第三章:魔王領近辺調査編-第二話
一行は雑木林を着実に歩んでいく。
最初は木に傷を付けて進もうとしていたが、異常な回復速度で元通りになってしまったため、諦めた。
ヴィリイのピアスが再び小刻みに揺れた。そのあと右腕のブレスレットに「OK」と答える。
「テルからの通信、まだ大丈夫そうですね」
「うん、森の前で待っている方も問題ないようだ。ただまだ異常がでてないだけの可能性があるからね。気は抜けない」
隊長組が状況の確認をしている中、道の奥からメアリーとは違う、動物を象ったぬいぐるみが駆け寄ってくる。
「……ん、メアリーの能力。
あと、この先に建物あるって」
初めて口を開いたその人形は少し舌っ足らずにそう言い放った。
「ありがと、メアリーちゃん!」
「"さん"にしておいた方が無難ダと思うよ、隊長」
「あっ、そうだよね。ごめんなさい、メアリーさん」
「べつに、気にしてない……。それより早く先にすすむ」
「メアリーの言う通りだよ。少なくともこの先からここまで戻ることも可能なわけだし、早く調査を行うべきさ」
一同は頷き、枯葉が多くなってきた道をざりざりと歩く。
自然に溶け込んでおり近付いて見ないと建物だとはとても判断できない程だが、木々の隙間にツタに覆われている建物が見えた。
建物の周りは金属製の塀で囲われており、入口出会っただろう壊れた門の横には掠れながらも確かに『孤児院』の文字が記されていた。
「孤児院……何かしらの保護でもされているのでしょうか」
「だから魔力がまだ残っていると?…まぁ可能性はあるな」
「なんにせよ、調査しないとわかんないってことですよね?」
「ん、そういうこと」
「じゃあ…お邪魔しましょう」
周りの木々とは違い、孤児院内の植物はまだ青々とした緑を輝かしていた。
しかし、どの木を見ても、花は一輪として咲いていない。
「元々咲かない種類なのかな…」
「いや、これは咲くヤツだ。特に、この季節ではな」
「A級情報隊長の言う通りだ最強ちゃん。それと、君はもう少し戦い以外の知識も身につけた方がいい」
「ん〜、考えときますね」
「それ、やらないやつ」
「あはは、バレちゃいました?」
「でも、これ咲いてないってよりも…」
「…ふむ、手折られているね。それも蕾を避けて」
「人がいる可能性がある。索敵系は注意を忘れるな」
その後、それぞれが植物や、土壌を調べるが、花以外の異常は特に見つからなかった。
残りの調査対象は、ホコリにまみれた建物内だけとなった。




