第7話 XENO①
「……あれ?」
SHOは、手に持ったタピオカミルクティーを揺らしながら、苺依をじろじろと足元から頭の先まで眺めた。
テレビで見せる、あの「全人類の弟」のようなキラキラした笑顔のまま。
「ねぇトマくん。この、地味でパッとしない……掃除のおばさんみたいな人、だれ?」
……お、おばさん!?
そりゃ、TOMAとSHOよりも年上だけど!
ちょっとじゃない!
苺依の額にピキッと青筋が浮かぶ。
しかし、SHOは苺依のすぐそばまで歩み寄ると耳元で囁いた。
「……あのさ。トマくんを利用して売名しようなんて思わないことだね……消されたくなかったら、さ」
その声は、ゾッとするほど低くて冷たい。
顔は「天使の笑顔」のまま、吐き出す言葉は猛毒。
これが、SHOの裏の顔?
「おいSHO、やめろ。そいつは今日から、俺の『婚約者』だ」
TOMAの言葉に、SHOの動きが止まる。
1秒……2秒……3秒。
「……はぁ!? トマくん、本気? こんな『いちご大福』みたいな女が婚約者?」
「いちご大福って何よ! 私は高階苺依ですっ!」
思わず叫んだ苺依を見て、TOMAがわずかに口角を上げた。
「な。面白いだろ?」
「トマくん、趣味わるーい」
「ちょっと、失礼な!」
初対面とは思えないほどの会話。
あのXENOとこんな風に喋ってる自分にびっくりする。
「それにしても婚約者? トマくん、熱でもあるの?」
呆然とするSHOを無視して、TOMAはキッチンを指差した。
「腹減った。いちご、適当に作れ。冷蔵庫の中身は自由に使っていいから」
「私が作るの?」
「当然だろ? あ、あとでメンバーも来るからその分も」
「ええ!」
面倒くさいと思ったが、夕食の支度をするにはちょうどいい時間だった。
苺依はキッチンに向かい冷蔵庫の中を見て目を見開いた。
「な、何これ……黒トリュフに、A5ランクのシャトーブリアン……? それにこの卵、1個500円もするやつじゃない!」
そこにあるのは、スーパーではお目にかかれない高級食材のオンパレード。
庶民派の苺依にとって、それはもはや「食材」ではなく「財宝」に見えた。
……落ち着け、私。
このくらいでビビっちゃダメよ!
腕をまくり、長年やってきた手際の良さで調理を開始する。
高級肉をあえて「ガッツリ系」のスタミナ丼に、高級卵はふわっふわの出汁巻き卵に。
その匂いに誘われるように、部屋のチャイムが再び鳴った。
――To be continued




