魔法の薬
「ここも収穫はなしか」
レアルはそう呟いて現場を後にする。
酒場を出た後、レアルは事件が起きた現場を回っていた。今いたのは二件目の事件現場だ。
現場には時間がたっているためか少し消えかかっている焼け跡だけが残っており、それ以外は何もなかった。
事件現場の近くにいた通行人に少し話しを聞いてみたが目ぼしい情報は得られなかった。
犯行は住人が寝静まっているときに行われているので目撃者が少ない。軍なら目撃者の一人や二人調べているかもしれないが、レアルに軍と同じ操作能力はない。
道行く通行人の中から少ない事件の目撃者を見つけるのも至難の業だ。なのでレアルは調査を開始してから時間が経つがまだ新しい情報を得られてはいなかった。
「やっぱり、聞き込みと現場を回るだけじゃ無理があるのかな」
レアルは調査をしているうちにそう思うようになった。
街の住人に聞き込みをしても返ってくるのは他人から聞いた噂や勝手な憶測ばかりで正確な情報がない。
現場を回っては見たものの、事件に関係ありそうなものはすでに軍に持っていかれてしまっていて、あるのは建物に残った切り傷や地面の焦げ跡だけ。
調査をして出てきたものはすでにレアルが知っているものばかりで、このままのペースで行けば、日が暮れても新しい情報は出てきそうにない。
せっかく休みを丸々潰して調べに来ているのに何も分からないまま学院に戻るというのだけは嫌だった。
それにこの事件が解決しないとケインも動いてくれない。レアルは何としても情報を手に入れたかった。
「新しい情報が手に入れられそうな場所か・・・・」
レアルはどうしたら情報が得られるかを考える。手っ取り早いのはこの街の情報屋に聞くというのだが、生憎レアルはこの街の情報屋はまだケインしか知らない。そのケインもこの前の様子からしてレアルを手伝う気にはならないだろう。
次に軍の施設に侵入して保管されている情報を盗む、というのを考えたがすぐに却下した。確かに新しい情報は置いてあるだろうが、自らがお尋ね者になってしまえば元も子もない。それにそこまでのリスクを冒すようなこのでもない。
「どうしたらいいもんかねぇ」
調査を始めて数時間で手詰まりとなってしまった。頭には何もいい案が浮かばない。
仕方ないのでレアルはとりあえず、三件目の事件現場に向かうことにした。別の方法を考えるのはそれからでも遅くはない。
レアルが足を進めようとしたとき街の一角に人が集まっているのが見えた。何かの催しでもしているのかと思いレアルは近づいてみた。
「またか、今度は誰だ?」
「さぁ、この毒にな・・・・」
「もう勘弁してほしいぜ」
近づいていくと集まっている人の声が聞こえた。雰囲気からして何かの催しではないようだ。
そこに集まっている人の表情は気味悪げに顔をしかめている人が多かった。みんな小声で話してはいるがほとんどの人間が話しているため近くに来ると結構うるさかった。
かなり人が密集していてこれを掻き分けて中に入っていくのは無理そうだ。仕方なく背伸びをして何が起きているのか確認する。
背伸びをして見えたのはどこにでもある普通の建物。そして、その建物と隣の建物との間、路地のようになっているところに鎧を着た兵士がいるのが見えた。
「軍が何で・・・」
軍の兵士が昼間からこんなところにいるわけがない。ここに軍の兵士がいる理由。それは何かが起こったということだろう。
「まさか、四件目か・・・・!」
さっき近づいたときに聞こえてきた会話からさっするに十中八九間違いないだろう。
だとしたら、これはチャンスだ。何か新しい手掛かりを得られるかもしれない。
「でも、こっからじゃ全然見えないし」
背伸びをすれば建物の間は見えるものの、そこは建物の影によって薄暗くなっており、奥の様子ははっきりと分からない。
