推理ショー
明智小五郎の登場でファンが完成を上げる。その声援を受けながら1番のセリフはこうである。
「ああ、エクトプラズムというのはなんと軽いのだろう?まるで体重というものを忘れてしまうものだね。」
そう言いながら明智はターンをし、無駄に三回転をしてポージングを決める。これはファンのためのウェルカムサービスというやつである。
ここで一通りファンが騒いで落ち着いたところから、この話の推理ショーがスタートする。
「では、私はこの一連の不思議の物語を説明してゆこうと思います。」
明智の高らかな宣言と共に推理ショーが発動するのである。
ここで穏やかで知的な感じのジャズの調べが流れてきて、都会的でスタイリッシュな雰囲気を演出する。
「私は依頼されたのは、『悪霊』を連載中の平井先生。先生は物語の途中でどうしても、自分に資料を売ったN某と呼ばれた人物を探したいとそう注文されたのだよ。
この依頼の、そして、この事件の面白いところは、全て本名のわからない謎の人物が名前に憑依しながら蠢いていたという事なのだよ。」
明智の言葉に岩井とノアが苦笑する。
「まあ、そうですね。私も本名は岩井ではありません。」
岩井はそう言った。
「それをいうなら、僕もそうだな。」
ノアも肩をすくめる。それを見ながら明智は話を続ける。
「そうです。そして、私の依頼人も平井先生の使いの人物です。手がかりは売られたという『赤い綴り』
ここには本名のついた手紙文が綴られていました。」と、ここで明智は岩井達を一度見て話を続ける。
「ここには確かに手紙文が綴られてはいましたが、ここで私は違和感を感じました。そして、平井先生の連載を呼んでみる事にしました。そこには『赤い綴り』が1冊ではなく、2冊あると書かれていました。
確かに、これは小説です。だから、小説として書かれた部分は少なからず虚構も混ざっているはずです。が、この場合、わさわざ1冊の綴りを2冊と表記する理由が見つかりません。その上、この連載が切れた場所で私に提出された資料は終わりです。
初めは、本来はこの短い数枚に手紙文を小説家の想像力で増やす予定だったのだと思いました。そして、N某という人間を探す手がかりを手紙から探ることにしたのです。」
明智の説明に岩井が少し驚いたように口を挟む。
「本当に、これだけの資料で私のところに辿り着くとは驚きです。」
岩井に言葉に明智は少し謙遜するように肩をすくめた。
「これは偶然と幸運が私にあった、それだけの事です。私は少ない資料と平井先生の小説『悪霊』の内容から違うものを探しました。
まずは『赤い綴り』の数です。
次に登場人物の名前です。印象として西日本に苗字が偏っているように見えたのです。そこで登場人物の苗字を調べてみました。すると、1人だけ、希少な名前があることに気がついたのです。
『熊浦』この苗字はとても珍しい。ほぼ香川県に集中する名前だと探り当てました。ここから本物の『赤い綴り』の手紙の送り先、岩井坦のモデルになった人物の名前、永井 真一で本人を探す事にしたのです。」
明智の言葉が劇場に響いた。




