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灰色の糸


「いや 何と言うか、瑞々しくて、スベスベしてて‥‥噛んでもネチャッとしなくて………」


 あっ‥‥とりあえず、何か…………良かったぁ~~~‥‥



「あっ、じいちゃん天プラも食べる!?」


「お?おぉ、」


 じいちゃんにもういいって言われる前に、すかさず揚げ物を進めた。

 前世でも西洋の人って天プラ好きってイメージがあって‥‥


 珍しくじいちゃんが興味を持ってくれたのに、それが冷めたら

なんかものすっっごく悔しい気がする‥‥


 とは言えこちとら食べてる最中なんだよなぁ‥‥ご飯前ならもうちょっとやりようがあったけど………あっ!



「ちょっと待ってて!今めんつゆ用意するから!」



 そうだよめんつゆ!!味無しじゃあんまりだ!!!


 とは言っても、蕎麦猪口ないから木のカップで代用するから、なんとも締まらないんだけど‥‥


 つゆの材料は、ザラメ代わりに水飴をゆっくり火に掛けながら醤油も少しずつ加えていって、アクを取り取り作った やっつけのカエシと


 削った薫製肉を煮立てて取った、なんちゃって出汁。



‥‥うん、まぁダメではないんだけどね‥‥薫製肉からね、油が浮いてくるんだよねぇ‥‥


 天プラで油のコクが出てくるのは好きなんだけど、


 最初の一口はさっぱり食べたい‥‥‥



 どれだけカンカンに燻しても、ど~~しても薫製肉に油が残って‥‥‥




‥‥‥悔しいなぁ‥‥‥



‥‥‥ホンッッット~~~~に悔しいなあぁ゛ぁ‥‥‥



 あぁ………………鰹節欲しい‥‥‥




「はいっ、好みでワサビ使ってね」


 まぁ山ワサビだけど、そこはご愛嬌。


「‥‥ワサビ?」


「あっ、その擦り下ろしたやつ。ツーンってくるからちょっとずつ試して。」


「あぁ、レホールのことか」


 へぇ~こっちじゃそういう名前なんだぁ~。



 カップに注いだめんつゆを渡し、こちらも座って山菜天プラに箸を伸ばす。


 先ずはカタクリ……………うん 揚げちゃうと風味はあんまり感じないけど、熱が加わって ややしっとりとした食感と、ホワッと出てくる甘さ‥‥やっぱり美味いや……………



…………けど衣が‥‥知ってる天プラじゃないよなぁ~~………


 玉子が‥‥玉子がないから、硬いチーズを擦り下ろしてみたけど‥‥おんなじタンパク質だからって入れてみたんだけど…………




 しっかり洋風に偏っちゃったよ………


 まぁ美味しいんだけどね?




…………うん、まあコレはコレとして、次またなんか考えよっ。次はコゴミとゼンマイをっと。こっちはワサビを多めに付けて…………



…………う~ん、噛んでいくとゆっくりヌメリが出てきて、つゆの味と合わさるとフッと広がる優しいうま味のコゴミ。それとは違ってしっかりした歯ごたえで香りもギュッとあるゼンマイ‥‥何でだろうねぇ‥‥ホッとするなぁ………




…………さて‥‥こっから先は種類の分からない、ウコギっぽいやつの芽と、ユキノシタっぽい葉っぱ。


 [毒物鑑定]で死にゃあしないことは分かってるんだけど、なにぶん味が不明‥‥まぁ初めての山菜は天プラってのが相場ですよねぇ



 芽の方は……………あぁ~~ドシッと濃くてドシッと苦い…………こりゃあいいや、フキノトウ見つからなかったから、これで なんちゃってフキ味噌作ろっと。麦粥に溶いたら美味いんじゃないかな?



 さてさて大トリのユキノシタみたいなやつは…………うん、春菊の親分!青くて苦い!


 でも美味い!!



…………………



…………蕎麦もすっかり手繰り終わって、ふぅと息をはきながら背もたれに寄りかかると、じいちゃんがカップを手に立ち上がるのが見えた。



「あっ じいちゃん!ちょっと待って!!!」


「‥‥どうした?」


「蕎麦湯持って来るから、ちょっと待ってて!」




 そう、蕎麦湯‥‥




 前世日本では、これを楽しむ為だけに せいろを手繰るなんて人がいる程の、魅惑の液体、蕎麦湯‥‥



 …………わかってる‥‥わかってる!!ハマらない人も多いってことはわかってる!!!



 でもこれを勧めなかったら絶対後悔する!!!!



 スープボウルに蕎麦湯を入れて来て、お玉でじいちゃんのカップにゆっくり(そそ)ぐ‥‥


 顔では平静を装っているつもりだけど、内心冷や冷やもので…………


 さあ‥‥反応は如何に………………




「…………あぁ、なるほどな…………」



‥‥訝しげに飲んだじいちゃんの表情が、ふわっと柔らかくなった‥‥‥




…………あ‥‥良かったぁ…………

 誤字報告、本当にありがとうございます!


 読んでいただけるだけでも嬉しいのに、わざわざお手間を掛けていただけるなんて‥‥


 嬉しくて心がフワフワしております!

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