88・残留。
ロブさんはトエイーの街の住人の護衛でこの街に来ていた。
護衛が済んだのでダートに一旦戻ろうとしてたそうだ。
兵員の増員ができたらトエイー駐在になるかも……と言う。
オレはお別れを言う。
色々お世話になったのはこの人だけじゃあないけれどダンさんと同じ位
お世話になった気がする。
なにしろ担いで帰ってもらったりしたもんね。
「そうか、お迎えが来たのか。
お前のおかげでオレだけじゃなく街の連中が色々助かったよ。
商業ギルドの連中まで感謝してたぜ。
あのバッグのオカゲで街の活気も保たれたからな。
温水器のおかげで風呂は前より気軽に入れるようになったよ。
オカゲで疲れが次の日にまで残らないのが有り難いんだ。
よかったな、帰れるんならそれに越したことはないよな。
まあ、帰れたらタマにでもココの連中の事を思い出してやってくれ。
みんなお前を気に入ってたんだからな」
なんだかココから離れたくないような気持になってしまった。
でも、やっぱりオレは帰らないとイケナイんだよね。
あばら家のナオミ師匠の所に向かう。
みんなボロさ加減に驚いたけど中に入ってまた驚いた。
まあ、この家って魔道具で偽装してあるからね。
外見と中身の落差がスゴイんだよ。
リョーさんも一緒に付いて来てたんだ。
二人で色々話していた。
そうしてエリクサーをナオミさんに渡した。
飲むかどうかは彼女次第ということで。
まあ、若返っても彼女は偽装の魔道具が造れるからね。
おばあさんのままだと思わせるのは簡単なことだ。
結局ナオミさんもリョーさんも元居たオレ達の世界には帰らないと決めたという。
「もう、アノ世界の事は夢だと思う。
戻っても居場所もないだろうね。
ココは異世界だけどもうアタシには異世界じゃあないんだよ。
ココへ嫁に来たんだと思えば地球の裏側に嫁に行ったのとそれほど
変わらないと思えるしね。
でもアンタのオカゲで色々思い出したからね。
コノ薬を飲まなくても気分は若返ったよ。
飲むのにはちょっとまだ勇気が足りないけどね」
リョーさんもこの世界に残るという。
「まあ、理由はナオミさんとほとんど同じだな。
魔獣騒ぎはもうしばらく続くかもしれないが対処はできる。
その辺りを手伝ってもやりたいんだ。
若返ったから騒ぎが収まったらまたアチコチ旅をしてみようと思ってるんだよ。
この領地だけじゃあなく……ね」
ナオミさんがココの世界に残るというのでアランさんを弟子として
引き受けてもらうことにした。
オレよりずっと魔道具造りの才能があるんだもの。
専門家のナオミさんの弟子にはピッタリだと思ったんだ。
アランさんが他の異世界の人だということに同情してくれたようで
なんだかブツブツいいながら引き受けてくれた。
「家族の事を忘れることはできないと思う。
でも、ココが私の新しい居場所だと思うことにしたよ。
リョーさんやナオミさんという前例な人たちもいるしね。
帰っても誰も幸せには成れないと思うし。
元の世界で仕出かした事を償うことができないことが
私への罰なのかもしれないね。
君が主人になってくれてよかった。
野垂れ死にから救ってもらったことは忘れないよ。
ありがとう」
お別れは寂しかった。
でも仲間が慰めてくれた。
そうして「体育館」に帰って来た。
師匠は戻っていて帰還を喜んでくれた。
でも剣士な勇者はまだ見つかっていないと言う。
アイツは幼馴染でオレと同じアホだけどオレなんかより
ずっと強くて頼りになるヤツだ。
きっと見つけ出せると思う。
弱っちいオレだってちゃんと生きて帰ってこられたんだから。
記憶は徐々に戻って来た。
行方不明になっていたのが夏休みだったせいで
目立ってもいなかった。
ある日師匠に体育館に呼び出された。
リョーさんとナオミさんがソコにいたんだ。
ココには戻らないって言ってませんでしたぁ?
この港街に嫁に来て大分たちます。
田舎に時々帰ってますが田舎に戻ってずっと住むか? と
聞かれると返事に困ります。
田舎もスキなんですけどね。
娘は田舎は映画館が無いからヤダ! と叫びました。
TUTAYAもマックもあるんだけどねぇ。
スタバ……あったかな? あ! 無いですね。
砂丘もないけど砂浜はあります(笑。)
温泉? モチロンありまーす。いらっしゃいませー。
ってちっがーう!
まあ、タマに行って遊ぶのと住むのは違いますよね。
それでも便利で快適なはずの都会から田舎に行きたくなるのは
田舎出身の所為なんでしょうか? それとも……
友人夫婦は東京近郊にいますが北海道と九州の組み合わせなので
帰省はかわりばんこだそうです。
リョーさん達もオイソレとは帰省できないハズですが
師匠さんなにかしたんですかね?




