 美味いだろ」
「あぁ……コレって どうなってるんだ? 塩っ気はあるけど……ただ塩漬けにしただけじゃないよな?」
「そうなんだよ。孫が、麦のヌカと一緒に漬け込んだらこうなったんだよ」
「……? ‥‥ヌカ?」
「あぁそれはな‥‥精麦した後のカスだ」
「は??! そんな肥料にしかならんようなもんで、コレが!?」
「驚くよなぁ。ウチの孫 凄いだろ。」
「あぁ‥‥しかし何でこんなこと思い付くんだろうな?」
「‥‥何でだろうな‥‥‥」
◆◆◆◆◆◆◆◆
…おぉ~~危ない々々、油から煙が立ってきてたぁ‥‥
残ってたポロネギの緑のとこを細かく切って、油に掛けてたけど……
……うん、いい匂い! ネギ油 一丁上がり!!
そのお隣の火口では、少々水を張った鍋の中にスープボウルを逆さに置いて、
その上に乗る皿には、キャベツを敷いた上に ポロネギの青いとこと一緒に 塩を刷り込んだ牛ヒレを乗せ、白ワイン代わりにグズベリーワインを 多少水で薄めたのを振って
それで鍋の蓋をチョットずらして閉めて、ごくごく弱火で ゆっくりしっとり蒸し上げていたのが鎮座。
蓋を開けると‥‥ホワッといい匂い! うんっ いい感じに蒸し上がってる!!
ではではお肉をまな板に乗せて‥‥‥ 熱いから、上手いこと菜箸で押さえて‥‥まぁスライスでいいかな?
で、切ったお肉を 青いポロネギだけ除けたお皿に戻して、お肉の上に白髪ネギをふわっと。
「お待たせしました~ 跳ねますんで ちょっと気を付けて下さ~い」
では参ります!!
白髪ネギの上めがけて、熱々ネギ油をジュワ~~!!!
「ぅわわっ!」
アララすいません 驚かせちゃいまして‥‥
‥‥でも‥‥ウン!いい香り!!
因みに付けダレは、醤油とお酢と ほんっのチョッピリの水飴。
「あの~ 自家製ですけど、ベリーのワインもありますので、よかったら適用に飲んで下さい」
何本か卓上に置いたら、もう一品仕込みに行きましょ~
「‥‥‥酒まで作っとるのかあの子は‥‥‥」
「‥‥ハハハ‥‥‥」
……………………
ではでは、小ぶりのフライパンに多めの油を張って‥‥
今回は火に放り込んだ方のクルミの油を使いましょ。
‥‥ただ狙った程の香ばしさは出なかったなぁ~‥‥
今度作るときはほじった実、空煎りしよっと‥‥
そこに厚めにスライスしたニンニクと、斜めに切ったポロネギを入れて火に掛けましてっと
油から香りが立ち昇ってきたら、ブロッコリーをゴロッと切って入れて トロ火でクツクツくらくら……
ある程度したら、サイコロ状にカットして塩しておいた羊のモモを入れて、も少しクツクツくらくらと……
よ~しアヒージョ出来上がり!!
欲を言えば‥‥鷹の爪があればなぁ‥‥
あっそうだ、堅いチーズあったっけ。粉チーズにして降りかけてみよっと。
「は~い失礼しまーす。‥あっ、羊なんですけど苦手じゃないですか?」
「あ~ うん大丈夫だよ‥‥ところで‥ショ」
「あ~~!あと食後に甘い物 出しますんで~~~」
いやぁ~危ない々々 また女の子扱いを蒸し返されちゃぁ たまったもんじゃないからねぇ~~‥‥
「……なんか俺‥‥嫌われるような事したか?」
「……さぁ……なぁ……… 特にはないと思うが………」
「‥‥で‥‥甘い物?」
「………最近‥‥氷の菓子が出て来るんだよ‥‥‥」
「‥‥は?‥‥‥何処ぞの国の貴族様か‥‥‥」
「‥‥‥だよなぁ‥‥‥」
………………
さって、〆にはカキ氷っと。
シロップ取りに雪室に向かおと外に出れば、空はすっかり群青色‥‥‥いかん‥‥一気に眠気が‥‥朝も早よからクルミ絞ってたもんなぁ………
………………
「ゴメンじいちゃん、後任せて良い?眠くって‥‥」
とりあえず お椀二つに、中はシャリシャリ 外はフワフワの雪を盛って、
ボウル二つにそれぞれを用意。
シロップはいつものに合わせて、
ヨーグルトと水飴と梅酢を合わせた新作爽やかソースもラインナップ
「あと‥‥すいませんトイヴォネンさん。今度来る時、バケツ一個お願い出来ませんか?」
「ん?‥いいけど どうしたの?」
「‥‥いやぁ‥‥一つこんなんなっちゃって‥‥‥」
そう言いつつ 恥ずかしながら、タガがぶっ千切れたバケツをお見せした‥‥‥
「クルミの油絞ろうと思って…殻ごとバケツに入れて押し潰そうとしたら、こんなんなっちゃって………」
因みにコレが一巡目の油絞り。
「じゃあすいません、よろしくお願いしますぅ‥‥ お休みなさ~い………」
「‥うん‥お休み~………」
◆◆◆◆◆◆◆◆
「‥‥‥‥なぁ‥‥‥ お前の孫ひょっとして‥‥‥ 魔法使えるのか?…………」
「………内密にしてくれんか?‥‥‥」
「?………なんで」
「考えてもみてくれよ‥‥‥あの子がもし‥軍に入ったら‥‥」
「………ぁ……あぁ~~」
「‥だろ?、良かれと思って変な事して‥‥軍法会議にかけられそうだろ………」
「………俺は‥捕虜に勝手にご飯出して 軍法会議にかけられる様な気が‥‥‥」
「………あ~‥‥」




