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翡翠の豆と、外れたタガと


 ウチの孫は、時々妙なことをする



 まぁ‥‥薄々そうではないかとは思っていたが‥‥ あの臭い立つ、壺の中身は食べ物だった‥‥



‥‥そして存外それが美味かった‥‥



 緊張の糸が、ゆるりとほぐれたその時に‥‥


「──うちかんなある?」



……………




「───と言う訳だ。かんなを頼む」


「………変わった子だなぁ‥‥‥」



 マルクも同じ感想だった




 ◆◆◆◆◆◆◆◆



 チマチマと


 チマチマチマと


 チマチマと



 ナイフでこさえた楊枝で、かち割ったクルミの核‥‥というか実をほじくり返していた‥‥‥


‥‥‥何故なら台所の、食用油が心本無くなってきて‥‥‥



 ほじくった実を絞れば、いい感じの油が絞れると思って。



 ちなみに二巡目に、生のクルミの実を使った生絞り油は何とか出来た


 ので欲をかいて、今度はクルミを火に放り込んで ローストした感じのもパキャパキャかち割り、チマチマチマと チマチマと


 香ばしいゴマ油みたいになったらいいなぁ~と思って



 長い木材 二本の一端を、ロープで縛って、

 下の木は丸く皿状に削り そこにクルミを入れ、その削った窪みに合う、半円状の木を挟んで、テコの原理でギュウギュウプレス!!



 滴り落ちる油を、下に容器を置いておけばバッチリ回収、一丁上がり!!



 ちなみに絞り滓、軽く炙ると意外と美味しかったり。まだそこそこ 油分残ってるせいかな?…



……………………



………うん……… 量を‥‥‥量を絞るのはツライ…………


………まぁ今日も……そこそこ取れた‥‥かな?

 空は茜、疲れを携え 帰ってくると、見慣れた馬車が玄関前に。ということは


「トイヴォネンさん いらっしゃ~い」


「おぉ戻ったか。カンナな、次来る時にマルクが持って来てくれると」


「えっ!ホントですか~! ありがとうございます~」


「あぁ アハハハ‥‥いやぁでもいいの? なんかこう 他に……女の子だし‥‥」




‥‥‥いや‥‥女の子って‥‥うん、話 反らそ。




「あっ ビール飲んでるんですか!?」


「あ~っと…エール‥」


「じゃあなんかツマミ作りますね~~」



「‥‥ビールって何?」


「‥‥何だろうなぁ‥‥‥」




───さ~て 毎度お馴染み雪室へゴー!あと畑にもなんか…… あっ、ビールっていえば‥‥畑行ってひっこ抜いてこよ。



……………



「──とりあえず枝豆でつないでおいて下さーい」


「?、枝豆??何?」


「えっ???‥‥あっ、イヤほら‥‥昔売ってくれた豆………

あれの若いやつです……塩茹でしただけですけど‥‥」


 まぁ‥‥お酒に合う様に‥‥ ヘタの少し下の所から切って、莢の中に塩気が入る様にはしてあるけど……



「………おぉっ!?何コレ 美味いね!!」


「あっ 気に入ってもらえて良かったです~ じゃあ枝豆でなんか作りますね~」



「──いやぁまさか、育ちかけの豆がこんなエールに合うなんてなぁ。

お前の孫は凄いな」


「ホントよく思い付くよな‥‥」



………………



 ではではご好評にお答えして また新たに枝豆を茹でて豆を取り出し、


 ところで残った茹で汁、結構良い出汁 出てるんだよなぁ~~

 さぁ此処に、残った莢を入れてもう一茹で、更に出てこいグルタミン


 それはそれとして、千六本にしたニンジンとカブ 枝豆の豆を一緒に天衣(てんごろも)を絡め、クルミ生絞り油でジュワァ~~!!!

 枝豆のかき揚げ 一丁上がり!!



 因みに油を大盤振る舞いなのは、トイヴォネンさんが食用油を持って来てくれたから‥‥‥うん、これだけ買えば当面大丈夫だねぇ‥‥‥



「お待たせしました~ 天ツユとおろしでどうぞ~」


「ぇ‥え~っと‥オロシ?‥‥」


「あっ、え~と大根おろ……辛いカブの擦りおろしです。

乗せて食べるなり 天ツユに溶くなりで、お好みでどうぞ~」


 さぁ、次の料理にレッツゴー!



