ミルクをかける攻防線
………パキャキャキャキャ!
………パキャキャキャキャ!
………パキャキャキャキャ!
……………パキャ!
……パキャ!
今日はじいちゃんと薪割りに勤しんでいた。
前の日にじいちゃんが作り出した、木を縦に 四本イッペンに固定して菊割りにする 実に便利な魔導書で、
木をセットする役と魔導書を使う役を 疲れてきたら交代しながら、
実験も兼ね、小気味良く薪の山を積み上げていっていた…………
…………のだが、お互い疲れが込んできたので、普通の魔法での一本づつに移行したところだった。
[魔力]と[魔法]もしくは[魔導書]は、運動に例えば、
お食事でとった[カロリー]と、鍛えた[筋肉]みたいなもので、
いくら[カロリー]が残っていても、[筋肉]が疲れたらシンドくなる
そんな感じで、使う[筋肉]を変えるようなイメージで[魔法]に入れ替えた。
魔法と魔導書の違いは‥‥‥腕立て伏せとスクワット‥‥くらいかな?
そんな感じで仲良く楽しくやってると…………
「ラポラさ~ん 居るか~い!」
女性の声が聞こえてきた。
あっ この声聞き覚えある、確かヴオリネンさんだ
「あっどうも奥さん、旦那さんもお久し振りです」
「あはは、どうも」
「なんだいその子が前に言ってたお孫さんかい?
あんたも大変だねぇ、確かまだ37だろ?」
37!じいちゃん 若!!!
いや見た目若いと思ってたけど‥‥
「あっはい。孫のアイノです。」
じいちゃんの紹介の声に合わせて、自分はペコリと会釈した。‥‥が、正直 気もそぞろだった。何故なら‥‥
「いやぁ見とくれよ!下で牛飼ってるとこが 歳だから減らすって言うからさ、こっちは牛が歳だから近々一頭肉にするから、それならーって買ってきたんだよ!
やぁーまだ五歳だからとか 良く乳出るからとかとかグチグチ言ってたけどさ!牛潰したら肉持って来るからまけろって言って、だい~ぶたたいてやったよ!!」
そう、ヴオリネンさん夫妻の後ろから、立派な牛が付いて来ていた。
「あんたんとこにも お裾分け持ってくよ!どこが良い?
あっヒレは下に持ってくからダメだけどね!
モモが良いかい?ロースでも良いよ!」
「いつもすいません、じゃあモモをいいですか?」
「はいよ!」
そんな会話をよそに牛を見つめていると‥‥
「牛、好きなのかい?」
旦那さんが話しかけてきた
好奇心が抑えきれなくなった自分は、恐る々々 旦那さんに振り向き尋ねてみた
「しうぉっていいぇすか?(絞っていいですか?)」
「うんいいよ、じゃあ絞った分は お嬢ちゃんにあげる」
え!ホントに!!やった!
そうとなったら善は急げ。物置場からバケツを取り、水で洗って持って来た。
牛の下にバケツを置くと、水洗いのついでに 濡らして揉み洗いした袖口で 牛の乳首を拭う。
そして乳首に指を添え‥‥上から下へ引っ張るように‥‥
ゾバッ!
ゾバッ!
ゾバッ!
お乳が勢いよくバケツの底を叩き、小気味よい音を立て続けに立てた。
おお~~見立ての通り、タップリお乳が溜まってた~~
ヘタしたら乳房炎起こしてたよ~キミ~
「‥‥お嬢ちゃん上手だねぇ」
へっ?まぁ前世のおじさんとこで牛飼ってたから これくらいは‥‥
まぁ、言ったら正気を疑われそうだから言わないけど‥‥
「ちょっとあんたウチの子になんないかい?」
「いや あげませんから‥」
‥‥取りあえず大人の会話はスルーして、今は乳絞りに集中することにした。
なにぶんミルクの取り分が賭かっている。
‥と、不意にじいちゃんが‥‥
「………なぁ‥‥牛見たのって初めてだよな‥‥」
そういえば、こっちに転生してからは初めてかも
「ん?んん(ん?うん)」
「…………なんでそんなに上手いんだ??」
‥‥‥参ったなぁ‥‥‥なんて説明したもんか……………
……………………取りあえず、笑って誤魔化すことにした………………