そこでレアルはもっと見やすい場所に移動することにした。レアルはその場から離れてあの路地とつながっている道を探した。
現場近くの建物から二軒先の建物の横に同じような路地があった。案の定その路地はさっきの事件現場と繋がっていた。
路地を通って事件現場に近づいていくと不快な臭いが漂ってきた。それは血の匂いだ。何度も嗅いだことがあるので間違えることはなかった。
レアルは音を立てず静かに事件現場の路地に近づく。手がかりを得る前に兵士に見つかってしまうのは避けたかった。
建物の物陰から少し顔を出して路地の様子を窺った。そして、現場の様子を見てレアルは少しだけ顔をしかめた。
まだ、発見されてからぞれ程時間は経っていなかったのか死体には何も被せられておらず、軍の兵士が調べている最中だった。
今回の被害者は男のようで胴体が真っ二つに両断されていた。右腕も肩から切断されていて少し離れていたところに転がっていた。そして、路地の地面には夥しいほどの血がまき散らされていた。
レアルは死体を調べている兵士たちの会話に耳を傾けた。
「またあの通り魔の仕業か」
「ああ、男なら真っ二つ、女なら丸焼き、犯行時間も昨日の夜から今日の朝にかけて、間違いないな」
「毎週えぐいことするねぇ。てか、この被害者、一番初めに狙われた奴じゃねぇのか?」
「そうだ。多分、口封じのつもりなんだろう」
兵士の話を聞いてレアルは舌打ちを漏らした。事件について詳しく知っているであろう目撃者を殺されたからだ。
可能であれば話を聞こうかなどと、頭の片隅で考えていたのだがそれは無意味なものとなってしまった。
けれど、少しばかりの収穫もあった。ゴーストの犯行時間は毎週同じで昨日の夜から今日の朝にかけてらしい。明確な犯行時刻が分かれば、犯人も特定しやすくなるだろう。
「なぁ、今何か聞こえなかったか?」
すると、死体を調べていた兵士の一人がそんなことを言ったのか聞こえた。どうやら、先ほどの舌打ちが聞こえていたらしい。
「ん?別に何も聞こえなかったが」
「・・・・気のせいか」
それを聞いてレアルは一安心する。危うくここにいることがばれることろだった。
少ないが情報を得られたのでレアルはその場から離れることにした。今度は気づかれぬように静かに来た道を戻って行った。
けれど、その途中で誰かがレアルの肩を叩いてきた。レアルは振り返り、肩を叩いてきた人物を確認する。その人物は軍の兵士だった。
「ちょっと君」
「えっと、何」
声をかけられたので、とりあえず返事を返す。兵士はどこか怪しげな視線を向けてくる。
「こんなところで何をしているんだ?見たところ学生みたいだけど」
「ちょっと昼飯を食いに行ってるところだけど」
「この辺りに料理店なんてあるのかい?」
「いや、ここは単なる近道ってだけ」
兵士は何か考えるような仕草をしてレアルを見る。そして、少ししたら口を開いた。
「この辺りは今危ないから、あんまり人気のないところは通らないようにしてくれ。もう行ってくれて構わないよ」
「え、あ、じゃあ」
特に何かを咎められることもなく兵士からは解放された。そして、薄暗い路地から広い道へと出る。
「心臓に悪いな、あれは」
レアルはまたも胸を撫で下ろした。一応、嘘で誤魔化してはいたが、事件現場を除いていたことを聞かれたらどうしようかと焦っていたのだ。
気を取り直してレアルは三件目の事件現場へと向かった。
「そういえば、三件目も路地の中だったな」
四件目の事件と同じだな、などと考えながら歩いているとレアルは急に足を止めた。そして、府城に振り返る。
「ん?あいつは・・・・」
レアルは今さっき隣をすれ違った人物に見覚えがあった。その人物は昨日三人の貴族にいじめられていた生徒だったからだ。
学院の制服は来ておらず、地味なローブのようなものに身を包んでいた。一応、下級貴族とはいえ些かみすぼらし過ぎる格好に思えた。
