第8話 XENO②
部屋のチャイムが再び鳴った。
複数の足音がリビングに入ってくる。
「おー、いい匂い。トマ、珍しく自炊か?」
入ってきたのは、XENOのリーダーKAIと、ワイルドな色気を放つRYUだった。
「あ、誰かいる」
「……俺の婚約者だ」
「「婚約者!?」」
TOMAの2度目の爆弾発言に、その場が凍りつく。
「とりあえず、飯にしようぜ。いちご、できたか?」
「はいはい、できましたよ」
目の前に並べられた料理の暴力的なまでのいい匂いに、メンバーの食欲が理性を上回った。
「うまそ~」
「いちごちゃんって言うの?」
「苺依だ」
「なんでトマが返事するんだよ」
「…………」
にらみ合うTOMAとKAIの間にSHOが割って入る。
「もぉーいいじゃん。早くご飯食べよーよ。お腹空いた~」
「……」
「わかったよ」
すでにRYUは座って待っていた。
――――パチン
「「「「いただきます」」」」
「はい、どうぞ」
「……うまっ!! なにこれ、肉が溶ける!」
RYUがシャトーブリアン丼を頬張り、目を見開く。
「この出汁巻き、料亭の味じゃん……」
慎重派のKAIも、一口食べて箸が止まらなくなった。
そんな中、SHOだけが面白くなさそうにサラダを突っついている。
「ふーん……胃袋掴んで外堀埋めようってわけ? 古いんだよね、やり方が」
「……SHO、お前食べないなら俺がもらうぞ」
TOMAが手を伸ばすと、SHOは慌てて丼を抱え込んだ。
「食べないなんて言ってないし! まぁ……味『だけ』は認めてあげてもいいけど」
毒を吐きながらも、頬張る口は止まらない。
そんなメンバーたちの姿を見て、苺依は少しだけ肩の荷が下りるのを感じた。
「……よかった。お口に合って」
その時、TOMAがふいにお箸を止め、じっと苺依を見つめた。
「おい、いちご。あんたも座って食え」
「え…でも…」
「婚約者なんだから、立ってる方が不自然だろ。早くこい」
「う、うん……」
ぶっきらぼうな優しさに、心臓が跳ねる。
XENOに囲まれての豪華な食事に、苺依はひとときの楽しい食卓を楽しんだ。
――To be continued




