手巻きパーティー
胸のすくような景色と、キレイな空気を胸いっぱいに楽しみ、
流石に飽きて、ついでに肌寒くなって、
緑の香り立ち込める懐かしの我が山へフワリ舞い降りると、駆け寄っていたじいちゃんが‥‥
「‥‥心臓に悪いぞ‥‥」
開口一番ボソリと言った‥‥ゴメンじいちゃん‥‥
「‥‥飛行魔法は屍の歴史なんだぞ………………」
…………………マジっすか‥‥ホントにゴメンじいちゃん‥‥
「あっ!…………えっと え~っとぉ…………… 飛んだ理屈だけど‥」
「いや!ちょっとまて、こっちにも考えさせてくれ。」
お~流石 元研究者。他人の後塵は良しとしませんか~~
思考の迷路に足を踏み入れた じいちゃんの帰りを待つついでに、
取ってきた山菜のアク抜きを始めることに。
でっかい鍋をグラグラ沸かしつつ、
ワラビとゼンマイに灰をまぶして うぶ毛を取り取り、それぞれバケツに並べ、お湯をゆっく~り、ジャーっと‥‥
落とし蓋代わりに板切れ乗せてっと、ふぅ 後は明日まで放置ですな。屋根のあるとこまで持ってって…………
おっ、じいちゃんが迷路から戻って来てるみたい………
そうだ、「じいちゃ~ん、外でご飯食べな~い?」
「お~そうするか~ そういえばヴオリネン
さんとこから肉貰ってきたけど、生の内に焼いて食うか~?」
マジっすか、そりゃあもう是非々々……………
……………………
「……………ちょっとまて、重力って何??」
しまった‥‥その概念がないのか……………
「え~~~と……………地球の上って 下に引っ張る力が働いてるじゃない?」
説明しながら、タラリと鉄板に生地を落とした。
小麦粉と塩にバターを加え、牛乳で溶いた、いわゆるクレープ生地である。
これをどら焼きよりやや大きめに薄~く広げ‥‥
「…………地球??」
そっかーー!!地面が丸いって考えもないかぁ~~!!!
「えっと!さっき飛んだ時に地平線が弓なりになってて!!
だからきっと地面は まあるくて………
多分 中心の一点にギュ~~~っと引っ張られてて……………」
言ってて気付いた矛盾してる!!
事が後先になってる!!!!
絶対 余計不信がられる!!!!!
平静を装う為に、今度は蕎麦粉と塩を溶いた生地をボタリとたらし、伸ばす。
多分昔のクレープ生地である。
やってみたかったのである。
しかし上手く伸びない‥‥ 極度の緊張のせい??
「…………まぁ、そうやったら成功したんだな‥‥‥後でやってみるよ。」
あぁ~~~~よがったぁ~~~~~助かった~~~‥‥‥‥
「あっ肉焼けたみたいだよ」
カマドの中からいい感じの音がしてきた。
せっかくなのでカマドの一口に、平たい石を灰をまぶして入れて、薪の代わりにクルミの枝を詰めて、天板はお湯の沸く鍋の底。
なんちゃって窯をでっち上げて、塩を打った一口大の牛肉を焼いていた。
焼きたてのクレープ生地に、 サッとお湯にくぐらせた採れたてのカタクリ、窯の中でジュウジュウ言ってた 焼けたてお肉をポン。
自分は昔のクレープ生地。手早くくるんで一口でパクリ…………
…………美味くない訳ないではありませんか!!!
早速次は、塩茹でしてから水気を切ったイラクサをっと。
塩と、サッと醤油で下味つけたお肉に、
生クリームに ちょっぴりの酢を混ぜたサワークリームもどきを乗せて巻いてっと、カタバミも飾ってみますか…………
生クリームのコッテリが酸味でややサッパリ!欧米っぽい味!お酢買ってもらっといてよかったぁ! 次は少し刺激的なのをいってみますか。
薄切りにしたお肉を お箸を片手に鉄板で焼いて、湯がいたアイノネギと刻んだアサツキ、
醤油と水飴(麦芽糖)を水で少し割ってから煮詰めたタレを合わせて‥‥‥
‥‥うん!どことな~く焼き肉っぽさが!
チクショ~ ここに唐辛子とゴマ油があれば!
続いて、作っておいたローストビーフもどきの薄切りを、鉄板で両面チャチャッと温め 下ろした山ワサビと、塩茹でしたヤチブキ‥‥
…………そりゃ~~あ ローストビーフとホースラディッシュ!!
合わない筈はない!!!
まぁ、ローストビーフの食感はちょっとバサバサだけど‥‥
それいけお次は 味噌と水飴とチーズを水で溶いてから、ついでに粟で作った塩麹を入れて火に掛けたタレに 短時間だけど漬け込んだお肉を、なんちゃって窯で焼いて、
塩茹でしてアク抜きしたアザミと一緒に乗せて、さっきの味噌ダレ塗った上から、炙って溶かしたチーズをテローっと垂らして……………
あ~~!ドシッとくる~~
「そういやコンロの鍋って何入ってたの?」
ふと思い出してじいちゃんに聞いてみた。すると
「おぉ忘れてた、腸詰めも買ってきたんだったよ。食うか?」
‥‥‥腸詰め??‥‥ってことは‥‥‥
「‥‥何が詰まってるの‥?」
「?、そりゃ肉だろ」
「食べる食べる食べる食べる!!!」
ってそれはソーセージじゃありませんか~~!!!
食に関心の薄いじいちゃんが まさかソーセージなんて‥‥うっっれしいよ~~!!
早速食べようと、一茹でしてあったソーセージを鉄板で焦げ目を付け、パキリと囓る‥‥あっ、懐かしいこの食感…………
…………うん、多分 牛と羊の合い挽きを、つなぎと塩だけで練ってるね。
美味いけど少し匂いが目立つから、生のタネツケバナと 湯がいたニリンソウと一緒に巻いてみましょ。
醤油ダレと、少しの山ワサビも……………
……………ピリッとしてシャクシャクしたタネツケバナと、清涼感を感じる香りと苦みに チャッキチャキの小気味良い歯触りのニリンソウ。だいぶ良いんじゃないの?!!
時間が経ってくると、昔風クレープの生地の、伸びが段々良くなってきた。
が ここで、一つの大きな問題に行き当たった‥‥‥‥
‥‥‥もう入らん‥‥苦しい………………
…………その後自分は重たい腹を抱えながら、後始末やらまだ残ってる山菜のアク抜きの仕事やら何やらを、苦しくこなす羽目になった………………




