60・遠慮しないヤツラ。
リョーさんは左手でなにかブロックサインのようなモノを神殿長に示した。
それだけで神殿長は何か分かったらしい。
別の部屋に通されて人払いまでした。
そうして部屋にはオレとリョーさんと神殿長が残った。
神殿長はリョーさんをしげしげと眺めてから
「ソレは新手の幻惑の魔法なのか?」と聞いた。
「ちょっとした薬の副作用みたいなもんだよ。
いつまでこの状態で居られるかも分からん。
ついこの間まで死にかけてたんだがね。
この子の持ってた薬のおかげでちょっと若返ったような状態なんだよ」
「イージス神官の言ってた子だね。
すまんが君のことは少し待ってほしい。
このくたばりぞこないを問い詰めてからだな」
神殿長はセイルさまと言うお名前らしい。
どうやら昔のお仲間だったようだね。
この街の出身で以前はずっと南のある貴族の領都でやっぱり
神殿長をしてたんだそうだ。
でも歳も取ったので最後の務めは故郷でと思ってダメモトで移動を申請したら
どういう訳か認めてもらえたと言う。
「お前ばっかり若返ってるなんて癪だなぁ。
ソレってもう無いのか?」
「皆がそう思うと困った事態が引き起こされるだろう。
オレに効いてもお前に効くとは限らんしな。
上級の回復薬と魔力の回復薬なら試してもらっても多分
大丈夫だろうと思うんだが。
ハッキリ言ってアブナイ薬だと思うんだよ。
神殿長がある日突然若返ったりしたらどうなるか考えろよ」
「お前はどうなんだよ。
領主が突然若返ったんだろ? みんな驚いたんじゃないのか?」
「オレはもう領主じゃあない。今の領主は孫だよ。
オレは死にかけでベッドからも出られないでいる。
ココに居るのは親戚のリョーさんなんだよ」
「まあ、オレだってお前を見たら幽霊か誰かが幻惑の魔法を使ったのか?
と思ったからな。
昔のお前を知ってるヤツはもうほとんどいないだろうし親戚なら通りもイイか。
その薬ってその子のモノなのか?」
「オレは召喚だがこの子は迷い込んだようだ。
しかも記憶が無くなってるんだよ。
だから薬はあっても補充はできない。
この子は造れないしな。
上級回復薬はなんとか再現製造ができそうなんだが他は無理だと思う。
上級回復薬はまだオリジナルが大分あるようだから分けて
もらえば若返らないまでもフルパワーくらいにはなれるゾ」
「若返るってのは魅力的な話だな。
だが確かに騒動の元になりそうだ。
お前で効き目と効果時間とかが分かってから使いたいなぁ。
人体実験よろしく頼むよ」(笑。)
「結果が出るまでにクタバレよ!
老後をジジイで楽しくこの田舎で過ごすんだろ!
若返ってまぁたネエチャンどもと遊ぼうったってそうはいかねぇぞ」
な、なんだか不穏な会話をしてますよ。
遠慮とか敬意とかはドコに行っちゃったんでしょう?
仲間だったとはいえイイんですかね?
結局しばらく放置プレイをされてしまう
クローバー君なのでした。
クローバー君の薬はココの世界の物ではありません。
植物のクローバーが存在しなかったように薬の原材料が
ココの世界にあるとは限りませんから再現するのはかなり
難しいでしょう。
クローバー君が薬を造れる人だったとしてもね。
なんだか悪友みたいですね。
さてコレで上手いこと話が転がってくれるとイイんですけど。




