30・王都にて。
王都の名前は〔イースラル〕というそうだ。
平和とか平穏、平安……どうもそういう意味らしい。
そういえば京都は〔平安京〕だったよね。
平和、平安な都であってほしいという願いが込められていたんだろうなぁ。
まあ、残念なことに千年の都も常に平安だったわけじゃあ無いってところが
皮肉といえば皮肉だけどね。
地方の領主ではあってもガイ様は王都にもお屋敷がある。
なのでソコに滞在。ご令嬢も一緒だ。
なぜ自分の家の屋敷に行かないかと言うと先客アリだからだそうだ。
貴族の結婚は王の許可が要る。
なので許可待ちの間は大抵王都に滞在してお互いの家を行き来しつつ
結婚準備をするんだそうだ。
ご令嬢の家の屋敷には兄君の母親の実家の従姉妹がやっぱり許可待ちで滞在中。
そちらは王都にお屋敷をお持ちでないので貸してあげてると。
なんだか微妙にご令嬢が冷遇されてる雰囲気だよね。
母親が違ってもちゃんと妹のはずなのに。
まあでも、サトーさんもガイ様も付いてるから大抵のことは
カバーしてもらえるだろう。
護衛さん達もご令嬢には同情的なみたいだし。
臨時に雇われてるだけの冒険者のオレが踏み込んでいい話じゃあないよね。
なので今日は王都見物だ。
滞在は一カ月ほどなので王都の中や周辺位ならギルドの
仕事も受けていいと言われた。
ただし! サトー家の名誉にかかわるようなことは禁止。
一応何をしているのかも報告。サトー家優先。
まぁ、タダでお屋敷に泊めてもらってるしね。
軽い仕事ならいいよってことだろう。
王都はガイ様の所の領都ブランの十倍くらいは軽くある。
城壁の外にも住んでる人が居るくらいだし。
市場も一つじゃないしスラムも一つじゃあない。
全部見てたら一カ月じゃあ足りないね。
鑑定があるので店を冷やかすのも楽しい。
趣味の合う掘り出し物も色々見つけたよ。
面白そうなオモチャとかも仕入れた。
神殿の孤児院の子供たちにあげたら喜びそうだ。
王都のギルドは大きかった。
街の中の依頼も沢山ある。
ランクがFなのでそういうお仕事はむしろ推奨される。
引っ越しのお手伝いとペットの散歩を受けてみた。
あー、途中で荷馬車がイカレたのでアイテムボックスで全部運んだんだけど
見ていた別の人まで頼んできて予定の5倍の量を運ぶ羽目になりましたぁ。
儲かったけどなんか納得いかない気分だねぇ。
ペットの散歩は楽チン……なはずだったんだけどペットがね……
おっきな狼だったんだよ。
コイツが攻撃してきたと思ったら依頼者の貴族様に言わせると
「じゃれてるだけ(笑。)」なんだそうだ。
あー、そうですか。
オレ、服がボロボロなんですけど?
もう、最後は頭に来ちゃってねぇ……軽く……軽くだよ。
電撃かましちゃったんだよね。
依頼者は見てないと思ったんだけど……見てたんだね。
怒られました……はい。
でも、それからは狼君は大人しくなっちゃったから
アレは正解だったかもしれない。
街の中で狼なんか飼うなんてやっぱり貴族ってオカシイよね。
まあ、ちゃんと依頼達成にしてくれたからいいんだけど
服は弁償してくれなかった……
まだ狼だからいいんだそうだ。
中には魔物を飼いたがる貴族も居るそうで時々そう言うペットが
逃げ出したりするらしい。
プププ……冒険者のお仕事を増やしてどうすんだろね。
一週間ほどそんなお仕事をしてたらガイ様から呼び出された。
はて? 王都でオレに用事なんてあるのかな?
舗装要員だからもうお仕事終わりのはずなんだけど。
ノンビリ王都の生活を満喫中なクローバーくん。
おーい、自分探しはどうしたんだい?
ココなら情報が色々ありそうな気がするんだけどね。
ネコブームだそうでテレビもネットもネコだらけみたいですね。
でも犬だってカワイイと思ってます。
ところが現住所はマンションでペット禁止です。
まあ、コッソリ飼ってる人が居るのは分かってますが。
規則の前に亭主が犬もネコもダメなんで飼えません。
狼じゃあなくてもペット……飼いたいんですけどね。




