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明日は寝床にへたり込む

 ガン!ガン!ガン!



‥‥‥どうやらじいちゃんが畑に出て行ったようだ‥‥


 この家には鍵が無いので、


じいちゃんは、鍵の代わりに釘を打つ


 今まで全く気にしてなかったけど‥‥前世なら虐待って怒鳴り込まれそうな光景だなぁ‥‥



 魔導書の仕事が不安定だからか、

 じいちゃんは畑で麦やらカブやらを作り、


 馬を一頭飼い、


 山の上に住むヴオリネンさんのところに売る牧草も育てている。




 ‥‥‥らしい‥‥


 というのも 家の外には、じいちゃんに連れられて 家の周りをウロウロしたことくらいしかなく、畑なんか見たこともない。

 お外でやらせてくれることといったら、良いとこ薪割りくらいなもので。


 じいちゃんは魔法関係はやりたい放題やらせてくれるけど、外の世界には意外と過保護だ。

 ‥‥‥まあ こんな山の中で、自分みたいなちっちゃいのが遭難したらシャレにならないだろうけど‥‥‥




 はてさて、今自分は、寝床にドップリ伏せっている‥‥




 時は魔導書実験で大盛り上がりの翌日‥‥


 魔導書の文字が【熱燗】で お湯を出せるのなら、

本当に燗酒を出せるんじゃないかと試してみたところ‥‥


 魔導書は、音を起てて穴が空き、


 それならばと通常の魔法でリベンジしたところ‥‥

‥‥ゴッソリ魔力を使った挙げ句、カップの内側をホンノリ湿らせた程度で終わった‥‥おかげで 動くのが億劫な程へろっへろに疲れた‥‥




 この、くたびれるような実験の結果

 水みたいに、自然界にイッパイ有るものは楽に出せて、


 その逆ならば、コストがデカイ


…………んじゃないかなという漠然とした答えに行き着いた………


 次からはもうちょっと要領良くやろう‥‥




 多少寝ると、だいぶ疲れは抜けていた。これならば歩くことも出来そうだ。


 さて、動けるようになって一番始めにしたいこと。それは‥‥


トイレ トイレ‥‥




 プリプリ




 ふう~~スッキリ、


 そしてその時気が付いた‥‥




‥‥‥藁が無い!!!




 こちらでは紙は高い。

 魔導書の書き損じじゃあ お尻にインクがなすり着く。

 なので麦藁を、指で畳んで使っている。



 はぁ~~しょうがない、暖炉の焚き着けの藁 取って来るか‥‥


 ズボンと下着を半分下げたまま廊下を歩いていると…………



…………動きずれぇ~



 廊下に二つを脱ぎおいた

 身軽になった下半身に、少しだけ気分良く歩いていると、玄関前に差し掛かったその時‥‥



バキッ!!!

「すいませんラポラさん居ますか!!!」



‥‥同じところに釘を打ち付け過ぎたのか、扉のそこが砕けて開き、一人の見知らぬ男性が 視界の隅に現れた‥‥


‥‥下半身がスッポンポンの時に‥‥よりによって………


‥‥えっと………誰?…………なんか声には聞き覚えが…………


…………あっ思い出したマキネンさんだ。顔 初めて見た‥‥



「‥‥誰?」


 マキネンさんは訝しげに言う。そりゃそうだ、きっと一人暮らしと思ってたんだろうから


「‥‥みゃおえしゅ(‥‥孫です)」


 しまった!!動転の余りいつも以上に舌っ足らずに!!ちゃんと通じたか?!


「…………ぉ御孫さん?…………えぇと……………おじいちゃん居るかな‥‥」


 良かった!!通じてはいるようだ!


「りゅしゅえしゅ‥‥(留守です‥‥)」


「そうか参ったな‥‥君!!ラポラさんが書いた魔導書、どこにあるかわかる?!」


「ぁい‥‥(はい‥‥)」


「そっか ゴメンな、それ持って来てくれないかな?本当にゴメン急いでるんだ」


 おっと そんなお急ぎですか。そりゃ早く持って来ないと


 玄関に背を向けると、じいちゃんがいつも魔導書を書いている机までテチテチ歩き、椅子によじ登った


 が 悲しいかな、疲れの抜けないちっちゃな体


 椅子の上でフラッとよろめき、積んであった魔導書を机の下にドサドサ落としてしまった‥


 しまっ!!


 慌てて下を見ると、九割方 下にあった空き箱に入っていた。丁度いいや、全部箱に入れて引き擦っていこ。


 そう決めると 机に残っていた魔導書を全部、箱を目掛けて落とし、こぼれた物も詰め込んで、

 玄関に向かって箱を引き擦った。



…………おんも~~…………後で魔法で筋力強化できるかやってみよう‥‥‥お尻を拭いてから…………



 なんとか玄関まで引き擦って行くと、マキネンさんは嬉しそうな顔をして、


「ありがとう ごめんね。じゃあこれ持って行くからね。ラポラさんに宜しく」


 慌ただしく魔導書を持って行った。箱ごと…………





「ぉお?‥‥」


 帰って来たじいちゃんの、壊れたドアに驚く声が聞こえた。


 よ~し、さっきできるようになった筋力強化と、

 音を上げそうな骨やら筋肉やらを補う 身体強度アップの魔法を見てもらおっ



 っとその前に‥‥

マキネンさんが来たことを説明すると‥‥


「…………そうか‥‥‥」


 何やら少し顔が曇った。なんかまずかったかな?


 まぁいいや。それより魔法魔法‥‥‥


 自信タップリにご披露するとじいちゃんが



「ちょっと待った‥‥魔法 二つ同時に使ってるのか?‥」


「?、あい(?、はい)」


「いや 簡単に言うけどな…………研究者やってた頃もそんなの聞いたことないぞ‥‥」



 え?そうなの??なんも難しいことないと思うけど‥‥


 驚きの表情を浮かべていたじいちゃんの顔が、次第に鋭い笑みに変わっていった

 どうやらじいちゃんは目標があると燃えるタイプのようだ。





 そんなことがあってから、そこそこの日にちが経ったある日、再びマキネンさんがやって来た。

 じいちゃんは玄関から見えないところに自分を遣ってからそちらへ向かった。


 あれ?何かマキネンさんに会わせないようにしてる?別に危ない人には見えないけど‥‥


「この間はすみません、御孫さんのおかげで助かりました。こちら、ギルドと軍の納品代金と、それぞれの特急料金です。お確かめください」


「あぁ、確かに」


「それと軍の方から返って来た紙がありまして…………

御孫さんの落書きと、魔導書の説明書きですか?

すみません 急いでいたもので、確認もせずに持って行ってしまって」



‥‥あれ?ひょっとして…………魔導書の実験で作った なんやかんやも………一緒に箱に突っ込んじゃってた‥‥‥かな?…………




 来客が帰った後、孫に届かないくらいの小さな声で、祖父はポソリと呟いた


「‥‥こんなに少なかったか?………」

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