その生徒は時折、周りを確認するような仕草をして歩いている。その行動をどこか不審に思ったレアルはしばらくその生徒のことを目で追いかけた。
生徒は人を避けるようにして歩いていき、やがては路地の中へと入って行った。
「何であんなところに・・・」
レアルは少し気になったので後を追いかけた。先ほどの路地と同じように奥は薄暗くてよく見えない。
路地の中に入ってあの生徒を探してみる。奥へ奥へと進んでいくと道がいくつかに枝分かれしていて結構複雑になっていることが分かった。光があまり差し込んでこないため路地の中は昼間だというのに暗かた。
しばらく歩いて探したがあの生徒は見つからなかった。
「見失ったか」
レアルは変なことに時間を食ってしまったな、とため息をついても元来た道を引き返した。そして、引き返し始めてあることに気が付いた。
「あれ、こんなとこに道なんてあったか?」
突然、現れた分かれ道に少し困惑する。たどってきた道がどちらか一方であることは確かなのだが、どちらをたどってきたのかが分からない。
「もしかして、迷った?」
レアルの呟いた言葉がどこか虚しく聞こえる。そして、レアルはため息をつく。
「くそ、面倒だな」
レアルはこんなことになるならあの生徒を追いかけなければよかったと後悔する。けれど、住んでしまったことを後悔しても意味はない。なので、今はどうやって元の道に戻るかを考えた。
しばらくその場に留まったまま元の道に戻る方法を考えていると後ろから何か物音がした。レアルは振り返らずに少しだけ耳を澄ました。
耳を澄まして聞こえてきたのはザッ、ザッ、という何かを擦るような音。レアルはおそらく人の足音だろうと推測した。
レアルは振り返って目を凝らす。すると、暗い路地の奥に微かに動く何かを見つけた。そして、だんだんとその姿が見えてくる。
現れたのは体格のいい男だった。服装からして平民だろう。
レアルはちょうどいいと思い、その平民に道を聞こうとした。だが、後ろからも物音が聞こえたので振り返る。すると、今度は後ろの道から四人の男が出てきた。まるで道をふさぐように。
「いやぁ、俺たちはついてるなぁ。こんなところにカモが迷い込んでくれるんだからな」
「そうっすねぇ、ギルさん」
「兄ちゃん、痛い目会いたくなかったら金目のもん全部出しな」
レアルは五人の目的を理解する。大方、学院の制服を着ているからどこぞの貴族と勘違いしているだろう。
「たく、面倒だな」
レアルは五人を見て大きなため息をつく。道に迷った挙句ゴロツキに絡まれるとは今日はついていないなと自らを嘆いた。
「ああ~お前ら、この辺りの道詳しいか?」
「詳しいぜぇ。この辺りは俺らの縄張りみたいなもんだからな」
「そうか。じゃあ、案内しろ。そしたら見逃してやる」
レアルがそういうとゴロツキたちは一瞬呆けた顔をして、一気に笑い出した。
「おいおい、兄ちゃん。あんまり笑わせんなよ。五対一で勝てると思ってんのかよ?」
「そっちこそ、ただのゴロツキ風情が集まっただけで勝てると思ってんのかよ?」
その言葉を聞いて頭に来たのか目の前の男の表情が変わる。
「へぇ、そうかい。どうやら痛い目に会いたいらしいな。お前ら、やっちまえ!!」
それを合図に後ろの四人がレアルに襲い掛かってくる。いつの間にか木の棒や斧を持って武装している。
だが、レアルにはそんなもの何も脅威にならなかった。一番初めに飛び掛かってきたやつの顔面に回し蹴りを叩きこむ。その男は壁にまで飛ばされ動かなくなった。
それを見て男たちは唖然としていた。レアルはすかさず近くにいた男の鳩尾に肘を入れる。その男も短い呻き声を上げて気絶した。
レアルはその男を後ろにいる二人に向かって投げ飛ばす。慌てた二人は投げ飛ばされた男を抱え込んだ。そして、レアルは男を抱えたまま何もできないでいる二人の顎を思いっきり殴った。すると、その二人も崩れるようにして気絶した。
