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《【道】ノ格入》 9
ラシュフェーニカの頭の中で、
黒い髪に黒い瞳の、美しく可憐な少年の姿が過る。
アノ時は見ているだけだった。
アノ時は見つめているだけだった。
アノ時の動きを、アノ時の所作を、アノ方がしていた祈りと願いと決意と奉納を、今自分はしている…。
アノ方と、同じ動きを…、
明様と…、同じ動作を……──。
ラシュフェーニカが、アノ時の明と同じように、目を閉じて祈るように天を見上げる。
ソノ姿に、多くの者が手を合わせ、拝むように祈るように願うように、合わせた手を胸の前へと持って来る。
百鈴が鳴る。
そして少しの静寂が訪れ、やがて静かに静かに楽ノ音がまた奏でられだした。
するとラシュフェーニカは静かに目を開け、今度は天地樹ノ花を手に携えたまま、また舞いを舞う。
周囲には同じく祈りを捧げていた民が、ゆっくりと目を開けて手を胸の前に合わせたまま、ラシュフェーニカを見つめていた。
その中で、老婆が幼い少女に向けて再び口を開いた。




