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第三章:魔王領近辺調査編-第三話

埃まみれの廊下に足跡を残しながら進んでいく。


「人の気配は無いですね」

「ふむ、そうだね。部屋も多いから一概には言えないが…手っ取り早く物色させてもらおう」


それぞれが部屋に入り、さながら強盗のように戸棚を開けていく。

部屋には三つのベットと、サイドテーブルが置かれている。よくある孤児院の一室だった。

それが少し異様に思えたのは、子供が少し前までいたような状態で時間が止まっているように見えたからだろうか。


廊下には押し入れがあり、多くは予備の布団が入っていただけだったが、たったひとつだけなにも入っていないものがあった。

なにも。なんにも、空っぽで。


結局、最後の部屋までの違和感はあの異様な部屋達と、空っぽの押し入れだけだった。

最後の部屋には鍵がかかっていたが、こちらにも事情がある。錠を壊して中に入らせてもらった。


どうやら最後の部屋は院長室のようだった。

部屋の隅にはこの部屋の主であっただろう人が骨となり横たわっていた。

最強達は彼、もしくは彼女にしばしの黙祷を捧げる。


「よし、色々見させてもらおうか」


今まで通り、戸棚から物色する。

結果は、何も無かった。

ただ、今までの部屋にはない、鍵付きの机がある。鍵は…骨の近くに落ちていた。


「ご拝借させていただきます」

ユダが鍵を取りながら、片手で祈る。


引き出しの中からは、日記が見つかった。


「読むぞ。」


「__今日、捨て子を見つけた。この前預けられた子と同じ、鬼族の子供だった。

ただ、この前の子とは違い、赤子にも関わらず、角はしっかりと生え揃っていた。

捨てられた理由は胸元に広がる、『魔王の器』の証のせいだろう…」


見つけた日記をヴィリイが代表して読んでいる。

その最中、最強は背後から突然強い殺意の痛みを感じる。


「敵襲っ!!!」


同時にドシンッと、重い音が響く。

埃が舞う中、きらめく赤髪が目に入る。

はっきりとその姿を確認できたソイツは、首に鎖のような模様__魔王軍の証を付けていた。


「ねぇ、おねーさんたち。パーサの秘密基地で何してるの?宝探し?」


パーサと名乗ったその人物は、少年とも少女とも取れぬ声で問う。


「ああ、宝探しかもね。君たちの秘密っていう宝を探してんの、さっ!」


喋りながらヴィリイは足元に隠していた鉱石をククリのような得物にして詰め寄る。


「危ないなぁ。今日はパーサ、別に戦うつもりはないんだよ?ただもう出てって欲しいだけなんだから」

「それにしては熱烈な歓迎をしてたよね。あんなに殺気立っちゃって」


「痛くて痛くて仕方なかったよ」と恨み言を吐きながら、最強はその感情を手のひらに凝縮させる。


「もー!だから早く出てって欲しいだけなんだって!!さっさと出てってよ!」


パーサの髪がなびき、小さい角が見え隠れする。目はぐるぐると狂ったような容貌へと変化していく。

ユダがそれを見て叫ぶ。


「これ以上はやばい!一旦引きましょう!今の戦力じゃあアイツには敵いません!」

「わかってるなら出てってよ!!ここはパーサと魔王様の思い出が溢れてるんだから!!そのままにしといてよっ!」


言ったこととは裏腹にパーサは狂ったように暴れ出す。

それに巻き込まれぬように、一同は孤児院を去り、森をぬけ、平原へと舞い戻った。

パーサは、約束通り追いかけては来なかった。

あの日記は、まだ続いていたが持ち帰ることはできなかった。もし持ち帰っていたら…パーサの動きは想像にかたくない。

そうして、彼女らは敗走を余儀なくされたのだった。

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