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67・太陽熱温水器。

 騎士のロブさんは人員の増強を喜んだ。

まだその人たちが来るまでには時間がかかるでしょうけど。


「先が分かってるのとどうなるか分からないのは違うさ。

ソイツラが即戦力と思ってる訳でも無いしな。


戦闘は前衛だけでも後衛だけでも上手く行かない。

厚みが増えれば運用しやすくもなるしタダの烏合の衆になることもある。

なじんで一体化した動きができるまでに時間がかかるのは覚悟の上なんだ。


それでも人員が増えれば休みを取り易くはなるからな。

回復魔法だけじゃあない休みが必要なときもあるんだよ」


そうか、体は回復しても精神的な疲れまでは魔法や回復薬じゃあ無理だもんね。

ココの街には温泉は無い。

あれば大分違うと思うんだけど……


お風呂はリョーさんが領主だったせいか日本式だった。

でも燃料もタダじゃあないしねぇ。

一般人は毎日お風呂って訳にはいかないんだよ。

お湯で体を拭いたりするのが普通だったりする。


ココは兵舎だから大きなお風呂があるんだけど全員が毎日って訳にも

いかないらしい。

薪も水も予算も無限には無いしね。


お湯が簡単にできれば……あ! そうだ! 

温水器を造ってみることにした。

屋根の上に置いといて太陽熱でお湯を沸かすヤツ! 

雨の日は無理だけどね。


ナオミさんの弟子になってしばらくしたらなぜか錬金術がスキルに付いてたんだ。

レベルはまだ低いんだけどね。


なのでソレと宿題の魔道具の応用でやってみたんだ。

でもちゃんと期待ほど温まるかは分からない。

明日の朝には出発だしね。


ロブさんが上司の人に掛け合ってくれてお試しということで設置許可が出た。

屋根まで水を上げるのが大変だけどソコは手押しポンプがあったんだよ。


リョーさんが若い頃に造らせたんだそうだ。

水汲みの子供達を気の毒に思っちゃったらしい。

重いもんねぇ……水って。

魔法で出せる人って少なかったって話だし。

結構この領以外にも広まってるらしいよ。


魔道具で電動ポンプみたいなのが造れそうな気もしたけどもう

ココでの滞在時間は無くなっちゃったからね。

ナオミさんに相談してみてもいいかもしれない。


太陽熱温水器のお試しモニターということで代金は無料に。

ただし、使い心地なんかをフロルのナオミ師匠の所に

手紙で教えてもらうことにした。

ちゃんと役立つといいなぁ。


次の日の早朝に出発した。

ロブさんとイージスさんが見送りに来てくれた。

温水器は半日くらいだったのにぬるま湯くらいにはなったそうで

使い心地は悪くなかったようだ。


次の街のトエイーまでは5日ほど。

多くは無くても向こうからダートに来る旅人もいるはずなのに

3日目、4日目にはなぜか誰も来なくなった。

領の南の山沿いの道でも一日中誰ともすれ違わないなんてことは無かったのに。


なんだろう……街になにかあったんだろうか? 

不安は口には出さなかった。

悪いことを口にしたら悪いことが寄って来る。

誰かがそんなことを言ってたような気がしたんだ。


でも……

 実家に帰ったら太陽熱温水器がイカレてました。

温泉がある町ですが実家の地区にはありません。

近所に住んでるジィサンの家はまだ薪のお風呂です。


実家は温水器とガスと併用してました。

お天気が悪いと温まりませんからね。

まあ、寿命だったとは思いますけど。


「薪のお風呂のほうがお湯が柔らかい」なんぞとご近所ジィサンは言ってます。

でも町営の温泉にも通ってるんだよね。

もうドンダケーな風呂好きジィサンです。


地震があっても温泉あるから日本人でいたいとかジィサンはほざいてます。

お風呂で脳みそまでフヤケてるんじゃあないかと気がかりでしょうがないです。

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