網と根気と草のスジ
………ガタタンガララン………
「いやぁ全然涼しくならんねぇ~」
「そうだなー」
皮水筒に詰めた麦茶をクピリ
「じいちゃんも飲む~?」
「あ、おぉ。」
隣で荷車を引くじいちゃんに差し出す。
積み荷が網くらいだと聞いたじいちゃんは、「それなら馬使う事ないんじゃないか」って言ってきた。
自分の小さな体じゃ荷車引くのキビしいからって言うと「待て、一人で荷馬車使う気だったのか?」って待ったが入った‥‥
‥‥いやまぁ冷静に考えたら‥‥自分もじいちゃんの立場ならそう言うわな………
さてそんな気分を置き去るように、荷車の方にぐるりと振り向き、視界に捉えた網に、
いやぁぁ~~以外とかかったなぁ~~‥‥
なんて今までの過程に思いを馳せてみたり‥‥‥
‥‥‥事の起こりはあの大雨。ズルリと崩れた法面の土を とりあえず戻してはあるけれど、今年は思い出した様に夕立が度々。いつまた崩れるんじゃないかとヒヤヒヤしていた。
なんか対策しようにも、トイヴォネンさんがいつ来るのかはちょっと分からない。しかもその時お願いして、頼んだ品が来るのは更に後……
………じゃ、自分で何とかしちゃおっか。
と相成った。
と言う訳で先ずはイラクサがゴッソリ生えてるとこに行き、去年の秋に枯れて倒れた奴らを集めて………めぼしいのがあんまりないなぁ‥‥ そりゃあ一冬越して今は夏だもんなぁ‥‥
とりあえず持って帰って来たのの茎をパキッと折って、残った繊維をビーっと取る。外っ皮も丈夫そうだからコレも使おっと……
……うん‥‥まあ当然 全然足らんわな‥‥ んじゃあ生の青々したのも使おっか……イラクサのヒリヒリ対策に、夏だというのに長袖を……暑いよぅ……
………ふぅ……さぁて バサバサ刈って来た奴らの葉を落とし、皮をひっぺがして 内側の繊維をナイフでゾゾッと削いでいく。こっちも外っ皮も使えそうかな………
…………う~ん‥まだちょっと足らんかなぁ……
‥‥しゃあないっ、ナタ持って木の皮でもひっぺがして来ますか。オヒョウみたいなのと菩提樹っぽいのがあったから、まぁそのあたりでなら何とかなるべぇ………
………ほい取って来た。じゃっ、コイツも内側の繊維を剥がして……流石にこれの外は使えないなぁ‥‥
……はてさて繊維は取れたけど‥‥ ヌメってるなぁ~~‥‥‥ 灰で煮よ………
後は乾いた奴から、チマチマ縒って糸にして……
………更に縒って太くして……
…………更に々々逆向きに縒ってようやくロープ………
…………そしてこいつを編み上げて………… よ~~やく網が完成‥‥長かったぁ……
…………ち~~~か~~れ~~た~~~~~!………
………さ~て、雑草も生え始めた法面に到着。雨後の何とやらは雑草にも当てはまるなぁ‥‥
「ありがとね~」
「おぉ‥‥でもホントに一人で大丈夫か?‥‥」
「何言ってんの、今日マキネンさん来るんじゃない」
「おぉ‥まあなぁ‥‥‥じゃあ終わったらゆっくり帰ってこいな」
‥‥う~ん‥‥ホントじいちゃん、マキネンさんに会わせようとしないよなぁ‥‥ 良い人そうなのに何でなんだろ?
若干不安そうな表情を浮かべつつ 荷車を引いて帰って行くじいちゃん。
そんな心配しないでも大丈夫だって‥‥
さて、例の法面に網を掛けて、
家で作って来た、間伐材の枝分かれした所をちょん切ってこさえたペグを 四隅に打ち付けて……はい、終了。
…………準備の割にはあっという間だったなぁ‥‥‥‥