「さてと、まだやる?」
レアルは最後に残ったリーダー格の男、確かギルとか呼ばれてた男に問いかける。
「案内してくれるなら、もうやめてあげるけど?」
「ちっ、魔法つかわねぇのかよ」
ギルは特に怯んだ様子もなく悪態をつく。レアルが魔法を使うことを期待していたということは、魔法を詠唱しているときにでも仕留めようと考えていたのだろう。
「てめぇらみたいなやつは殴った方が早いからな」
「そうかよ。けど、今度はそうはいかないぜっ!!」
そういってギルはレアルに向かって駆け出す。体格の割には意外に早い動きをした。ギルは大きく腕を振りかぶってレアルを殴ろうとする。だが、そんな大振りではレアルに当たるはずもなかった。
だが、ギルは今度は先ほどの動きよりも早くレアルを蹴り上げてきた。突然、速さが上がったのに驚いてレアルは少し反応に遅れる。手で足を受け止めようとしたら想像以上に威力があり弾かれた。
「おらおら!!さっきの威勢はどこ行ったんだよっ!!」
今度はレアルの脇腹に回し蹴りをしてきた。レアルは腕でそれを防いだが壁の方へと吹き飛ばされた。だが、壁にぶつかることはなく着地する。そして、ギルは壁を背にしたレアルに向かって殴る。だが、レアルは体をずらして躱した。
すると、ギルが殴った壁に罅が入って少し抉れる。レアルはそれを見て驚愕した。
明らかに普通の人間の身体能力ではない。何らかの訓練をしてるわけでもないのに壁を殴っただけでへこませることは不可能だ。それに、殴った本人にも痛がった様子はない。殴った拳も埃はついているが骨が折れた様子はなかった。
「どうなってやがる・・・・?」
「へへ、驚いてんなぁ。こういうのって身体強化っていうんだろ?」
レアルはそれを聞いてさらに驚く。今、目の前の男ははっきりと身体強化と言った。ただの平民なら知らない言葉。ましてや彼らにとってはほとんど無縁のもの。
レアルは朝、酒場で聞いた噂話を思い出す。突然、魔法が使えるようになる、というまるっきり出鱈目だと思っていた噂話。
「まさか、マジだったのか?」
驚きのあまりレアルはそう呟いた。そして、少し俯いてそんなことが本当にあり得るのか考える。
「今更怖気づいても遅いぜ!!」
ギルはそんな様子のレアルにもお構いなしで再度殴りかかってきた。これでレアルを倒せると思ったのか彼の口は自然と吊り上った。
だが、それもほんの束の間で、次の瞬間にはひどく歪に歪んだのであった。
何をされたのかというとレアルがギルの顔面を蹴り上げたのだ。ギルが目に負えないほどの速さで。
「があっ!?」
ギルは大きく仰け反って地面に倒れる。身体強化のおかげで意識は失っていないようだが体は脳が揺れて動かないようだ。
「て、めぇ、何で・・・・」
「俺だって魔導師なんだから身体強化ぐらい使えるし」
ギルが使った身体強化は手や足を部分的に強化して威力を上げるだけのもので魔力を扱うときの初歩の初歩。その程度の魔力が扱えるだけではレアルに勝つことは到底無理だった。先ほどまでレアルが苦戦していたのは単に驚いた隙を突かれただけだ。
「ちょっと聞きたいことあるんだけどさぁ、お前って軍の兵士か何かだったのか?」
「はぁ?何でてめぇにそんなっ?!」
ギルが状況が理解できておらず、反抗的な態度を取ったのでレアルは魔力を剣に変えギルの首の僅か横の地面に突き刺した。横目でその透明な剣を見たギルはすぐに青ざめた。
「さっき手蹴られた所為で痛めたみたいだ。おかけでうっかり剣を落としてしまったぜ。誰かさんが怒鳴ったりするとまた手が滑るかもしれないなぁ」
白々しくレアルはギルに言う。その眼では、話さなかったら分かっているな、と脅していた。その意図を読み取ったギルは何度も首を縦に振った。
「で、どうなんだよ」
「俺みたいなのがそんなとこで働けるわけないだろ」
「じゃあ、どうして魔法が使える?」