「‥‥なぁ‥‥天ツユって?」


「その黒い汁よ‥‥見てない内に作ってたから、詳しいことは俺にもわからん‥‥」


「あっ そぅ‥‥‥

──‥‥これ凄くエールに合うな」


「‥‥なあ‥」



………………



 続きましては、厚揚げにでもと 重しをして水気を抜いてたお豆腐を、洗った石に押し付けるようにしてキメ細か~く擦り潰し、繋ぎにカタクリ粉を少々。


 因みにカタクリ粉は、水飴こさえるときに作ったデンプン。

 あれを取っといて乾かせば出来上がるわけで。



‥‥‥あっ、そーいえば ウチの山にゃあ、ほんもんのカタクリが生えとるんだった‥‥ そのうち そっちでも作ってみようかな?


‥‥でもカタクリって、エッライ成長スピード遅いんだよなぁ‥‥ヘタすると全滅‥‥まぁなんとなったら [成長促進]でどうにかなるかな? うーん‥‥



 おっと、いかんいかん考え込んじゃってた。

 ではでは 枝豆と、ニンジンとゴボウ代わりのアザミの根っこを みじん切りにしたのも練り込んで、手に油を塗ってコロッとまとめて油でジュワァ~~ ホイッと完成がんもどき!


 更にさっきの枝豆出汁に、ナイフでこそいだ薫製肉をワサリ。

 グルタミン×イノシンの合わせ出汁をこさえて漉して、薄口醤油に塩 水飴を少々。仕上げに水溶きカタクリ粉でトロみをつけて、ホイッ 仕上がった餡を、がんもどきの上にトロ~リ掛けて、まだまだ元気なアサツキを 小口に切ってパラリッと。



「は~い。味が薄かったら醤油かけてくださ~い」


 さ~て 次 次っと。



「………これは?……」


「‥‥俺も初めて見る……」


「‥‥そっか……

………美味いな」


………………



 そろそろお肉も行こうかな?


 溶いた小麦粉をフライパンに薄~く引いてカリッカリに焼いて、粉々に砕けば、うん こいつはパン粉代わり。


 ではでは牛のランプを筋切りしてから打ち粉して、玉子は無いので かなり濃ゆ~い水溶きカタクリ粉を纏わせ、その外になんちゃってパン粉も纏わせて


 そして三度目の油でジュワァ~!! 早めに上げて休ませ余熱でゆっくり火を通し、仕上げにもう一回油に入れて二度揚げ!!


 ザクッと包丁を入れると‥‥よし! 中はキレイなミディアムレア!!

 牛カツ一丁上がり!!



「は~い、ワサビ醤油か味噌ダレでどうぞ~

 後 糠漬け、口直しにしてくださ~い」


 まぁワサビって言っても山ワサビだけど。香りは控えめだけどホワッと広がって、ほんのちょっぴりの甘みに ドカンと来る辛みも相まって、これはこれで美味しいんだよねぇ。


 味噌ダレは、ポロネギの白いとこと、

 ニンニクっぽいポロネギの根っこ…… コレ、ほとんど前世の無臭ニンニクだよなぁ~‥‥

 これらをみじん切りにして油で炒め


 豆味噌と 米っぽい粟味噌の合わせ味噌と 水飴と 少々の水をよ~く混ぜたのを、炒めてるところにジャーッと!


「ねぇっ、そろそろ座って一緒に食べたら?」


「あ~~すいません、まだ仕込んでるのがあるんで~」




「………凄いな……いつもああなのか?」


「‥‥まぁな‥‥今日はいつもより 張り切ってるけどな‥‥」


「……そっか………ところでワサビ……って?」


「そこのレホールのことらしい‥‥」


「あ~ そうなのか‥‥しかしこれも凄いな‥‥この 中の肉、高級な店のステーキみたいな火の通り加減だぞ……

‥‥なぁ‥‥ところで……このショウユと‥‥ミソ‥だったか?? これって売れるくらい有るか?」


「‥‥ぁ ‥あ~~…それは後で孫に聞いてくれ……」


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