「そりゃ、突然使えるように・・・」
「また、手が滑った」
今度は先ほどとは逆側に剣を突き刺す。ギルは剣に首が触れてしまわないように体を硬直させた。
「魔法ってのはな、何も知らない平民が魔力を得ただけで使えるもんじゃないんだよ。もし、お前が突然魔力を得たのが本当だとしても、それを使う知識は持っていないから魔法を使うことはできない。だから、お前に身体強化を教えた魔導師がいるはずだ」
「そ、それは・・・・」
言いよどんだということは図星のようだ。中々話す様子がないのでレアルは三本目の剣をギルの首の真上に構えた。
「待ってくれ!?話す、話すからっ!!命だけはっ!!」
「じゃあ、早く離せ」
「・・・俺に魔法を教えてくれたのはこれを売ってる奴なんだ」
「何だこれ?」
ギルが取り出したのは小さな袋だった。開けて中身を確認すると、その中には灰色をした粉末が入っていた。
「それを売った男が、それを飲めば魔法を使えるようになるって言って。それで飲んでみたら・・・」
「魔法が使えるようになった?」
ギルはそれに頷く。レアルは話を聞いても俄かに信じられないでいた。こんな粉が飲むだけで魔法が使えるようになるという大発明品だとは思えない。
「これがねぇ・・・」
「本当なんだ!?信じてくれよ!!」
「それで他に知ってることはないのか?」
「あ、あんたを襲えって頼まれたのもその男なんだ!」
「はぁ?おい、それどういう・・・」
レアルはギルに問いかけようとした途中で上を見上げる。すると、空から巨大な火球が降ってきた。レアルはとっさに魔力の壁でそれを防いだ。
火球は魔力の壁とぶつかると爆発を起こして周りに火の粉を撒き散らす。その火の粉は周りの建物に移って燃えだした。
かなり強力な火属性の魔法だ。魔力の壁にも罅が入っている。
レアルは上を見上げて魔法を放った犯人を捜す。すると、建物の屋根の上に動く影を見つけた。
「おい、お前はとっとと倒れてる奴ら連れて逃げろ!」
首の横に刺している剣を抜いてギルを解放する。そして、レアルは大きく飛び上がり壁を蹴って屋根に上る。そして、さっき動いた影を探す。
「見つけた!」
それはまだ屋根の上を走っていた。真っ黒なローブで身を包んで頭も隠している。向こうは身体強化をを使っているようでかなり速い。
けれど、まだ追いつけない距離ではない。レアルも身体強化を使って魔導師を追いかける。
もともとの身体能力が高いためレアルはすぐに魔導師との距離を詰めていく。
すると、前を走る魔導師がいきなりレアルの方に振り返った。そして、両手を前に突出して魔方陣を展開する。赤色の魔方陣ということはさっきの火球をもう一発放つつもりのようだ。
けれど、あの威力の魔法なら詠唱に時間がかかる。レアルならその間に魔導師のところまで追いつける。
だが、レアルの予想は大きく外れた。
「なっ!?」
展開された魔方陣からはもうすでに火球が放たれた。レアルは慌てて体を捻ってそれを躱す。
咄嗟のことだったのでバランスを崩してしまいレアルは屋根の上に転がった。そして、下に落ちそうになるが屋根の淵を掴んで何とか落ちることは免れる。
離れたところで爆発音が聞こえた。レアルは屋根に上ってどこで爆発したか確認する。何軒か後ろの建物から黒煙が上がっていた。
続いてさっきの魔導師を探してみたがすでに逃げられてしまったようでどこにも姿は見当たらなかった。
魔導師がレアルを襲ったのは多分、ギルに渡された薬の売人だからだろう。自分の情報がばれるのを恐れてレアルを殺そうとした。薬も非合法なものなのだろう。
そこで、レアルは屋根の下を見る。騒ぎを聞きつけて人が集まりだしている。これ以上ここに居ては犯人と勘違いされてしまいそうなのでレアルはすぐにその場から去ることにした。
レアルは下の入り組んだ路地を使って、時間は掛かったが誰にも見つかることなく出ることができた。




